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大城竜流
2014年6月24日 22:07
『網戸』大石君(仮名)の部屋で最近、異変が発生している。知らないうちに網戸が開いているのだ。彼は現在私立大学の2年生で、アパートで独り暮らしをしている。問題の網戸は、6畳1Kのベランダに続く掃き出し窓の網戸である。それが、ここ1週間で5回、気がつくと30cmほど中途半端に開いているのだ。「自分で閉め忘れたんじゃありませんからね」と大石君は釘を刺す。建て付けのよくない安アパートは、ややサ
2014年6月17日 20:55
『人喰い踏切』弘美さんは、人が電車にはねられる瞬間を、間近で目撃した経験がある。「あれは高校に入学してまだ間もない頃。下校途中、進行方向の踏切で遮断機が下りたの。日は暮れかけてたけど辺りを見渡せるほどには夕陽が残っていて、自転車をおりた主婦がひとり踏切り待ちをしていた。買い物帰りらしく、ママチャリのかごには丸々太ったスーパーのレジ袋が詰め込まれ、ネギの頭が飛び出ていたのを覚えてる。鳴り響く
2014年6月10日 21:19
『カエルの合唱』夏場は深夜に近所の田んぼ道を散歩する。時間が時間、場所が場所だけに、人に出くわしたことは一度もない。ときおりタヌキが行く手を横切ったり、名も知らぬ鳥から気まぐれに威嚇をうける程度で、至極快適な散歩コースだ。周囲はひたすら田んぼ。鳴き交わすカエルの声でうるさいぐらいだ。そのカエルの声に関して先日、珍しい現象に遭遇した。「天使のお通り」を御存知だろうか。パーティーなどで、そ
2014年6月3日 21:14
『おじぎ池の主』釣り好きのヒサシ君(仮名)が、小学校4年生の時に体験した話である。家の近所に「おじぎ池」という農業用水用の溜め池があった。面積は小学校の体育館ほどで、湧水があるらしく比較的澄んでいる。池のほとりに数本のシダレヤナギが植えられていて、その枝が頭を垂れる様子から地元の人々は「おじぎ池」と呼んでいた。近隣の小川や野池に比べて格段に魚影が濃く、生息する魚の種類も豊富だ。大人の釣り人