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カバン屋が歯科医院でポップアップをしたら

「うちの休診日にポップアップやりませんか?待合室と廊下で。ここより広いと思います。」

自分で企画して自分でデザインして自分で製作して自分で販売、一貫して自分たちでやるバッグブランド、ダブラヴヨブス を立ち上げて7年。

何事もやってみなけりゃ分からない。と手づくり市や大型イベントから百貨店催事、個人店も自分で応募したり、お声がかかれば尻尾振って出店させていただいてきました。自分たちのターゲットがどこにいるのか手探りで探しながらもただ闇雲にがむしゃらに。

そんなやり方でラッキーもありましたが気がつくと周りは壁だらけになり、未来から逆算して考えてももう壁を自分で破るしかないと思った頃、今まで見えていなかった神戸おしゃれ地域の一番好きな古着屋の系列の無人的ギャラリーがあることに気づき応募、本年からほぼ毎月出展させて頂くことになったのです。我々は期間限定で開くそのポップアップショップを名曲から拝借してショップザカスバと名付けました。

すると今までたまに来てくれていた顧客(スティーブヨブスと我々が命名)さまたちが気軽に立ち寄りやすいからと毎月のように来てくれるように。
ありがたい!と思っていた頃の新型コロナ大騒動で予定はどんどん飛んでいき収入は途絶え、大ピンチ。ピンチはチャンスとポジティブなことを言いつつも真後ろはどんどん足場が崩れる崖っぷちですから固有名詞にもならないようないろんな魔物にそれぞれが襲いかかられたりしておりましたが「ここで逃げてはいけない!ピンチが我々を育てるのだから!」とバイトをせずに踏ん張り這いずっておりました。

緊急事態宣言が解除されても客足はすぐに元には戻らないもんだなぁと実感していた頃、毎月皆勤で来てくださる歯科開業医のスティーブンキングヨブス(上顧客)さまからの思いもよらないご提案を頂き、ぜひお願いします!と相成りました。

いざ発表してみたら数名の知人の通っていた歯科医院であったこと、そこがまたなかなか予約の取れない人気歯科医院であったこと、舞子のアイコンとも言えるランドマーク的建築物だったことなど驚き多々!

更にはスポーツマンの院長は戦略を練り、あらゆる手段を使って種蒔き、告知宣伝をしていただいていたのですが一番驚いたのは自分のコレクションを前もって展示してくれていたこと。

「絶対に成功させたい」「文化祭気分で」「ボランティア活動もやってたし貢献するのが好きだから」と仰る院長でしたので日常と違うことだからそこまでしていただけると思っておりました。

ポップアップ初日、道に迷って遅れ気味に到着すると自らお掃除する院長夫婦の姿を目撃。セッティングを見守っていただいていたら、医院前の院長直筆黒板の営業時間も見ずに地元の方が続々とご来店(ローカルシティーの良いところ)。まさかのフライングゲットも頂きわちゃわちゃといつの間にかオープン、いつまでもそこにいてお客様をお迎えし接客までしてくれる院長と奥様。なんてありがたいこと!

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オーナーや店員さんが全力で頑張るお店は人気の個人雑貨店しかしていないと思っていた我々ですから、びっくり!でも日常と違うからできるんだ、文化祭だしと思っていたのです。

そんな初日の合間に撮れた映像がこちら↓

最終日は我らのバンド時代のメンバーが組むユニットJUNK BGM にBGMライブをして頂きました。これも偶然の出会いからあらゆる点が線となり繋がってソーシャルディスタンスも安全も確保で院長の夢を叶える絶好のタイミングとなり、音の響きが期待以上に良くてみんなで大喜びしたのでした。

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リハーサルの様子がこちら↓

点が繋がって線になった時の話はこちら↓

3日間開店前のランチから閉店後まで一緒にいてお話しして今までのご苦労を伺い帰る頃に気付いたんです。

これは非日常がもたらす技なんかじゃない!院長ご夫妻の実力だ!ということに。

地元を愛し地元に愛されて共に豊かさの本質を見極めて発展しようと活動されてきた人たちの為せる技だったのです。

一番大事なのは人間。人間性。ヒューマニティー。ただの歯医者であぐらをかいていてはいけない。刹那主義で生きてお金だけで満足してはいけない。

そんな院長の想いや生き方が伝染しているかのようにチラシを置いてもらった近隣のお店の方々は自分は勿論、誰かにオススメして連れてきて下さるほどでまたビックリ!更には全て美味しいのでまたまたビックリ!

セッテマーレさま
鉄板ビストロキャトルさま
ハレルヤさま

ありがとうございました。また別の記事でご紹介させていただきます。

梅雨が開けない3日間にも関わらず、みなさまのおかげで大盛況。そして何よりも出会いやご縁とたくさんの学びがある3日間に。こんなに充実した3日間は初めてでまだ脳処理中ですが、大変お世話になった院長ご夫妻と舞子のみなさま、それから日帰り旅行気分で県内から駆けつけてくれたスティーブヨブスのみなさまに感謝を。ありがとうございました。

我々が最終的に気付いたこと
我々はカバンを売りたいのではなくその向こう側を売りたかったんだと。

点と点が線になってひとつの絵になった瞬間が明らかに舞子の歯科医院に有りました。

この記事を読んで読んで気付きました。

我々の好きな話「羅生門」。人それぞれに宇宙があり、見え方が違い、答えや真実なんて藪の中、そして藪の中もまた宇宙空間のようなもの。

色々な立場からの3日間、ぜひ読んでみて頂きたいです。

「我々は100人に1個づつ売るカバン屋ではなく10人に10個づつ売るカバン屋になろう!」

そう言い聞かせて刹那的ではなく永劫的に狭く深く愛し愛されるカバン屋を目指します、幸運なことに院長も同じ気持ちですので第二回も企画します!

乞うご期待!


アトリエ兼店舗と巣立てる若手の育成や、プロジェクトのストックも沢山あります。サポート頂ければ幸いです。