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NOMAyado column

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兵庫県と徳島県、4年間の2拠点生活を経て、2022年1月から始まった宿プロジェクト。思いをカタチにしていく中で、何を考え、心がどう反応したのか、ありのままの記録と、宿をやっていく… もっと読む
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#宿

延命のような暮らしはいらない

思想家で武道家の内田樹さんが、こんなことをある本に書いていた。 よく考えると薄ら寒くなるような話だが、 実はこれって、私たちの暮らしにも似たようなことが起こっている気がする。 とにかくお金を稼いで家計を維持することが最優先で、言葉は悪いが対処療法的というのか、目的地が見えない暮らし。 ひとたび、心もカラダも健康に機嫌良く暮らしたい・・・なんてことを本気で考え始めると、社会のレールから外れ、独自の価値観で暮らしを立てるしかなくなる。 鳴門という地方都市に暮らしてみて思うの

散歩が楽しい季節がやってきました

青い空、新緑、爽やかな風、散歩が最高に心地よい季節がやってきました。 先日も朝起きると真っ青な空が広がっており、お客様を誘ってNOMAyado前の海岸へ散歩に出かけました。海岸へと続く野原には、立ち枯れた百合らしきものや、足元には黄色い小さな花をつけた植物などなど。当たり前にあるようで、街中で見かける花壇の植物とは一味も二味も違うものばかり・・・。 そして誰もいない海岸へ、ここはほんと水がキレイで最高。 小石に混じってたくさんの貝殻が落ちている。サザエ的なものから、小さな

宿を立ち上げて1年、これがリアルな今の気持ちです

2024年4月1日、NOMAyadoはオープン1周年を迎えました。 改めて、お越しいただいたすべてのお客さまに感謝、ありがとうございます! 接客の経験はあれど、宿をやるなんてまったく初めてのこと。 手探りながらも、できることをやってきたという気持ちもあるし、多くのお客様を前にしてもなお、果たして本当に宿主としての思いが伝わっているんだろうかという、よく分からない気持ちも湧いてきます。 だから今の気持ちを語るというのは、なかなかに難しい・・・ これまでも、宿を続けてきた中

「戦略」が無いとダメですか!?

最近サッカーを見ていると良く耳にする、「戦略」や「戦術」 一般のサポーターからも、今のサッカー日本代表には、戦略はあるが戦術が乏しいなんていう声が出るようになった。 この「戦略」と「戦術」、最も声高に語られるのがビジネスの世界。 確かに効率的で賢そうに聞こえるが、その正体はいかなるものなんだろうか? 目的に対して、成功のための方向性や考え方を示し、全体像を見据えながら練るのが「戦略」。その「戦略」を実行するための具体的な行動や手段、実際のオペレーションが「戦術」。 ・・

理想を現実に

お客様の到着を待ちながら、過去に書いたnoteの記事を読んでいる。 まだ、このNOMAyadoの影さえも見えていなかったコロナの時代、次々と映像仕事が中断し、悶々とした日々を送っていた頃に書いていた記事の数々。 コロナ禍で家に居ても、何かできることはないかと考え、文章を書くというスキルをとにかく磨こうと「2拠点生活のススメ」というタイトルで、日々感じることをnoteに綴ることにした。 旅先でも、体調不良でも、例えどんなに忙しい日があっても、とにかく1日も休まずに1年間3

不適切が生み出す癒し!?

奥さんのススメで「不適切にもほどがある」というドラマを見るようになった。 NOMAyadoにはTVはないのだが、TVerがあるのでMacBookさえあれば、ベッドに寝転びながら、食卓に置いてご飯を食べながら、昭和の時代ならお行儀が悪いと怒られるような不適切な方法で毎回楽しみに見ている。(笑) 私もすでに還暦を迎えた立派な昭和のおじさんなので、どうしても小川先生に肩入れしながら見てしまう。だから彼のような不適切と呼ばれてしまう人が、現代人の心を癒す様は、自分みたいな人間が宿

鳴門に春を告げる、新ワカメの水揚げだ!

もうすぐ2月も終わり。 この間お正月だった気がするけど、月日の経つのは早いもの。 1月・2月限定で始めたNOMAyado体験キャンペーン。初めての方に限りお得に泊まれるキャンペーンなのだが、終了間際になって駆け込みで問い合わせをたくさん頂いています。満室で断るなんてGWや阿波踊りぶりのこと。ありがたいことだけど、みんな遅いよ〜。もっと早く気づいてもらえてたら、幾らでも空いてたのに。 少し寒さも緩んで、どこかに出かけたいモードになったということなのか・・・ それとも、どこか

パラレルワーカーという、パラレルワールド!?

昨年3月のNOMAyadoプレオープンから数えて、早いものでもうすぐ1年になる。 宿主としての業務にもようやく慣れてきたこともあり、昨年秋には「泊まるだけじゃないNOMAyado」と銘打って、宿泊される他府県の方だけで無く、地元の方々にも訪れて頂けるイベントを開催することもできた。 一方でこの1年、従来の映像ディレクターとしての仕事も粛々と続けてきた。宿を始めると言うのも初めての経験だが、同時に全く違う2つの仕事を遂行するというのも初めての経験。 こうした2足のわらじ的

自分へのおもてなし

突然ですが、弓道を始めることにしました。 昔から、誰かに教えを請うたり、じっくりと物事に向かい合う事が苦手で、何をするにも、ひらめきと自分勝手な要領とやり方でやるというのが常。だから習い事なんて、幼い頃にお菓子欲しさに書道教室に通って以来のことです(笑)。 ・・・にもかかわらず、 60歳を超えて、今頃なぜ弓道を習い始める気になったのか。自分のことながら、うまく説明できないのですが、とにかくチャレンジしてみたいと思ったのです。 私が初めて実際に弓道を目にしたのは、今から2

鳴門海峡 冬の風物詩

冬の訪れと共に、NOMAyadoのある小さな港町が活気づいてきた。 鳴門名産であるワカメの種付け作業が佳境を迎えており、種付けに使うロープを積んだトラックが行き来し、NOMAyado前の小さな港からも頻繁に漁師の船が出入りするようになった。 鳴門ワカメの歴史は古く、1000年以上昔の文献にも阿波の国(徳島県)の貢物としてワカメが使われていたという記録があるほど。年間の生産量はおよそ7700トン、生産量では三陸ワカメには及ばないが、鳴門ワカメは強いコシが特徴。鳴門海峡の激し

村上春樹、再び

私が初めて村上春樹の本と出会ったのは、カトマンズの小さな古本屋。 日本を離れて2ヶ月が経とうとしていた時だった。 インドを旅する友人からのエアメールに触発されて、バックパックを背負って旅に出たのは、今からもう40年近くも前のこと。 インド北部のベナレスという街に魅せられ、ガートと言われるガンジス川の沐浴場に、来る日も来る日も通い続けた。そこはヒンズー教の聖地で、信徒たちが毎朝川に入り、祈りを捧げる場所。観光客をはじめ、サドゥと言われる世俗を離れた出家者、川で洗濯する洗濯屋

リアルであること

「泊まるだけじゃないNOMAyado」第一弾の展覧会が始まって、 日々、アートに囲まれて暮らす喜びを噛み締めているイボンヌです。 ひとりの時間に、一点一点じっくり作品と向き合っていると、繊細な筆のタッチや、油彩ならではの色の輝きなど、写真などで見ているのと違って、絵画に命が吹き込まれていることを肌で感じることができる。 やっぱりリアルでしか、分からないこと、感じられないことがあるんですね。 今の時代、人もモノも見栄えやイメージが先行して、なかなかリアルな姿というのか、本

深く味わえる自分でいること

落語が好きだ。 もともとうちの奥さんが落語好きで、柳家さん喬、柳家喬太郎、立川志の輔、春風亭一之輔など、彼女が贔屓にしている落語家さんの会にも顔を出すようになって、ますますその奥の深さを知り、抜けられなくなってしまった。 落語というのは舞台セットのない演劇のようなもの。 巧みな話術と感情表現を交えた人情噺などを聞くと、思わず涙がこぼれるなんてことも起きる。何もない舞台を前にしているはずなのに、頭の中に次々と映像が立ち上がってくる。上手い落語家というのは、ただの語り部ではな

才能とは、自然とできる行動のこと

元来、あまり自己肯定感が高い方ではない。 できることより、すぐにできないことを数えるし、たまに俺って天才と思うことがあっても、その考えはあっという間にスルスルと萎んでしまう。 先日、「自己理解」のコーチングというお仕事をされているお客様が来られた。 「自己理解コーチ」とは、やりたいことが見つからない、どう生きていけばいいのか分からない、そんな迷える若者に自分とは何者で、何が得意で、何が好きか、対話の中から、その人ならでの才能や価値観、個性に気づかせてあげるお手伝いをすると