10分くらいでわかる2021年10月リリースのCC 2022の新機能・機能強化(Illustrator、Photoshop、InDesign、Adobe Fonts)
Adobe MAX 2021のタイミングでCC 2022がリリースされました。Illustrator、Photoshop、InDesign、Adobe Fontsについて「何が変わったのか」を10分で理解できるようにまとめてみました。
Illustrator
Illustratorのバージョンは26になりました。
目玉は[3Dとマテリアル]効果
(互換性のため、従来の機能も「クラシック」として残っている)「山路を登りながら」のサンプルテキストがデフォルトでOFFになりました(意図せず「山路を登りながら」が制作物に残ってしまう山路問題の解決の糸口に)
Adobe Fontsの自動アクティベート機能がようやく追加。ただし、デフォルトではOFFなので環境設定で変更が必要
別記事に詳しくまとめています。
Photoshop
Photoshopのバージョンは23になりました。
ニューラルフィルター(の進化)
すでに各所で話題になっていますが、追加された新しいフィルターが評判です。
風景ミキサー(Landscape Mixer)
調和(Harmonization)
カラーの適用(Color Transfer)
フィルターによってクラウドでなく、ローカルで実行するようになりました(通信環境が悪くても使えるように)。
風景ミキサー(Landscape Mixer)
非常に話題になっているデモ向け機能…w
プリセットの画像を使って、“いい感じ”に合成してくれます。次のようなパラメーターでの調整も可能。
日の入り
春
夏
秋
冬
竹林をぱっと雪景色にしたり、
砂漠を緑化するのも一瞬です。
調和(Harmonization)
PSDファイル内で指定したレイヤーに合わせて画像を馴染ませてくれる機能です。従来からある[カラーの適用]のAI版と言えます。
スライダーバー形式の調整コントロールで微調整することも可能です。
カラーの適用(Color Transfer)
参照画像から画像に適用します。
オブジェクトファインダー
自動選択が次のように進化しています。
[A]被写体を選択:カンバス内で自動認識
[B]オブジェクト選択ツール:ドラッグした領域で自動認識
[C]オブジェクト選択ツール+オブジェクトファインダー:カンバス内で複数の被写体を自動認識し、マウスオーバー(ホバー)で選択
[レイヤー]パネルで[すべてのオブジェクトをマスク]を実行すると、オブジェクトごとにマスクされ、別レイヤーになります。
グラデーション
グラデーションに3つのオプションが追加されています。
左から、知覚的、リニア、クラシックです。
白黒だと、さほど…?という感じですが、次のようなカラーだと顕著です。一番右のクラシックでは、中央部分が“くすんで”しまっています。
当然ながら下位互換性はないので注意したい。
Illustratorからのコピー&ペースト
IllustratorのアートワークをPhotoshopにコピペする際、スマートオブジェクト、ピクセルなどの選択肢しかありませんでした。
Photoshop 2022(23.0)でペーストすると、[ペースト]ダイアログボックスで「レイヤー」を選択できるようになっています。
「レイヤー」を選択すると、オブジェクトごとにレイヤーになり、Photoshopでパスも再編集可能です。
この進化はちょっと驚き!!(IllustratorからInDesignへ…が欲しいですよね)
コンテンツ認証情報(Content Credentials)
Photoshopでの修正履歴を参照できるようになっています。
β版扱いのため、利用するには、環境設定で[コンテンツ認証情報を有効にする]オプションをオンにし、再起動する必要があります。
[Content Credentials (Beta)]パネルの[Preview]ボタンをクリックすると、別途、[Content Credentials (Beta)]というウィンドウが開き、次の情報を確認できます。
Produced with:制作したアプリケーション
Edits and Activity:編集履歴
Asset Used:利用した素材
Produced by:制作者
[プロパティ]パネルでの文字関連の実装
[プロパティ]パネルが再構築され、パネル下部に[東アジア言語の機能]セクションが追加されました。
文字ツメ
組み方向の切り替え
縦中横
縦組み中の欧文回転禁則
トラブル情報
すぐに修正されるとは思いますが、あれ?と思う方はチェックされてください。
アップデート後に普段できた操作ができない
別アプリで作成したTiffファイルを開けない。「ドキュメントの種類が適切ではありません」というエラーになる
マウスホイールでのズームショートカットが遅延する
タッチスクリーンを利用するとクラッシュする
InDesign
InDesignのバージョンは17になりました。
用語の変更
「マスターページ」が「親ページ」になりました。「マスターページアイテム」なども同様です。
画像から抽出
画像から「カラーテーマ、シェイプ、文字」を抽出するAdobe Captureの機能をInDesignから利用できるようになりました。
カラーテーマ:配色パレットの作成
シェイプ:ベクトル化(モノクロ)
文字:
このうち、[文字]が要注意です。ローカライズとして[フォント]が最適でした。
テキスト情報は抽出できません(=OCR機能はない)。
類似フォントの対象は欧文フォントのみ
[CCライブラリ]パネルの下部の[+]ボタンをクリックし、[画像から抽出]をクリックして呼び出すこともできます。
UIの拡大・縮小
IllustratorでCC 2018から実装されていたスケーラブルなUIがInDesignにも実装されました。
下のスクリーンショットでは2段階ですが、お使いのモニターによって段階は異なります。変更後には、InDesignに再起動が必要です。
いかんせん極端というかメニューバーのテキストとのバランスが悪すぎ… ちょっとだけ大きくできたらいいのに…と思います。
Illustratorショートカット、Photoshopショートカット
少し前のInDesignから「Illustratorショートカット」「Photoshopショートカット」が用意されていますが、InDesign 2022ではIllustratorアイコン、Photoshopアイコンで変更できるようになっています。
「Illustratorショートカット」「Photoshopショートカット」が使いものになるかは…について「話は別」です。私(鷹野)の意見は逆で、InDesignに合わせて、Illustrator、Photoshopの方を変更するのがよいと考えています。
バグフィックス
透過PNGを配置すると、透過部分が黒くなる仕様は、InDesign 2022で解決されています。
バネ仕掛け(spring-loaded)機能が微調整されているようです。
必要システム構成
現時点ではmacOS Monterey(12)には非対応です。
https://helpx.adobe.com/jp/indesign/system-requirements.html
クラウド関連
Illustrator、Photoshopに[コメント]パネルが付きました。クラウド共有したドキュメントへのフィードバックをアプリケーション内で確認できるようになっています。
Adobe Fonts
新書体が多く追加されています。
個性的な「ヒグミン」
毛筆フォントメーカー「昭和書体」の「黒龍爽」と「心龍爽」(『鬼滅の刃』で採用されているフォント)
大日本印刷の「秀英にじみ初号明朝」と「秀英にじみ明朝」
Font1000のフォント34種。
新書体をまとめたPDFのダウンロードが可能。
「黒龍爽」「心龍爽」
「黒龍爽」と「心龍爽」のように「爽」がついているフォントではアンカーポイントの数が抑えられています。
ダウンロード
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