【B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2022-23】 8チームの特徴と『対勝率6割以上』のスタッツ
こんにちは、hiroです。
今回はCSに出場する8チームをスタッツを出しながら特徴を簡単にまとめていき『対勝率6割以上の相手』相手になったらどうなっているのかという点も含めて書いていこうと思います。
今シーズンは横浜BC以外のCS出場7チームが勝率6割以上の成績を残しています。
推しチームや対戦するチームや気になってるチーム、注目の対戦カードだけでも読んで頂ければと思います!『とりあえずこれだけ見ておけ!』だけでも良いので読んでみてください!今回の記事がCSの楽しみになって頂けたら幸いです!
では、行きましょう!
【注意】
・速報スタッツと後日変更される確定スタッツの関係上、誤差がある可能性があります。
・4月中旬からBリーグ公式で詳細なスタッツが見れるようになりましたが、今回扱っているPOSSはBリーグ公式と違う計算式を利用しているため数値が異なります。今回扱っているPOSSの定義はオフェンスリバウンド後のオフェンスもPOSS回数にカウントされます。故にPOSSの数値を使って算出しているペースやレーティングの数値も公式とは異なります。その点はご理解の上、読んで頂けたら幸いです。
↓去年のCS前に書いた記事。たくさんの方に読んで頂きました。ありがとうございました!
とりあえずこれだけ見ておけ!
これから各チームのいろいろなスタッツを紹介していきますが、とりあえず「これを抑えておけば楽しめる!」っていうものをご紹介。このデータはCSに出るほぼすべてのチームに言えるものなので、とりあえずこれだけ見てからCSを見て欲しい(笑)
1Qを制するものはゲームを制す
上の図は1Q終了時にリードしていた時、同点だった時、ビハインドだった時の勝率をまとめたもの。ご覧の通りCSに出場する強豪は1Qリードをしたらほとんど負けない。CS出場チームの1Qリードで終えた時の平均勝率は.866だ。千葉J、琉球、名古屋D、A東京は9割以上の勝率を残している。
一方で、1Qビハインドで終えた時の勝率はどこのチームもガクッと下がっている。勝ち越しているのは千葉J、琉球、島根のわずか3チームのみ。
2戦先勝の短期決戦なだけに、試合の入り方はこれまで以上に重要になるはず。1Qの攻防から目を離すな!
千葉ジェッツ vs. 広島ドラゴンフライズ
RS最高勝率を更新し東地区を圧倒的な強さで制して6シーズン連続CS出場の千葉Jと、カイル・ミリングHC体制2年目で悲願のCS進出を果たした広島の対決。今シーズンの対戦成績は1勝1敗だったが、11月での対戦であり、開幕から10試合目とお互いに今と状況が違うと言える。千葉Jは大倉颯太が負傷離脱してしまったが、小川麻斗などの若い力が加わった。広島は3月にカイ・ソットが加わり、ビッグラインナップというオプションも手に入れた。
船橋アリーナで開催されたCSは、千葉Jが通算10勝3敗(ミニゲームのGAME3の結果含む)と高い勝率を残しているが、昨シーズンはQFで宇都宮相手に2連敗を喫している。しかし、千葉Jは今シーズンのホームでの試合は26勝4敗とリーグ1位タイの強さを誇っており、千葉Jはここからが本番だということを一番理解しているかもしれない。
千葉ジェッツ
今シーズンの特徴的なスタッツ
今シーズンの千葉Jの特徴は3P。成功数、試投数ともにリーグ1位で、3Pの試投割合も総得点における3Pの得点割合もともにリーグ屈指。では2Pはどうなのかというと、試投数は少ないもののリーグ1位の高確率で決めきる力があり、相手の2Pはリーグ2位の低確率に抑えている。
シュートも効率的だが、ターンオーバーが少ないことが質の高さを加速させている。ターンオーバーの数も割合もリーグ1位の少なさで、ターンオーバーからの失点数も一番少ない。かつ、ターンオーバーからの得点は3番目に多く、ここで約5点分の差を付けている。
千葉Jの特徴として外国籍選手+帰化枠orアジア特別枠の選手の平均得点が2番目に多いこともあげられる。逆に相手の外国籍選手+帰化枠orアジア特別枠の平均得点を2番目に少なく抑えている。得点は多く取り、失点は抑える。この項目の差し引きが+10.78と他のチームを圧倒している。
『1Qを制するものはゲームを制す』と書いたものの、千葉Jの場合は1Qだけでなく全てのQが強い。各Qの得失点を見てみると2Qと4Qがリーグ1位、1Qと3Qがリーグ2位、前半と後半の得失点がどちらもリーグ1位というチートっぷり。
個としてもチームとしての質も高く、攻守のありとあらゆる項目でリーグ屈指の数値を残している千葉Jは本当に隙がない。正直どの項目を取り上げたら良いかわからないくらい、どの項目も素晴らしい。オフェンシブレーティング1位、ディフェンシブブレーティング3位、ネットレーティング1位と攻守で最高の質を誇るチーム。間違いなく今回の優勝大本命だ。
シチュエーション別勝敗傾向
ご覧の通り、どんな状況でも千葉Jは強い。千葉Jに勝つには、千葉Jの得点をいかに抑えて接戦に持ち込めるかだろう。唯一3Q終了時ビハインドだった時は心配になるかもしれない。逆にそうならなければジェッツブースターは自信を持って応援出来るだろう。
対勝率6割以上相手のスタッツ
勝率6割以上の相手にも10勝4敗.714(天皇杯を含めると12勝4敗.750)とどこが相手でもお構いなしに強い千葉J。特徴的なのはシーズン平均同様に殴れる攻撃力。勝率6割以上相手に平均86.00得点とトップの数値を残している。それもそのはずでFG46.73%、2P56.41%、3P35.60%とこれら全てリーグ1位。そして、シーズン平均と変わらずターンオーバーも9.86と一番少ない(TOV%も11.68%で1位)。逆に相手のターンオーバーは13.71と一番誘発させている(TOV%も16.04%同様)。ORtgは101.91と唯一100を超えている。本当にオフェンスの質が高いのだ。
まぁディフェンスも強いんですけどね。平均失点は78.64で4番目に少なく、DRtgにすると91.99の3位。NETRtgも勝率6割以上の相手に+9.92を残しており、2位島根の倍以上である。強すぎる。
個人的に気になる選手
ヴィック・ロー
昨シーズンのオーストラリアNBLファーストチームに選ばれた外国籍選手は、中、外、個人技、パス、機動力良しで攻守に万能だ。攻撃ではハンドラーからロールマン、守備では相手のエースプレイヤーに付いたかと思えばセンターを守ったり。今シーズン初めて日本に来た外国籍選手の中で、ベストプレーヤーの1人が間違いなくローだろう。個人的には来シーズンの外国籍選手のトレンドを変えてしまうような活躍を見せていると思うので、CSでもどんなプレーを見せてくれるのか楽しみ。最終節戦っててまじで凄かった…笑
怪我人情報
大怪我をした若手2人の出場は難しそうだが、主力メンバーは大きな怪我無く出場できそう。
広島ドラゴンフライズ
今シーズンの特徴的なスタッツ
広島はありとあらゆるシュートの成功率が高いチーム。全てのシュート成功率がトップ5に入るほどにレベルが高く、バランス良く得点できる。高確率ということもあってか、セカンドチャンスからの得点割合が低いのも特徴だろう。これらを武器に3位の平均得点と、オフェンシブレーティング2位という記録を残している。
守り方としては2Pを極力打たせず、3Pを打たせるという戦略をとっているのがスタッツからわかる。QFで対戦する千葉Jは前述通り3Pを多く打つチームなので、この噛み合わせがどのように影響を与えるか注目したい。
広島は相手のターンオーバーを誘発し、そこからの得点が多いリーグ有数のチームなのだが、シーズンが進むにつれてターンオーバーからの得点は減少傾向。逆にシーズンが進むにつれて増えていったのはブロックショット。カイ・ソットが加入した終盤20試合のスタッツを見てみると、相手のターンオーバーは12.37に減り、ターンオーバーからの得点も14.79に減っている。逆にブロックショットは3.21と増えており、この間3位という成績。ビッグラインナップを使う機会も増えているので、それに影響しているのかもしれない。
2位の千葉Jを抑えて1Q得失点1位のチームは広島なのだ。広島が千葉J相手にも1Qリードで進められるとQFが面白くなりそうだ。
シチュエーション別勝敗傾向
実は広島は前半戦は25勝5敗と好調だったものの、後半戦は16勝13敗と失速気味。また、GAME2では12勝11敗とCS出場8チームの中で最も勝率が低い点も気になる。QF千葉JにGAME1負けてしまうと、スイープで敗退という可能性も上がってしまうだろう。
対勝率6割以上相手のスタッツ
リーグ最高レベルのシュート成功率を誇る広島だが、勝率6割以上が相手になると成功率が落ちてしまっている。平均得点も84.05→78.11まで下がり、オフェンシブレーティングも101.41→92.86と質が落ちてしまっている。
一方でディフェンス面は比較的安定しており、平均失点は78.42→80.39で1.97点増え、ディフェンシブレーティングは92.44→93.32と+0.88なので、それほど変わらない。ブロックショットはシーズン平均から2.46→3.06と増えているのは、勝率6割以上と対戦した10試合がソット加入後というのも関係ありそう。
どちらにせよ、広島の場合はオフェンスの質をいかに上げるかに懸かっていると言えよう。
個人的に気になる選手
辻 直人
広島2シーズン目の辻は、Bリーグキャリア最高のシュート効率を記録したシーズンだった。3P%は38.90%で日本人3位、eFG%が57.52%、TS%が59.96%でともに日本人トップの高確率。辻はシュートだけでなくプレーメイクも出来るし、川崎でビッグラインナップを操っていた経験も広島で活きている気がする。また、CS初出場の広島において、CSの経験がある辻の存在は大きいだろう。
ちなみに、辻は千葉Jに相性がめちゃくちゃ良い。Bリーグ開幕以降でRSに対戦した千葉J戦16試合で、平均13.63得点4.00アシスト3Pが2.81/6.63の42.45%なのだ。
怪我人情報
シーズン終盤で辻の怪我のリリースが出た時はヒヤッとしたが、無事復帰している。万全の状態で挑めそうだ。
島根スサノオマジック vs. アルバルク東京
奇しくも昨シーズンと同じ対戦カードになった島根vs.A東京。今シーズンの対戦は2月に行われ、島根がホームで連勝。島根はフルロスターだった一方、A東京はジャスティン・コブスと田中大貴がIL登録のため欠場。今回のQFでも田中とコブスは怪我で出られない可能性が高いと思う。
それ以外にも代わる代わる怪我人が出てしまったA東京は、特にGの選手のやり繰りに苦慮していた印象。これは最終盤でも感じて、CSに出場する千葉Jと名古屋D相手に4連敗でRSを終えた。一方の島根は終盤戦で帰化選手のウィリアムスニカが戦線離脱してから6勝4敗と失速し西地区優勝を逃したものの、3連勝でCSに乗り込む。雰囲気良くRSを終えたのは島根かもしれない。
A東京はビュフォードを止めることは出来なかったが、ウィリアムスがいないとA東京がインサイドで主導権を握れそう。去年のCSは2勝1敗でホームの島根がSFに勝ち進んだ。さぁ今回はどうなる?
島根スサノオマジック
今シーズンの特徴的なスタッツ
安藤誓哉、ペリン・ビュフォード、ニック・ケイが平均30分以上プレーしている島根は、スターティング5の得点が一番多く、逆にベンチポイントが一番少ない。ちなみに名前を上げた3人の平均得点を足すと53.92点だ。
昨シーズンからの継続路線ということもあり、特徴もあまり変わっていない。3Pを多く打ち、相手には3Pをとにかくやらせないチーム。昨シーズンからアップグレードされている部分は成功率。島根の3P成功率は36.22%の1位、対戦相手の3P成功率は30.44%と一番低く抑えている。3Pだけで約9点分の差を作っている。
継続路線からディフェンス面でも磨きをかけているのが今シーズンの島根。今シーズン相手のeFG%を2位と低く抑えているが、昨シーズンからは3.13%落とすことに成功。平均失点も-2.87低くなり、ディフェンシブレーティングでも-4.02と向上している。
シチュエーション別勝敗傾向
島根で際立っている部分が2つあると思っていて、ひとつが1POS差決着(3点差以内の決着)の成績。1POS差決着での6勝は2番目に多いのだが、勝率は堂々の1位だ。ビュフォードと安藤といったクラッチタイムに強い選手がいる影響が大きそう。もうひとつがお互いに80点に満たないロースコアゲームの成績が16勝0敗で無敗だということ。守り合いでも滅法強いのが今シーズンの島根。
対勝率6割以上相手のスタッツ
シーズン平均と同様に3Pの得点も多く、相手には3Pをやらせていない。強豪相手にも自分たちのやりたいバスケが出来ている印象。勝率6割以上相手の成績は10勝8敗で、ニカウィリアムスがいなかった試合も3勝2敗で勝ち越せている。
唯一気になる点でいうとオフェンスリバウンドを多く取られ、セカンドチャンスからの失点が増えていること。昨シーズンと比べてオフェンスリバウンドが減り、相手のオフェンスリバウンドが増えており、セカンドチャンスからの得失点もそれに相関する。勝率6割以上相手になると相手のオフェンスリバウンドが11.70→13.78と2.08増えており、セカンドチャンスからの失点は11.82→14.28と増えワースト4位。これまでのCSを見ていても、オフェンスリバウンドの重要性は増していくし、QFで戦うA東京はオフェンスリバウンドが強いチームなので注目したいポイントのひとつだ。
個人的に気になる選手
リード・トラビス
右第三中手骨骨折で約2ヶ月離脱したトラビスは、復帰後も本調子とは程遠い内容になっているのが正直なところ。昨シーズンから平均得点が2番目に減ってしまった選手がトラビスで、復帰後26試合中二桁得点の試合が12試合に留まっている。しかし、昨シーズンCSでのA東京戦の活躍はまだ記憶に焼き付いているし、今シーズンの直接対決でもハイライトのような爆発を見せている。安藤、ビュフォード、ケイが平均30分以上プレーしている中で、ベンチから出てくるトラビスの得点面での貢献は重要なファクターになると思っている。
怪我人情報
RSラスト10試合を欠場したウィリアムスの状態が気になる。ビュフォードをSFで起用する上でウィリアムスの出れる出れないで影響が大きい。
アルバルク東京
今シーズンの特徴的なスタッツ
A東京はフリースローとオフェンスリバウンドからのセカンドチャンスで優位に立ち、3Pと速攻をやらせないスローペースのチーム。
オフェンス面では2P試投数が2番目に多く、逆に3Pは最も少ないチーム。2P成功率自体は低いのだが、フリースローの獲得率が高く、フリースローでの得点が多い。ルカ前HC時代の代名詞になっていたペリメーターからのシュートは、昨シーズンに比べると減っているが本数自体は2位とまだまだ多い。
オフェンスリバウンドが強いのもA東京の特徴。セバスチャン・サイズやライアン・ロシターを中心に、オフェンスリバウンドの本数と獲得率がリーグ2位。セカンドチャンスからの得点がリーグ3位だ。
ディフェンスで言うと、相手に一番3Pを打たせないチーム。そして、オフェンス面で長所である、フリースローとオフェンスリバウンドは相手にはやらせていない。『お互いに2Pでやり合おうぜ。でもお前らにはフリースローもリバウンドも与えないけどな』って感じだろうか。お気づきかもしれないが、QF島根vs.A東京はお互いに3Pを打たせないチーム同士の対決である。
また、CSに出るチームの中では一番ペースが遅く、速攻での得点も失点も少ない。ハーフコートでやり合うのがA東京のスタイルだ。
シチュエーション別勝敗傾向
スタッツやシチュエーション別勝敗傾向から見ても、ディフェンスで抑えてリードしながらコントロールした試合は強いという印象。気になるのが、アウェイになると18勝12敗と勝率が.600まで落ちているところだ。点の取り合いはしたくないはず。
対勝率6割以上相手のスタッツ
去年のnoteに『アルバルクのここ数シーズンの課題となっているのが、上位チーム相手に得点が伸びないこと』と書いたのだが、HCが変わった今シーズンもその傾向ではある。ただ、個人的にはどちらかというと今シーズンはディフェンス面の方が気になる。
シーズン通してやらせていない3Pは勝率6割以上が相手になると成功数、試投数、成功率が全て増加。故に3Pでの得失点は-0.20→-4.07と相手に多く決められている。
また、ペイント内でも勝率6割以上が相手になると56.06%→60.48%と高確率で決められており、勝率6割以上が相手だと-2.00とペイント内でも上回られてしまっている。
個人的に気になる選手
安藤 周人
1月の月間MVPを受賞した安藤周人。その1月は平均18.4得点4.5アシスト3Pを43%で沈めたのだが、CSでもこのスタッツと同じくらいA東京のオフェンスを背負う必要があると思う。直近1ヶ月は平均12.6得点2.5アシスト3P41.7%で沈めており充分素晴らしいのだが、CSで勝っていくためには月間MVPを受賞したレベルの活躍が必須になると思う、コブスが出れないとなると尚更。平均4.3得点2.3アシスト3P11.1%だった昨シーズンのCSのような活躍では厳しい。一皮剥けるか?
怪我人情報
キャプテン田中大貴がシーズン序盤で離脱し、終盤には藤永とコブスといった主力PGが離脱してしまった。特にコブスは千葉J戦の負傷のシーンを見るとQFに戻ってくるのは厳しいと感じた。戻ってこれてもハムストリングは再発が怖い。
【2023/05/11 追記】
田中のIL解除が発表された。プレーするとなれば5ヶ月振りになるのだが、プレーすることは可能なのだろうか?
川崎ブレイブサンダース vs. 横浜ビー・コルセアーズ
中地区首位を争った2チームがCSでも相まみえる。これまで繰り広げられてきた神奈川ダービーは川崎が圧倒していた。しかし、今シーズンは天皇杯含め5回対戦し川崎の3勝2敗。横浜BCの2勝は河村勇輝の圧倒的な活躍があった中での勝利だったが、リーグ戦最後の直接対決2試合は欠場。川崎は4試合でマット・ジャニングが欠場、天皇杯ではニック・ファジーカスもいなかった。CSの会場となる、とどろきアリーナで行われた3試合は川崎の3戦全勝なのも気になるところだ。
4月の直接対決後の成績も少し気になる。川崎は7勝3敗で調子を上げてRSを終えたが、横浜BCは3勝7敗と河村復帰も5連敗フィニッシュでCSに突入する。
CS6回連続出場の川崎か、それともCS初出場の若き横浜BCか。激戦必至の神奈川ダービー勝者はどちらに?
川崎ブレイブサンダース
今シーズンの特徴的なスタッツ
今シーズンの川崎は昨シーズン程ではないものの、2Pよりも3Pに比重を置くチームということには変わりなし。特に終盤戦20試合は3P成功率が38.17%とこの間リーグトップの高確率。CSに向けてギアを上げてRSを終えることが出来たと言えよう。
数は少ないながらも、ニック・ファジーカスやジョーダン・ヒースを筆頭にペイント内のシュート成功率が高い選手がいるので、チームとしてもペイント内のシュート成功率は2位。ミスマッチを突きながら相手を揺さぶっていく。
また、川崎はサイズが大きいラインナップを組むことが多い割にはオフェンスリバウンドが少なく、セカンドチャンスからの得点も少ない。総得点に占めるセカンドチャンスからの得点の割合は一番少ないという具合。
ディフェンス面を見てみると、相手の3Pの試投数と成功数が多い。昨シーズンと比較しても成功数、試投数ともに増えているのだが、成功率を下げているのが良い方向に出ている。今シーズンは2-3ゾーンを使っていることをよく見かけたので、それも影響しているかもしれない。マイケル・ヤングジュニアが怪我で出場は厳しそうなので、CSではゾーンディフェンスを使う機会が増えてきそうな予感。
ディフェンス面でポジティブな部分をもう一つ上げるならば、ファウルの数が少なくフリースローを与える割合も少ないことだろうか。ただし、横浜BC相手には賢くファウルを使っていくべきだと思う。
シチュエーション別勝敗傾向
川崎は外国籍選手が2人以下で戦った試合が26勝12敗の計38試合と、シーズンの約2/3を外国籍選手が3人揃わない中で戦っていた。B1で外国籍選手が2人以下で戦った試合が20試合を越えたのは4チームのみということを見ても、これだけの成績を残せたのは素晴らしいと思う。あと、個人的には藤井やファジーカスがいる中で、1POS差決着で負け越しているのは少し意外だった。
対勝率6割以上相手のスタッツ
実は勝率6割以上が相手でもディフェンス面では割とポジティブだと思う。多少勝率6割以上の相手だとRSに比べて増えているけど、それはどこのチームも同じ。その中で特に気になったところを上げるならば攻守ともに3Pの部分。インサイドの得点やリバウンドはそこまで悪くないと思うので、CSを勝ち抜くためにはこの部分は気になるところ。
前述の通り川崎のオフェンスは2Pよりも3Pに重きを置いているが、勝率6割以上の相手になると3Pの試投数自体はほとんど変わっていないのに3P成功率が35.14%→28.87%と-6.27%も落ちている。故に3Pの得点が29.55点→24.25点にまで減ってしまっている。勝率6割以上の相手に得点が伸びていない一番の要因かなと。一方で、相手にはRS平均よりも高確率で3Pを多く決められており、3Pの失点が増えてしまっている。
RS平均と比べて対勝率6割以上の相手になると日本人選手の得点が11.08点減っているのは3Pが入っていないことが大きいと思うし、ジャニングのコンディションが黄色信号の中で勝ち進むには日本人選手のステップアップが重要になりそうだ。
個人的に気になる選手
藤井 祐眞
昨シーズンはシーズンMVPを受賞したものの、敗退したSFの宇都宮戦では2試合で計12得点でFG18.75%と完封されてしまった。今シーズンは昨シーズンほど目立ってはいないものの、CSに向けて調子を上げている。直近1ヶ月平均のスタッツはRS平均を上回り、特に3Pが41.89%と絶好調。川崎が勝ち上がっていくにはこの男の活躍が必要不可欠だろう。
怪我人情報
2人の外国籍抜きで戦う可能性が高そうだ。ジャニングはRS終盤ベンチにはいっていたが出場無し。シーズン序盤に怪我した部分の再発なので起用には慎重になるはず。
横浜ビー・コルセアーズ
今シーズンの特徴的なスタッツ
河村勇輝の圧倒的なパフォーマンスに目が行きがちだが、チームとしてステップアップしてのCS初出場だと言える横浜BC。河村や今シーズン加入したチャールズ・ジャクソン、デビン・オリバーといった走れるビッグマンの良さを引き出し、2番目にペースが速く、速攻からの得点も2位と多い。
リーグ屈指のリバウンダーであるジャクソンを中心に、相手にオフェンスリバウンドを与えていないところが良い。そこから河村や森井のボールプッシュで速い展開から安定した得点が生まれていると言えるだろう。
また、横浜BCの特徴としてペイント内で得点し、ペイント内で失点をしないことがあげられる。ペイント内シュートの成功数、試投数ともにリーグ2位の多さで、ここが安定しているからこその躍進。
一方のディフェンス。昨シーズンは一番ペイント内で打たせなかったチームだったのだが、打たれている本数自体は増えている。だが、相手のペイント内のシュート成功率を昨シーズンから3.86%も落とし、リーグ3位と簡単にやらせていない。
しかし、このチームには明確な弱点が2つある。ひとつが3Pだ。3Pの試投数自体はリーグ5番目に多いのだが、成功率はワースト3位と足を引っ張ってしまっている。ちなみに、川崎ホームで破れた3試合すべてで3P%がシーズン平均を下回っていた。
もうひとつがフリースロー成功率だ。これに関してはダントツのリーグワーストだ。特に外国籍選手3人全てフリースロー成功率ランキングのワースト20に入っているのは気がかり。CSという緊張感のある舞台で、河村にやられるくらいならフリースローが下手な選手に打たせるハック戦術も有効になってくる気がする。
シチュエーション別勝敗傾向
他のCS進出チームと比べてしまうとやや見劣りしてしまうのが正直なところ。3勝7敗と負け越したラスト10試合は平均85.50失点ということを見ても、いかに失点を抑えられるかが大事だと思う。
対勝率6割以上相手のスタッツ
勝率的にも他のCS出場チームよりも少し劣っている横浜BCだが、ペイント内の得失点に関しては特徴が出ていると思う。ただ、対勝率6割以上の相手になるとリバウンドでは相手に上回られている傾向が見られる。勝率6割以上のチームには帰化選手やリバウンドの強い選手がいるので、チーム全体でカバーする必要があるだろう。
そして、先程提示した2つの弱点も気になってしまう。3P%は31.70%→30.00%にまで下がり、FT%も62.48%→54.32%と更に悪化してしまっている。相手には3PとFTでRS以上に差を付けられてしまっているので、ここのマイナスをどこまで減らしていけるかも鍵になりそうだ。
個人的に気になる選手
森川 正明
大舞台で魅せてくれるのが河村勇輝だと思うので河村は除外。昨シーズンのエースとしての役回りから変わり、今シーズンは6thマンとしての出場が多い森川に注目。河村と外国籍選手の他に得点を期待したい存在でいうと森川が真っ先に出てくる。勝率6割以上のチーム相手に勝った5試合中3試合が森川が二桁得点、1試合が9得点だった。そして、この4試合はシーズン平均以上の成功率で3Pを沈めていた。三河時代はCSで出番が無かったので、横浜BCのユニフォームを着て暴れて欲しい。
怪我人情報
このチームの柱が最終節で負傷という心配な情報が出てきた。河村に関しては負傷箇所の検査でCS直前会見を欠場し代役で森井が出席している。「頼む河村無事であってくれ…」というのが率直な思いだ。
琉球ゴールデンキングス vs. 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ
熾烈を極めた西地区を戦い抜いた2チームの対決。最終盤で首位に躍り出て、6シーズン連続の西地区優勝を果たした琉球。対するは多くの怪我人を出しながらも、Bリーグ以降チーム最高勝率を更新してワイルドカード上位を勝ち取った名古屋D。終盤戦の戦いを見ても両チームともに良い状態でCSを戦うことが出来そうだ。この2チームは過去QFで2回対戦し、どちらも琉球が突破したが、2回ともに2勝1敗でGAME3まで縺れた。
今シーズンの対戦は4試合中3試合が名古屋Dホームで行われたが、琉球が3勝1敗と勝ち越した。最初の3試合は琉球は渡邉飛勇とカール・タマヨがロスター登録前で、沖縄アリーナでの試合は名古屋Dが離脱者が多くPGが坂本のみという状況での善戦だった。対戦成績は琉球に分があるように見えるが、接戦が多い。
これまでと違うところは沖縄アリーナの8000人の大声援の中で戦うこと。琉球はホームで26勝4敗とホームでの勝率がリーグ1位タイ。CSになりボルテージもより一層上がるだろうし、琉球にとっては心強い環境でやれるだろう。
琉球ゴールデンキングス
今シーズンの特徴的なスタッツ
琉球は皆さん御存知の通りリバウンドが最強だ。リバウンドの項目は攻守とそれらの差し引き含めてもディフェンスリバウンド以外全て1位。平均5.17のオフェンスリバウンドをマークするリバウンド王ジャック・クーリーを中心にリバウンドを拾い、セカンドチャンスも確実にモノにする。相手にはオフェンスリバウンドを取らせず、セカンドチャンスからの得点を許さない。オフェンスリバウンドで攻撃回数を増やして圧倒していくのが琉球だ。
シュート傾向を見ると、ペイント内の試投割合が2番目に多くペリメーターは打たない、現代バスケの流れに沿ったオフェンスをやっているように感じる。ペイント内の試投割合が多いのはプットバックの多さも関係しそうだが、琉球のオフェンスはペイントタッチからボールがよく回るし、チームで良いシュートが打てている印象。
選手層が厚い琉球はベンチポイントが3番目に多いチーム。その核となるのがアレン・ダーラムで、平均15.61得点と約半分を締めている。相手のベンチポイントの少なさはリーグ1位で、フィジカルに守れる選手が多い琉球の強みが出ている。誰が出ても強度が落ちないので、CSでもいろんな選手を起用して戦うことが出来るかもしれない。
RS1位だった昨シーズンと比較して気になる点も触れておこう。昨シーズンから速攻からの得点が3.78点減り、逆に相手の速攻からの得点が3.73点増えてしまっている。昨シーズンはドウェイン・エバンス2.43点、並里成1.57点と、2人で速攻から平均4.00点取れていたので、そこの機動力の部分も理由のひとつかもしれない。逆にジョシュ・ダンカンが加わり、更にリバウンドが強化されたとも言えると思う。
最後に、対戦相手のフリースローの獲得率がめちゃくちゃ高いのが気になった。特に沖縄アリーナでは相手にフリースローを78.51%の高確率で決められているのだ。平均観客数が1位の沖縄アリーナの圧力であれば、相手はフリースローに苦しみそうな印象なのだが。不思議で仕方がない。
シチュエーション別勝敗傾向
特徴的な点でいうと、3Q終了時ビハインドだった時の成績が9勝8敗という点。一見あまり良くなさそうに見えるかもしれないが、3Q終了時ビハインドだった時に勝率5割を越えるチームは琉球のみ。どんな状況でも勝ちを見出だせるのが琉球の強さだと思う。
対勝率6割以上相手のスタッツ
勝率6割以上が相手になるとペイント内の得点が37.27→34.22と3.04点減ってはいるが、フリースローの本数がわずかながら増えているため、平均得点自体はあまり変わっておらず、オフェンスリバウンドも問題なく強い。オフェンスについてはいつも通りに戦うことが出来ているとも思う。
ディフェンス面ではいくつか気になるところがある。勝率6割以上になると相手の3P成功率が33.04%→35.46%と上がっており、負けた試合は39.44%で決められている。あとシーズン平均も高確率で決められていたフリースローを83.15%で決められている。何故なのか。
最後に気になるのは、後半の失点の多さ。勝率6割以上が相手になると、後半の失点が43.50と40点を超す。また、4Qの失点は22.44のワースト2位だ。CSでは4Qの慎重に試合を運ぶ必要があるでしょう。
個人的に気になる選手
今村 佳太
この男は大一番で飛躍する。琉球で出場したCSでの12試合の平均得点は15.67点とエースに相応しい活躍をしている。今年の天皇杯決勝でもチームハイの17得点でチームを牽引した。しかし、昨シーズンのファイナルに続いて涙を呑むことになった。琉球で挑む3度目のCSはこれまで以上に活躍してくれるんじゃないかと期待してしまう。今村がもう一皮剥けた時は琉球が優勝している気がする。
怪我人情報
昨シーズンは怪我人が多かったが、今シーズンは万全の状態でCSを戦えそうだ。
名古屋ダイヤモンドドルフィンズ
今シーズンの特徴的なスタッツ
名古屋Dの特徴といえば攻守に切り替えが速く、とにかくたくさん攻めるチーム。攻撃回数やペースが1番高く、シュートもたくさん打っており、平均二桁得点者も約4人とどこからでも得点が取れるのも魅力的。また、速攻からの得点はリーグ1位で、総得点の約2割が速攻からの得点だ。
ディフェンスではマンツーマン、3-2や2-3といった変則ゾーンディフェンスを使い分けて、相手を混乱に陥れる。リーグトップのターンオーバーからの得点は、こちらもリーグトップのスティールがあってこそ。速攻からの得点と同じくターンオーバーからの得点割合も約2割を締めている。
編成的にインサイドがあまり強そうには見えないかもしれないが、実はペイント内の得点が一番多いチーム。ビッグマンだけでなく、ハンドラーがスコア出来たり、カッティングだったり、速攻だったりとコートを広く使って、いろいろな方法でペイント内を攻略する術を持っている。
編成的にインサイドがあまり強そうには見えないかもしれないと書いたが、名古屋Dはオフェンスリバウンドも強い。逆に相手にもオフェンスリバウンドを取られがちでもある。QFの相手はリバウンド最強の琉球なので、ここの部分で戦えるかは鍵になりそう。
シチュエーション別勝敗傾向
名古屋DはGAME1での勝率が20勝4敗.833で2位タイなのだが、もうひとつの2位タイのチームはQFで対戦する琉球。GAME1を制するにはリードする展開で試合を進め、80得点以上取りたいところだ。
対勝率6割以上相手のスタッツ
オフェンス面でいうと勝率6割以上が相手でもペイント内で得点は出来てる点はポジティブで、ペイント内の得点は38.89点はリーグトップ。得点が減っている理由としてはターンオーバーからの得点と速攻からの得点が減っている部分は大きいと思う。それでも平均80得点には載せている。
ディフェンス面で気になるところで言うと、相手のオフェンスリバウンド獲得率とフリースロー獲得率が増えているところ。勝率6割以上が相手になると相手のオフェンスリバウンド獲得率が32.41%→36.24%に上がっており、これはワースト2位の数値。また、元々5番目に低かった相手のフリースロー獲得率が、勝率6割以上が相手になると23.01%→30.07%まで上がりRSとは逆に6番目まで高くなってしまっている。故にフリースローの失点が3.30点増えている。
個人的に気になる選手
コティ・クラーク
名古屋Dのスコアリーダーがクラーク。内外にオフェンスが多彩で、身長は201cmと4番としては小さいものの121kgとフィジカルが強く機動力もあるガチムチ系ビッグマン。3Pを高確率で沈め続ければ、相手のビッグマンを引き出すことも出来るし、日本人相手にはミスマッチから得点することも上手なので、名古屋Dのオフェンスは上手くいく時間が長くなるだろう。逆にシュート成功率が低くなってしまうと、オフェンスリバウンドを狙われて悪循環に陥ってしまう可能性もある。彼がどれだけオフェンスで違いを作れるか、気持ち良くプレーできるかが鍵になると思う。
怪我人情報
B1で怪我人の多かったチームの筆頭と言える存在だった名古屋Dは、シーズン序盤スタメンだったパークスジュニアの出場は厳しそうだが、最終節で張本天傑が復帰できたのは明るい。昨シーズン最後は外国籍抜きで戦ったことを考えれば今の状況はまだマシに見える。
【2023/05/11 追記】
ウィリアムズが脳震盪のため出場が厳しく契約解除が発表された。ILに登録されていたンドゥールが出場可能になるが、プレーすることは出来るのか?
おわりに
読んでいただきありがとうございました!
良かった、面白かった、タメになった、参考になったと思いましたら、是非ともいいねや拡散していただけると嬉しいです。また引用リツイートで感想なども書いていただけると励みになりますし、参考にさせていただきます!すごく嬉しい。
最後に。文字数多くなってしまって申し訳ありません!8チーム書くとどうしても量が多くなってしまう…このnoteに乗せるために作ったスタッツの画像は保存するなり、ツイートするなり自由に使っていただいて構いません(加工して使うのはやめてね)。
我が推しチームは今回CSに出れなかったので、第三者として素晴らしい試合を期待しております!怪我人無くベストを尽くせますように!いーなーうらやましいー!
おまけ ~QFの結果予想~
千葉J 2-0 広島
島根 2-0 A東京
川崎 2-0 横浜BC
琉球 2-1 名古屋D