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【読書録】Hotpepper ミラクルストーリー

□ 読んだ本

Hot Pepperミラクル・ストーリー - リクルート式「楽しい事業」のつくり方

□ サマリ

- サンロクマルからHotpepperを生み出し、成長する中で生まれた施策や各論についてストーリー形式でまとめられた 平尾勇司氏の一冊。

- 「はじめに」で本人が綴っているように、20年前の事業マネジメントモデルであり、インターネットの普及によって成功モデルとしては古いのかもしれないが、根源である「この事業は何か?」「何のために自分はここにいるのか?」「誰のために働くのか?」の問に対して関わる人々がはっきり答えられる人々の集まりがHotpepperの事業モデルだった。

- 本書では、事業をどうグロースさせていくのか、という戦略的な内容にとどまらず、その戦略を実行するための組織づくりにまで及び記載されており、組織における人間の行動を科学し、仕組み化、文化を作っていく話だと解釈した。

- その根源は現在のtoB向けサービスにも通じるところがあるので、インターネットビジネスが普及した昨今でも、人が非介在で圧倒的な信頼関係を築けるモデルを構築していきたい。


□ Take home

- 目標だけがあって目的が説明されない授業は決して少なくない。自らの行動の目的を知らずして人が生き生きと集中して、その持てる力を出し尽くすはずがない。そんな組織は主体性のない烏合の衆となる。個人の損得だけで動く自己中心的な人と無関心な人たちの集まりになって、チーム力のない集団となる。目的がないと言う事は、組織の求心力がないと言うことである。個の力と個と個を結んで生まれる、組織が本来持っているエネルギーが発揮されない

- 実は実行しないことこそ、事業が成功しない最大の原因である。

- 仕組み化とは、前に会った人が悩み苦しんで、同じことを苦労せずに生活して実現できる仕組みである。仕組み化はもっと先のこと、次のことに知恵とエネルギーを集中して、新しい価値を加えることが可能になる仕組みでもある。

- 剣道には小手・面・胴しかない。人間の自由な創造性を発揮するために型を決める。

- 既存版の場合はお手本があるが新板の場合は「見えないものを見に行くチカラ」が必要となる。それが構想力。

- 巨大な想定マーケットとちっぽけな現状分析、寒さを時間軸に置き直して構想練ることが大切になる。3年間で実現するシナリオを書くのだ。このワークをしていなければいつまでも笑に描いた餅になる。3ヵ年の計画と言うより36ヶ月の計画と言ったほうが正確かもしれない。それを12ヶ月ごとにくくったものが1年目2年目3年目の年度計画となる。

- 科学的ながら情に満ちた戦略。 科学的で論理的な戦略プランの最後にこの情緒的なプランを加えた時、それは理屈を超えて実行されるプランになる。

- 「すべきこと」が「やりたいこと」に覆い尽くされるのは、戦略を物語として伝え、自分の物語とつなげあった瞬間。

- 「誰に向かって何を要望するのか?」の「誰」が抜けたコミニケーションは、問題とは違う議論が始まってしまう。

- 組織構造が内部調整型ではなくマーケットオリエンテッドで意思決定が正しく判断できる組織に変革していく

- 数字に意味と価値を見いだす組織を作る

- 制度に合わせて事業を作るのか事業に合わせて制度を変えるのか

- なぜやれと言われているのか考えながらやってやれと言われる背景にあるものは何か?を考えながらやり切る。そうすればその行動が分かってくる。そして、やがて自分でその構造そのものを創れるようになれ

- 閉鎖的な組織でこそ、愚痴の言い合いやネガティブなコミュニティーが影で生まれていく。だからこそ、マネジメントがあえてオープンなインフォーマルコミュニティーの生まれる土壌を作っていくことが大切になる。

- 社内の効率性からではなく顧客との関係性から営業の仕組みは考えられなければならない。そして、人件費コストの面からではなく働く人のモチベーションの観点から営業の仕組みは考えられなければならない。
- リーダーを育成するとは決めるチカラをつけさせることである。

□ 考えたこと

- 本書内で、競合優位性をどう設計したかについて

「後発参入競合がいくら参入しいくら低価格戦略で参入し価格破壊をしてきたとしても、顧客が我々に感じている価値は単なる価格ではなく、プチコンという価値を含んだものになっているからだ。顧客接点の第一線が日々の活動の中で創り出す競争優位性ほど盤石なものはない。ホットペッパーにとって参入障壁とは流通チャネルとプチコンだった。流通チャネルとはオフィス・コンビニ・駅であり、ホットペッパーをどの競合よりも確実に手に取れる場所の獲得。競合優位性は日々の仕事の構造の中にビルトインされて、組織として繰り返されるなければ盤石とならない。勝ち続けるためにも競合優位性となるポイントを発見して仕組み化することが大切。」

とあるが、インターネットビジネスでtoB向けの商品はテックタッチ・ロータッチ提供が進むSaaSビジネスにとって競合優位性をどのように確立するのか。を考えた。ジャーニーの初期の不、もしくは最も深い不を解決するプロダクトを入れきり圧倒的な体験を提供することで、ファンになってもらう。 toC向けのサービスで人が非介在でも、パーソナライズド化されたプロダクトは、同じ機能を持つ他社プロダクトが出現してものりかえはあまり考えられない。そのプロダクトを使えば使うほど、ユーザーも恩恵が得られる仕組みを創り出し提供することが大事である。というの一つのメッセージだと受け取った。

- 「自分に営業担当がついている」と認識してしまうほどの、パーソナライズ化されたUXこそが競合優位となりうる

- シンプル化と単純化は違う。でもその違いがまだ腹落ちさせきれていない。目指す山を絞り込み、明確にするのがシンプル化で、道を決めて登り続けさせるのが単純化なのかな。



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