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Illustrator 2023(27.0)の新機能や変更点

Adobe MAX 2022に合わせてIllustrator 2023(27.0)がリリースされました。

すでに日本語の新機能ページが公開されていますが、いつものようにDTP Transit流に掘り下げてみます。

クロスと重なり

非破壊で互い違いの重ねを実現できる「クロスと重なり」機能が追加されました。今のところ、「キレイに拡張できない」というアラはありますが、久しぶりにときめく新機能です!

投げ縄的にドラッグした領域を覚えているので、そこからはみ出すと崩れます(内部的にマスク処理されています)。

ちなみに英語版では「Intertwine」(インタートゥワイン)と呼びます。
紅茶の「トワイニング」がtwineに由来しているかは定かではないですが、twine → twiningです。

秀逸な使用例

むっちゃセンスいい。ステキです!

Illustratorの3Dと組み合わせる方も!!!


出力はダメそう…

PDF書き出し、InDesignへの配置ともに低解像度でビットマップ化されてしまいます。結論として、現時点では仕事では使えません。

出力のための拡張方法

「クロスと重なり」は、そのままでは出力できませんので、最終的には拡張しましょう。


  1. [透明部分の分割・拡張]を実行(線、テキストともにアウトライン化、透過画像や透明度を落としている場合には[アルファ透明部分を保持]オプションもONに)

2.  パスファインダーの[合流]を実行

3. アウトラインモードに切り替えて、余分なパスを削除

末尾に、アクション化したものを入れておきます。

いつもながらIllustratorの新機能は「公開ベータ版」ですので、ゆったり構えて行きましょう! こういうのこそ「Beta」って付けておいて欲しいですよね。

追記

2022年12月リリースの27.1.1アップデートで、「クロスと重なり」のビットマップ化問題は解決されています。しかし、拡張を行うには[分割・拡張] → パスファインダーの[合流]を行う必要があります。

また、[パスのオフセット]効果をかけてセパレーションカラー(白というか透過)を作成できるようになっています。

IllustratorとInDesignの間のテキストコピー&ペースト

Illustrator←→InDesignでテキストのコピー&ペーストがサポートされました。
まったく完全ではありませんが、フォントやフォントサイズも保持されます。

当然ながら、Illustratorに適用しているアピアランスは、InDesignに配置すると抜け落ちます。

注意したい点

Illustrator 2023(27.0)からInDesign 2023にスミ文字をコピー&ペーストすると、K100のカラーがRGBになってしまうようです。自分の環境でも再現しました。

3Dの改良

2つの新しいエキスポートフォーマットがサポートされ、ほかの3Dアプリケーションにスピーディに共有できるそうです。

  • USD

  • GLTF

※このあたりはカバー外です。

検索パネル:クイックアクションが追加

5つの「クイックアクション」が追加されています。

  • スケッチをベクターに変換

  • カラー変更

  • レトロテキスト

  • ネオン光彩テキスト

  • オールドスクール

テキスト関してのアクション(=アピアランス)は「コレ!?」って感じですが、今後、増えていくと思われます。

[ヒストリー]パネルに[削除]が追加

[ヒストリー]パネル下部に[削除]ボタンが追加され、特定のステップ以降を削除できるようになりました。

[ヒストリー]パネルメニューの[削除]から実行することもできます。

注意点

  • 必ずアラートが出ます。optionキー(Altキー)を押しながらだと出ないオプションはないようです。

  • この[削除]を実行すると、アートワークは巻き戻ります。取り消しができず、「さっきの状態に戻りたい」は絶望的にムリです。

  • [ヒストリーを削除]コマンドは、ヒストリーパネル上のリストのみを削除し、アートワークは巻き戻りません。

レビュー用に共有(ベータ)

[共有]ボタンに[レビュー用に共有(ベータ)]機能が追加されました。

次のようなワークフローです。

  1. [レビュー用に共有(ベータ)]をクリック

  2. ユーザーを招待、または、発行されるURLを共有

  3. 招待されたユーザーはブラウザー上で校正指示

  4. 校正指示はIllustratorの[コメント]パネルに反映

  5. 該当箇所にスピーディに移動できる

[コメント]パネルのフォントがヘンです…

InDesignで一足先に実装されていた機能で、Illustrator 2023(27.0)と同時にPhotoshopでも実装されました。

InDesignで「見開き」を使っている場合、指示箇所が盛大にズレましたが、Illustratorのアートボードに対応できるのか……(ムリそう)

新機能ページに掲載されていない変更点

新機能ページに掲載されていない変更点(こっちの方が大事だったりしますよね)を紹介します。

分布がメニューコマンド化

分布の6つがメニューコマンド化されました。デフォルトではキーボードショートカットは未設定ですが、設定可能です。

[オブジェクト]メニューに[整列]が追加されたのは2019年10月リリースのIllustrator 2020(正確にはIllustrator CC 2019 / 23.1)。

残るは[等間隔に分布]!!
[分布]より[等間隔に分布]の方が使う頻度が高いんですけど…

[アクション]パネルにキーボードショートカットが表示

[アクション]パネルにキーボードショートカットが表示されるようになっています(従来はボタンモードのときのみ表示されていた)。

キーボードショートカットに使えるのは「commandキー、shiftキー、F1-F15キーのみ」という制限は変わらず… この制限が外れ、キーボードショートカットの自由度が高まる日を強く待ち望んでいます。

デフォルトのファイルの保存先(クラウド/PC)

環境設定の[ファイル管理]カテゴリに[初期設定のファイルの場所]が追加されています。次を選択できます。

  • Creative Cloud(クラウド)

  • コンピュータ(PC)

一部のユーザーには5月にフライングで実装されていましたが、Illustrator 2023(27.0)で正式にサポートされました。

[共有]ボタンのカラー変更

環境設定の[ユーザーインターフェイス]に[共有ボタン]のカラー設定が追加されています。

[明るさの設定に一致させる]オプションを選択すると、アプリケーションバーの[共有]ボタンが悪目立ちしなくなります。

Photoshopでは[ニュートラルカラーモード]という名称です。こういう文言は揃えるのが望ましいです(ちなみに「ニュートラルカラー」は意味が通じない)。


バグフィックス

次のバグが修正されているようです。

詳しくはアドビの「修正された問題」ページにて。

ヒストリー項目

修正されたとのことですが、Illustrator 2023(27.0)でスクリプトを実行すると、「取り消し」「取り消し」が入ってしまいます…


アップデートは慎重に

ここ2年近く、アップデートの度に日々の仕事で困る“やらかし”がつきまとっています。

今回も、パッケージするとリンクファイル名の拡張子が二重になってしまうという深刻な不具合があり、「ダウンロードして使ってください」とアナウンスされています。

ぜひ、UserVoiceに投票しましょう。

アップデートは慎重に。そして、古いバージョンが消えてしまわないようにCreative Cloudデスクトップの環境設定を見直しましょう。

こちらの記事もご一読ください。


PDF&出力の手引き2023

アドビからCC 2023対応のPDF&出力の手引き2023がリリースされています。次の2つは、とてもよくまとまっている貴重な資料(PDF)です。

ぜひ、ダウンロードして精読しましょう!


ダウンロード

「クロスと重なり」

「クロスと重なり」をKeyboard Maestroパレットから行うKeyboard Maestroマクロ集(要:MaestroPack)。

  • control + X:パレットを表示

  • ⌘ + control + X:クロスと重なりを拡張

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