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【あか】【雑感】第5節湘南ベルマーレ戦、「新体制の短所をカバーした旧体制の経験」

レネ・ヴァイラー新監督合流後、ルヴァン杯を1試合挟んでの初のリーグ戦。ルヴァン杯ではJ2下位に沈む大分と引き分けたが、早くも新監督の意向がわかる選手起用と、ここからまたチームを作るんだという新たな試みが見えた。

そんな中迎えた湘南戦。結果は先制を許すもエース上田の同点弾、途中出場のファン・アラーノの逆転弾で2−1の勝利。新体制で戦略の落とし込みをしながらの戦術理解なので、ちぐはぐ感は否めない試合になったが、大事なリーグ初戦を勝利で飾ることができた。

前半、ちぐはぐな中で見られたチームとしての成長

新体制のリーグ初戦ということで選手たちの闘志は見て明らかだった。相手ボールへの距離の詰め方やボールコンタクトの激しさは見てて危うく見えるほど。湘南は90分間相当なプレッシャーの中でのボールコントロールを強いられていたことだろう。

個人的に注目していた新監督になってからのビルドアップの仕方。川崎戦でのミスからセーフティファーストなロングボール戦術にシフトチェンジしていたが、新監督はこれを受け継ぐのか変遷させるのか。

ベースは岩政コーチの考えを踏襲していた。湘南の3バックの脇を執拗に鈴木優磨と上田綺世が突き続け、相手ラインを押し下げていった。川崎戦以降はそれでもセーフティファーストを貫いていた。

ヴァイラー体制で変わったのは、もしくは変えたいという意思が見られたのは、押し下がった相手に対しては繋ぎの意思を見せたことだった。

両CBとキーパーに樋口が降りてきてベースを形成。釣り出された相手の最前線の背後に前線の誰かが降りてくる。

しかしまだまだ実行するタイミングと配置が未熟なのか、先制シーンは縦に当てたところで引っ掛けられたところからこじ開けられた。

得点後ベースポジションを下げていた湘南相手に、繋ぐのか放るのかを共有しきれず、ちぐはぐな印象が続いてしまう。大崩れした川崎戦の前半と似た雰囲気を感じてしまった。

ただし、同じ轍は踏まないのが以前との違いだ。鈴木優磨は声を張り上げ、三竿も後ろからチームを鼓舞し続け、勇気を持ったプレーを続けた。

新監督のもとでチームを再構築しながらも、岩政コーチの指揮下で積み重ねた経験が今のチームに生きていることがよくわかった前半だった。

走力を活かした前向きな守備から縦に早く

ヴァイラー体制で最も変わったのは守備の仕方だろう。ロングボールを駆使して相手を敵陣に押し込み、窮屈な状態で縦パスを入れさせる。相手前線が背負って受けようとしたそこを蹴散らすようにCB・SBが飛び込んでいく。

前向きなディフェンスをすることで、そのまま前線に残っていた選手が縦に早く向かいやすい状態でポジトラ→ネガトラ→ポジトラと好循環を作っていく。

逆転弾はまさに新体制の狙いが出たシーンだった。スローインから安西がロングボールを上田、優磨の下へ。跳ね返しきれなかった湘南自陣プレーヤーを囲い込み、窮屈に出たボールにすかさず樋口がプレス。拾った常本は素早く優磨に出し、優磨は縦に早く仕掛け折り返す。

この時ペナルティエリア内に人数を揃えられたのはアラーノと仲間が交代したばかりでフレッシュだったのが大きい気はするが、監督の狙いを共有できたシーンだと思う。

ただし前半はその前掛りな守備が災いして、CBがサイドにつり出されてピンチを招くシーンが多くあった。いくなら「ファールしてでも突破させない」「カバーする選手を作る」「戻ってきた選手とサンドしにいく」など制限をつけたり。まだまだ改善すべき点が多いこともよくわかった。

おまけ

後半途中から樋口がアンカーポジションに単身で降りて、、4−1−3−2のような形をとることが多くなった。前半からたまになっていたが、特にアラーノと仲間が入ってからは顕著だったと思う。

これが監督判断なのか選手判断なのかはわからないが、そのおかげで攻撃に厚みが増した。前半からの執拗なロングボールでじりじりと下がっていた相手ディフェンスライン、ロングボールのターゲットだったツートップと距離が近い選手が多くなり敵陣での選択肢が多くなった。

そしてもうひとつおまけ。これからルヴァン杯はあるが代表ウィークに入る。ヴァイラー監督下で戦略の落とし込みをするには絶好の機会。そして選出されたのは上田ひとり。

そのサンプルという意味でも、いいところと悪いところが明確に出て、なおかつ勝利できたこの試合の持つ意味は大きかったはずだ。

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