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2拠点生活のススメ|第166回|残念なこと

大坂なおみ選手が、全仏オープンを棄権するとのニュースが飛び込んできた。

苦手と言われるクレイコートで、1回戦をストレートで快勝、今年の全仏では快進撃が続くのでは無いかと期待していただけに、とても残念だ。

大会前、自らのメンタルヘルスのために記者会見に出席しないと表明。その言葉通り1回戦の後の記者会見を欠席し、大会から罰金を課せられた。さらに、大会出場停止、4大大会出場権剥奪の可能性も囁かれ始め、大きな騒ぎに発展。他のプレーヤーに迷惑を掛けたくない、私の健康と幸福のために最善なのは棄権することとインスタグラムでその決意を語っている。

なぜメディアの前でちゃんと説明しないのかと言った意見もあるようだが、SNSは個人が自分の思いをストレートに伝えられるもの。多くのファンに直接自分の意思を伝えるという意味で、インスタを使った気持ちは凄く分かる。

元々、人前で話すことが苦手、特にハードな質問に対して、うまく自分のココロをコントロールして言葉にするのが難しいと語っていた大坂選手。

言葉で上手くコミュニケーションが取れないから、アートという形でコミュニケーションを取る人もいるし、歌うことだったり、スポーツをすることだったりで、自分を表現している人も大勢いる。

昨年の全米オープンの入場の際、米国の白人警官による黒人暴行死事件などの被害者の名前の入ったマスクを着用し、人種差別問題に対して無言の抗議を行ったのも大坂選手らしいコミュニケーションの一つだったように思う。

だから、言葉によるコミュニケーションを必ずしも強要するのは、少し違うなとも思うし、その人なりのコミュニケーションをメディアが報じるという新しいスタイルが生まれても良い気がする。若い人にとって、もはやSNSこそが中心的メディアというのも事実、時代は変わりつつある。

大坂選手はインスタグラムの中で、「しばらくコートから離れるけれど、適切な時期がきたら選手と報道陣、ファンにとってよりよい状況にするための方法を大会と話し合いたい」とも語っている。

前例が常識という考え方は、進歩を生まない。日本では特にその考えが強い気もするが、個人の自由を大切にするフランスで行われている大会だからこそ、これをキッカケに、いろんな議論が始まるといいな。

それにしても、もう戦いが見られないのは、ほんと残念でならない。

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