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2拠点生活のススメ|第9回|BobとDylanが繋がって出来たウェットスーツ

DYLANという名に惹かれ立ち寄ったBAR

徳島でサーフィンをするようになってすぐの頃、長年使ってきたフルスーツのチャックが壊れてしまい突然動かなくなってしまった。これから季節は冬本番。春まで海に入ることはそう無いにしても、3月・4月はまだまだ水が冷たいし、フルスーツ無しという訳にもいかない。この際、新しいウェットを作ろうかなあ・・・と思案していたときに、ふと思い出したことがあった。

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それはまだ2拠点を開く前に下見で徳島を訪れた時のこと。デュランという名前に惹かれて、何気なく立ち寄ったBAR。60年代のアメリカを彷彿させる店内、きっとボブデュラン好きの年配マスターが営んでいるものと思っていたら、意外にもカウンターの中には若い女性の姿があった。話を聞いてみるとボブデュラン好きのお父さんが開いた店だが、数年前に癌で他界してから、後を継いで店を守っているとのこと。そう言われて店を見渡してみると、お父さんと同年代の常連客らしき人がほとんど。きっとみんなお父さんに成り代わって、娘さんを暖かく見守ってるんだな。そう思うと、とても優しい気持ちになった。

「これが父です。」彼女が指差した先には1枚の写真。お父さんの隣には一緒に微笑む一人の男性の姿があった。「その人はお父さんの大親友でBOBというサーフショップのオーナーさんなんです」。なるほど、ボブとデュランか、そのエピソードを聞いただけで、二人の関係性が手に取るように分かる。同じ時代、同じ音楽を聴いて、二人は自由を謳歌していたんだ。


DYLANに導かれ、辿り着いたサーフショップBOB

そんなエピソードを思い出して、これも何かの縁とサーフショップBOBを尋ねることにした。DYLANからここに辿り着いたこと。何かの縁を感じたこと、いろんな話を黙って聞いていたオーナーは、俺に任せてくれ、最高のウェットスーツを作ると言ってくれた。さっそく採寸して、色やマークの位置などを決める。ゴールデンウィークまでに間に合いますかねと尋ねると、分かったDYLAN繋がりの頼みだ、何とかしようと快く引き受けてくれた。

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BobとDylanが繋がって出来たウェットスーツ

ゴールデンウィークを間近に控え、1本の電話が掛かってきた。ウェットばっちり出来上がったよ。残念なことにその年のゴールデンウィークは風邪をこじらし、ウェットデビューは後になってしまったが、あれから3年、今も冬になるとそのウェットを愛用している。徳島に来て、健康的な食事とサーフィンで10キロ体重は落ちたが、かえってウェットに余裕ができて楽にパドリングできるし、未だ海の水が冷たくても気になるようなことは一切無い。おかげで1月・2月の真冬でも天気さえ良ければ、海に入るようにもなった。思わぬ縁で出来上がったウェットスーツは思い入れもひとしお、ずっと大切にしていこうと思っている。

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