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【藤井聡太・渡辺明】名人戦第5局&【佐藤天彦】5/25Twitterスペース配信抜粋
藤井聡太・渡辺明、両棋士による名人戦第5局が終局、藤井聡太新名人が誕生しました。敗れた渡辺明前名人による自省のツイートは、名人位を戴冠してきた矜持も含まれていました。
また、渡辺前名人へ寄せられた他の棋士からの賞賛を紹介します。
さらに、文春『観る将アワード』でベストパフォーマー賞受賞に浴した佐藤天彦九段によるTwitterスペース配信(2023年5月25日)から、渡辺当時名人と藤井竜王による第4局までの対局に関するトークを抜粋し、紹介します。
5月31日、6月1日の2日間をかけておこなわれた名人戦第5局で、渡辺明名人に勝利し、史上最年少の藤井聡太新名人が誕生しました。七冠制覇も史上最年少で果たし、5日からベトナム・ダナンで予定されている佐々木大地七段との棋聖戦対局でタイトル防衛に臨みます。
渡辺明前名人のツイート
対局後、渡辺前名人は次のようにTwitterへ投稿しています。
![](https://assets.st-note.com/img/1685751838022-uLRmYXiwsh.png)
こうしたトップオブトップを張ってきて、「現役最強」の称号を得た渡辺前名人に対して、賞賛の声が棋士から上がっています。
山本博志五段
山本博志五段は、「渡辺明先生の芸術」と題した文章をnoteにすぐ寄稿しています。
「我々の世代からすれば、"渡辺明"その人は強さの象徴である」ではじまる文は、
自分の得意とする戦いに命運を委ねるーー"堅さへの回帰"に、子供の頃から渡辺将棋を見てきた自分は胸が熱くなった。あの勝ちパターンを史上最強棋士である藤井聡太挑戦者相手に見られるかも知れない。と。それだけ印象が強く、渡辺先生の「堅い、攻めてる、切れない、勝ち。」は芸術的なのだ。
渡辺先生を見て育った世代には切ない夜である
と締めくくっています。
田中寅彦九段
歴史的対局の立会人を務めた田中寅彦九段は、
私の仕事終わりました。報道陣各社のカメラ入れ替わりが全て終わるまで、渡辺名人最後の感想戦、何も言わなくても状況に気付いて引き伸ばしてくれました。あっぱれです
とツイートして、名人位を戴冠してきた「仕事人」としての矜持を新たな名人にも示したことを讃えています。
佐藤天彦九段
将棋界への注目がますます大きくなるなかで、文春「観る将アワード」で解説賞、聞き手賞、YouTuber賞を統合して新設された「ベストパフォーマー賞」で1位に輝いた佐藤天彦九段による名人戦第1局の大盤解説が、その分かりやすさと面白さから話題となったことは記憶に新しいところです。
文春「観る将アワード」には次のようなコメントが紹介されています。
インタビューや解説がいつも面白くてわかりやすく、語彙力が豊富なのがいいです。特に王将戦第1局1日目の解説で、藤井竜王について熱く語ってくださったのが印象的でした。報道等で藤井竜王は、AIの指し手を暗記しているだけであるかのような言われ方をしていることも多いですが、天彦九段は藤井竜王の目指すところをよく理解して皆さんにわかりやすい言葉選びで伝えてくださってありがたいなと思います
(50代・女性)
遠山六段が、
この王将戦の第1局って1月の初旬なんですが、その前月、佐藤さんは藤井さんに嫌というほど痛めつけられているんです。にもかかわらず、藤井さんのことを讃えるところが、佐藤さんらしいなと思いますね
とコメントすれば、深浦九段は、
天彦くんは同じ九州出身なので、一緒に将棋をやっていた時期もあり注目しているんですが、どうやってあの素晴らしい言語感性は生まれるんですかね
続いて、
ベストパフォーマー賞にふさわしい活躍だったのではないでしょうか。名人戦の解説は、来年だと忘れちゃうから今回に組み入れていいのではないかと思います
とコメントし、これに対して遠山六段は、
そうですね。解説だけでなく、インタビューなどでも面白い発信がたくさんありましたよね
そして、深浦九段も
存在感ありましたよね
という選考の結果、佐藤天彦九段が「ベストパフォーマー賞」に選出されました。天彦九段は次の通り、受賞の言葉を述べています。
この度は観る将アワード『ベストパフォーマー部門』の賞をいただきまして、本当にありがとうございます。
僕自身の目から見て純粋に楽しいと思える将棋やその内容を皆さまに知っていただき、少しでも多くの方に僕が感じている楽しさが伝われば幸いです。
今後、棋士それぞれが互いの将棋の良さを語り合えるような雰囲気になればより楽しい観戦環境をご提供できると思いますので、微力ながら僕も力を尽くしていければと思います
天彦九段は、自身のTwitterアカウントでスペース配信をされています。
天彦九段が、いわばラジオのパーソナリティーとなって、将棋のみならずクラシック音楽や絵画、その制作された当時の歴史的背景のほか、アニメ作品まで、ご自身の関心領域についてトークを展開しています。
そのこだわりと博識さには脱帽するばかりです。
ご自身は「自分を含めて初学者が一緒に学ぶ」ような配信になればと仰られていますが、クラシックや絵画の作品名が次々と紹介される教養の深さと幅広さ、記憶力の凄さから、天彦九段を講師とした「学びの場」のような印象もあります。
Twitterスペース配信のアーカイブが、天彦九段のTwitterアカウントにアップされているので、ご興味あるかたはぜひお聞きになってみてください。
「雑談配信2-感想戦」(※5月25日Twitterスペース配信抜粋)
『将棋世界』(※)に寄稿した内容ではないですけれども、今まで渡辺さんが成功してきた「方法論」がいまここで壁にぶつかっているという意味で、「ではどうもがくのか」というような見どころが、かなりあるように思います。
そうした葛藤というものは、もしかすると羽生さんにも共通しているのかもしれません。
常に勝ってきた棋士たちではあるけれども、時代の変化や変わり目を迎えた際に、どのようにアジャストしていくのかをファンのかたがたは見守り、観戦する面白さが大きくあると思います。両棋士のファンのかたがたからすれば「どんどんと勝っていってほしい」という願望があると思います。
注目すべきは、その将棋の内容、またマクロな視点というかいわば歴史的な視点から見た際の変化といいますか、20歳代、30歳代のころとは異なる価値観ともいえそうな、少しずつ変化していって50歳代を迎えた際の価値観で指す将棋を観ることができる楽しみは大いにあると思います。
つまり、長い目でその棋士を見ていくことができる楽しみです。
棋士というのはスポーツのアスリートに類似しているところがあると思っています。やはり勝負でもあるし、試合や対局に向かって研究したり、気持ちを高めていったりするといった共通点があると感じます。棋士に比して、スポーツのアスリートは身体をより一層、直接的に使います。そういう意味で、棋士は端的に選手寿命が長いという特徴があると捉えています。
したがって、棋士は50代、60代になっても将棋を指すことができます。もちろん、読みの能力は、どうしても20代、30代のころより落ちると思われます。しかし、そうした衰えを経験でいかにカバーするのかという面白みがあると考えています。
それは将棋界の見どころの一つだろうと思います。
※『将棋世界』2023年6月号
第81期名人戦七番勝負【第1局】渡辺明名人 vs 藤井聡太竜王
「将棋は芸術である」(解説 佐藤天彦九段・記 大川慎太郎)
佐藤天彦九段によるTwitterスペース配信
[アーカイブ]リンク
雑談配信2-感想戦(2023年5月25日配信)
https://twitter.com/AMAHIKOSATOh/status/1661391679134265351?s=20
雑談配信2(2023年5月25日配信)
https://twitter.com/AMAHIKOSATOh/status/1661325458590543873?s=20
雑談配信1(2023年5月7日配信)
https://twitter.com/AMAHIKOSATOh/status/1655118422999699457?s=20
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