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[GPF2019]ネイサン・チェンのコーチ、ラファエル・アルトゥニアンのインタビュー(日本語訳)

※リポーターのYanaさんに許可を頂いています。ロシア語と英語の全文はこちら

GPF. Nathan Chen’s coach interview
https://medium.com/@yana_hideg


2020/01/15
Reporter: Yana Hideg
@hideg_y Instagram & Twitter 

Japanese translation: DN
@dsntedge Instagram & Twitter 

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-GPFでのネイサンのFSの5回のクワドについて

Raf: そもそも最初から5回のクワドは計画されていたし、私達はシーズンを通してより多くのことをやっている。ネイサンとはGPF前に10日間一緒にいたんだが、少なくとも2週間は一緒に練習できるように、どんな心構えで私のところに来るべきかをフランス大会の後に話した。そうでなければ、彼は備えることができずに私のところに来て練習し、怪我するか疲れきっただろう。だからすべてを慎重に計画した。GPFは私たちにとって真剣勝負。ネイサンがイェールにいた間、私は彼がやっている特定のタスクを分析してきた。そしてこれが結果だ。

-ロマン・ポンサールとの距離については

Raf: ロマンとはオンラインでは何もしてない。時間がない。ロマンは私と一緒に長くはやっていなくて2〜3年だ。長期的でない。彼は一人で練習するのに慣れてない。ネイサンには長い間教えてきたから、彼は10年間で一人で訓練することを学び、どんなことをやればいいのかを解ってる。一方、ロマンはもちろん監視する必要がある。つまり、毎日1〜2時間オンラインで彼と話をしなきゃならないな。

-ネイサンの大会(例:JOやWTT)にいないときの演技を見ていますか?

Raf: 私はオンラインでは大会を見ていない。何も見てないし興味がない。私はネイサンがどのようにスケートをするか解っているし、どうなるか想像できる。繰り返すけど、人は一定のスケートのレベルがあり、練習しなければ悪化させる。しかしすでに一定のレベルがある場合は、適切な練習をすれば迅速に再び良い状態に戻すことができる。より真剣に取り組まなきゃならんときは、我々はより真剣にやってきたよ。

フランスではネイサンは不完全で、スケートはまあ普通ですがミスをした。でもそこで他の人がさらにミスしたので、彼はそのように滑ることができました。フランスの練習では実際に本番よりもうまくいった。本番よりも実際に良かった場合は、より良くなり始めてるっていうこと。今日は実在しなくても、のちに練習で、ウォームアップで、大会で、そして最も難しい大会で披露される。

-ネイサンは5回転ジャンプを試したことがありますか?

Raf: まだだよ。でも私たちは考えてはいるよ。準備中。リスクを冒して怪我をしたら危険。問題なのはジャンプではなくて、着氷で怪我をする可能性がある。危険だ。

-羽生選手はGPFで4Aを練習していました。5回転ジャンプは着氷で同様のパワーがありますか?

Raf: ええ、4Aをやれば5回転ジャンプがやりやすくなる。問題は、スケーターにとって何がやりやすいかということです。3Aができるならクワドジャンプはやりやすい。トゥクタミシェワのように。彼女は3Aを持っていて、必要になったときにクワドをやる。彼女はあの年齢でクワドの革命をしたよね!もう一つは、彼女がまだ競技プロにクワドを含めていなかったということ。彼女はこれが危険だと理解しているからだよ。前回の大会では、彼女はそれを必要としなかった。しかしロシアのナショナルではそれを必要とするかもしれない。さもなければ、彼女はチームに参加しないかもしれない。

-ネイサンの3Aは長い間、最高のジャンプではありませんでした。 何が変わったのですか?昨年ネイサンは彼が病気だったWTTを除いて、ほとんど失敗しませんでした。

Raf: ええ。そして今も、実際に病気だったんだよ。ここに来る前、彼は3日間病気だったから準備を台無しにしたよ。3Aは、言われているように、時々行ったり来たりだ。まだ過去からの反映だ。技術的なミス、これは…とにかく私たちは常に改善しているよ。例えば、ネイサンは以前よりも少し良いジャンプをし始めていると見ている。結弦についても同じ。技術的に質が向上した。制限はないよ。質を常に改善する必要がある。

-FSに2つの3Aを含めることにしたのはなぜですか? 昨シーズンの終わりに初めてWTTで試しましたよね

Raf: ええ、2つのアクセル。そして今ご覧のとおり、ルッツ、フリップ、2つのトウループ、サルコウを追加した。その時が来たら他の何かを思いつくかも。もう4Loの時なのかな。

-ネイサンはそれが怖いと言っています

Raf: みんなだよ。4Loを恐れていないスケーターなんて知らないよ。ジャンプに入ったとたんに転倒して酷く怪我をする可能性があるからね。

-なぜネイサンは4Loのジャンプを止めたのですか?

Raf: 彼はまだそれを必要としないからね、彼はとにかく勝っています。人間とはどのようにつくられているか知ってる?椅子があったら座って、ソファがあったら横になり、ベッドがあったら毛布にくるまるんだ。だから必要になればネイサンはそれを解って4Loをやるだろう。ここでは結弦は、ルッツとループと2つのトウループをして、2つのアクセルを連続でやりたいと考えた。彼のプログラムはあらゆる面でネイサンに追いつき初めています。結弦は前はそれができなかった。だから、何か考案して新しいことを学ぶ必要というのはあるんだよ。

-昨日、ジュニアの男子が練習しているのを見ていましたね?

Raf: 少し見ました。 私はすぐに彼らのレベルがわかったよ。ロシアの小さな男の子、サムソノフは興味深いし、優勝した日本人(佐藤駿)も悪くないね。二人目のロシアの少年モザレフも悪くない。ペトロフも、彼は1.5〜2年前に一度私たちを訪ねてきたんだ。正直なところ、彼らはすでにあの年齢でもっとやる必要があります。

-ネイサンの子供時代について

Raf: ネイサンが子供の頃に私のところに来たとき、彼が住んでいた部屋の大きさはおおよそこんな感じで…私たちがいるこの部屋の大きさか、座っているテーブルの大きさくらい。テーブルのサイズかな。ベッドだけが収まりました。お金があまりありませんでした。 ネイサンは実は裕福な家庭ではありません。

-ネイサンの可能性にすぐ気づきましたか?

Raf: もちろん彼は最高だったよ。彼はアメリカでは1番にね。彼のコーチも非常に優秀だった。
彼女はロシア人のエフゲーニヤ・チェルニシェワだった。ネイサンを私に見せるのは彼女のアイデアだったんだが、その後に、彼が私と一緒にやりたいと思っていたことがわかった。 私はネイサンとの仕事を続けるように彼女を説得しようとしていた。彼女は私の問いを確かめられたが、あいにく彼女は同意しなかった。彼女は非常に大きな間違いをしたと思うよ。だって彼女がそばに立っていればネイサンが今日得ているすべての利益を得るだろうからね。
私はしつこく彼女に尋ねたよ。「彼と一緒にやることを決して拒否しないでください」と。でも彼女は「いいえ、彼は私に耳を傾けません。」と。「それは通る道ですよ。彼は今はあなたの話を聞いていないだろうが、彼は男の子で、10歳で、大したことじゃないさ。」私はそう言ったが、彼女は私のアドバイスに耳を傾けず、残念ながら拒否しました。悲しいことに。

-ネイサンが誰かからアドバイスを求めていたことは、どういうわけか彼女を傷つけたのでしょう。彼は同時にあなたと話し始めましたか?

Raf: ええまあ、彼は、それは彼女の考えだったんだと話し始めたよ。私はジャンプを手助けした。彼は当初は私の運転で帰っていたものだ。彼女はかつて彼を私の所へ送っていたが、彼女がネイサンと仕事をすることを拒否したとき、彼は引っ越さなければならなかった。 彼女は同時に、彼が私を訪れているという事実に嫉妬していて、私はそれをうまくまとめようとしたが、うまくいかなかった。全米ジュニアに行くとき、私は彼女に言ったんだ。「行かなきゃ、そこに立たなきゃ」って。でも彼女は「いえ、行きません。行きたくない」と。
悲しいことに、それは彼らの解消の瞬間だった。彼女はネイサンにたくさん注いできたからね。彼女は彼と沢山スピンに取り組み、コレシークエンスやプログラムを作った。彼女は彼にとても真剣だったんだよ。

-大学がネイサンにどのように影響したのかについて

Raf: ネイサンは話すようになったし、良く聞くようになったよ。大学は、教師を教師として扱うための刺激を与えたよ。教授がいるからいたずらなことは出来ない。大学に入る前は、いわゆる行ったり来たりだった。ネイサンがより良く聞くようにする為に、私はいくつかのトリックをしなければならなかった。どんなレベルのアスリートも、そうしなきゃならないよ。これは見かけによらずで、アスリートに何かを伝えただけで、それを期待することはできない。彼らが普段よりも言うことをよく聞く方法をいつでも見つけてください。とあるトリックがあり、私はそれを使うんだ。今は簡単になった。彼は真面目に大学に通うので、より教養あるようになったよ。

昨年、世界選手権の前に、私はネイサンにカリフォルニアに来ないように言ったんだ。彼がどんなコンディションにあるかわからなかったからだ。来ていたとしたら、彼は自分を押し殺して自分がどんなに立派かを私に見せていただろうってわかるよ。そして感情的に、彼は彼がするべきであること以前に、彼のベストを尽くすだろう。だから私は彼に言ったんだ。「今あなたができることを見せて」と。そして私たちは彼のコンディションを見て、「全て大丈夫だ。あなたが持っているものでワールドに来なさい」と言ったんだよ。
そして今彼は、自分でわかっていなかったニュアンスがあることを認識したし、私は私の経験と知識のためにそうやります。そして彼は私をもっと信頼しています。彼はその時は気分を害していたが(カリフォルニアに来させなかったとき)、すべてがそうあるべきように起こったとき、彼は私が正しかったと悟ったよ。
今回は逆の方法だった。彼に「できるのなら私のところに来る?でも来る前にこれをしなければならないよ」と言ったら、「やります」と彼は言ったよ。「もしそうするなら来なさい。しないなら来ない方がいい。イェールにいなさい。それでも大丈夫だ。まあ、あまり良くないけど結構だよ。もし与えたことををやるなら、カリフォルニアに2週間来なさい」私はそう言ったんだ。

彼はすべてをやった。これが結果です。


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