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米国における歯科保険の仕組み②

日本とは異なり、歯科医療保険への加入は任意である米国では、保険商品の提供元は国家ではなく、民間企業が担っています。

2015 NADP/DDPA Joint Dental Benefits Reportによると、

64 percent of Americans (about 205 million people) had dental benefits in 2014. About 114 million Americans had no dental coverage.

2014年度において、歯科保険を所有する米国人は全体の64%(おおよそ2億人)であり、約1億1400万人は歯科保険を持っていません。

世界最大の経済力、影響力等を持つ米国において、おおよそ3人に1人は歯科保険未加入と言う非常に興味深い統計が出ています。


では、歯科保険の中身を覗いていきますが、その前に、、

米国の保険商品は非常に複雑にできており、まず、HMOとPPOと言われる2種に分けられ、さらにここからカバーされる額によってグレード分けされ、さらにさらに、民間保険会社も多数あるので、月額の支払い額、カバー率は各保険会社の商品で変わってきますのであくまで参考としてお読み下さい。

と言うわけで、歯科医院も含めた医療施設の90%以上で利用できるBlue Shieldを見てみましょう。

Blue Shieldが提供する歯科保険はPPO3種とHMO2種の計5種。

その中から、最も月額料金の高い保険サービスについてみてみましょう。

左In-Networkと右Out of Networkとありますが、保険適応ネットワーク内か外かと言う意味であり、今回は左側を見ていきます。

まず、予防診療は基本的には$0となっており、無料です。

次にコンポジット(レジン)充填は1本$37(一級インレー) 2級インレーの場合は表には書いて無いですが、$56

根管治療は前歯$156 臼歯$234 ポーセレン1本$265

の自己負担額と言った形になっています。


ただし、年間を通して$50はまず自己負担が必要であり、それ以降上記の保険額となります。さらに、Benefit Maximumが$1,000で設定されており、年間を通して保険会社が支払ってくれる最高額は$1,000までであり、これを超えた時点で全額自己負担となります。

そしてこの保険商品のお値段ですが、月額$41.40/年額$496.80(おおよそ5万3000円)となります。


次に2番めに高い保険商品を見てみましょう。

こちらも予防診療は基本無料。

コンポジット(レジン)は自己負担額は20%

ポーセレン1本修復時は自己負担額は50%

となっています。

ただし、前述と同じく、保険が適応されるにはまず年額$50の自己負担が必要となり、年間を通して保険会社が負担してくれる額は$1,250まで。

月額の保険額は$31.80となり、年額$381.60(おおよそ4万円)となります。

共にオールセラミック修復物は保険対象外となります。


歯を1本治すのに8万〜15万円程する米国。この様な保険システムであると、保険適応で治せるのは年間2本が限界でしょう。予防治療は基本無料となっていますが、無料で予防治療を受ける為には年額4万円以上の保険代が必要であり、無料のようで無料ではありません。







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