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Oculus Quest 2 体験記

去年の冬に Oculus Quest 2 を買いました。ちょうど Amazon で 5000円くらいポイントが付くセールをやっていたので、そのセールに合わせて買ってしまいました。

相当なおっさんなので「もうさすがにゲームにはハマらんだろう…」と思っていたのですが、これが意外に楽しめています。最後に買ったゲーム機は PS3 だったのですが、PS3 のときはソフトをほんの数本買っただけでずっとホコリを被っていました。そんなこともあって「いまさらゲーム機は買ってもなぁ…」という気分だったのですが、そうした予想がいろいろな意味で裏切られることになりました…

ゲーム機じゃないかも?

Oculus を買う前は、これは完全に単なるゲーム機だと思っていたのですが、Oculus を使えば使うほど「これはゲーム機じゃない」という感覚が強くなってきました。買ってすぐの頃は、こんなゲームもやってみたりしたのですが、それがどうもそれほど楽しくない。

「スターブレードをついに自宅でやれる日がきたぜ!」と真っ先にこのソフトを買った訳なのですが、どうも盛り上がらない。単におっさんになってしまったから…という説もあるのですが、画面がグルグル回って気持ち悪くなるだけでした。

しかし、いま改めてスターブレードの動画を見ると、音楽とか効果音の使い方が凄くうまくて、グラフィックスはあれなんですけど、何だかワクワク感があります。スターブレードの頃からは、相当に技術も進歩したはずなのですが、ワクワク感という観点からは、End Space はスターブレードを越えることができていない気がします。一言で言うなら、エモさが足りない…という感じです。

Beat Saber

…とは言え、いつまでもないものをねだってもしょうがないので、次に試してみたのが、このゲームです。あちこちのサイトでお勧めされている Beat Saber です。

基本的に空中を飛んで来るサイコロみたいなのをぶった斬るだけなので、どう考えてもそれほど面白いと思えないんですが、やっているうちに段々と面白くなってきます。

更に、最近の華麗なグラフィックスのゲームを見慣れていたりすると、どうしてもこのプレイ画面が物足りないような感じがするのですが、やってみるとこれが想像以上に面白い。

ただ、これはいわゆる「ゲームとしての面白さ」というよりも「体を動かす楽しさ」に近くて、ダンスに近い感覚があります。そういう意味でのエモさはゲーム画面だけではなかなか伝わりませんが、やってみると「ああ、こういうことか…」という感覚がすぐにわかります。音楽も非常によいです。

特に、ダンスが好きな人にはうまくハマるようで、普段は全くゲームをしない嫁さんもこのゲームだけはしっかりとやっています。しかも Expert モードでw

運動としては、上半身だけの運動なので、どうなのかな?という部分もあるのですが、これが案外いい運動になります。特に、現代人は肩を大きく動かすことが少ないので、これがいいみたいです。

Racket NX

Beat Saber だけでも十分楽しいのですが、次に買ってみたのが、このゲームです。

ラケットボールみたいな感じのゲームなのですが、これが素晴らしく楽しい。

基本的には「テニスの壁打ち」みたいなゲームで、これも一見すると何だか地味な感じがするのですが、壁にさまざまなブロックがセットしてあり、単なる「壁打ち」ではなく、「ブロック崩し」のようなゲーム性も加えてある点が非常に面白いところです。

また、ボールを打ったときにボールが「しゅぱぁーーん」という感じで飛んでいく感覚があるのですが、ああいった爽快感みたいなものもあって、ついコントローラーをブンブン振り回してしまいます。

ただ、調子に乗り過ぎると、こんなことにもなるので、十分に注意して下さい。

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襖に穴を開けてしまい、嫁さんにメチャ怒られました…

昔、スポーツクラブでラケットボールをやってみたときには、まるでうまく出来なくて、速攻で辞めてしまったのですが、Racket NX の場合はうまくできてます。うまく打てなくてもボールを拾いに行ったりしなくて済むのが楽でいいです。

また、Oculus の場合は「被った瞬間にスポーツクラブ!」という感じで瞬間的に始められる点も良い点だと思います。現実世界のスポーツクラブに通おうとすると、スポーツクラブに行くだけでなく、運動をした後に、お着替えしたり、家まで帰ってきたりしないといけませんが、Oculus の場合は被った瞬間にラケットボールのコートに入ることができます。汗をかいてもすぐに服を着替えて、シャワーを浴びて寝れます。時間の制約もありません。

Oculus を始める前は、Oculus はずっとゲーム機だと思っていたのですが、実は Oculus はゲーム機というよりも、スポーツ用品なのかな…と最近思っています。

現実の劣化コピーではダメなのかも…

Oculus を買ってから、いろいろな App を試してみました。例えば、こんなのとか

こんなのとかも試してみたのですが

それほどは楽しめなかった感じです。

こんな時期なので VR で旅行が楽しめれば…とは思ったのですが、やっぱり本当の旅行と比べると、肌で風を感じたり、潮の匂いを感じたり…ということがない分、どうしても現実からは見劣りがしてしまいます。確かに面白いは面白いのですが、どうにも物足りない感覚が拭えません。つまり、旅行を VR で再現しようとしても、それは「旅行の劣化コピー」にしかならない…ということなのではないかと思っています。

まあ、劣化コピーでもないよりはマシなのですが、これが VR のキラーコンテンツになるか?と言えば、そうではないような気がしています。

体験型・没入型のアート

一方で、世の中には下のような体験型・没入型のアート作品などもあって、個人的にはかなり感動したので、何が違うのだろう?と思っています。

おそらく、ひとつ言えるのは「旅行体験の劣化コピー」を生み出しても、それはあまり人の感情を動かすことはできなくて、やはり入念に計算された音楽や演出がなければ、人の感情にはうまく作用することができないのではないか?ということです。

つまり、単なる風景の写真を見せるだけでなく、それ以上を目指さなければ、人の感情を大きく揺り動かすことはできないということではないかと思っています。

劇団四季

東京だと、劇団四季と呼ばれる劇団が幾つも都内の便利な場所にあり、この劇団四季にハマっている人たちが数多くいるのですが、こうした人たちも「劇場」という外界から遮断された世界の中で多くの夢を見ている人たちではないかと思っています。

劇場に響き渡る肉声や音楽、舞台装置や効果音、そして役者と衣装、そうしたものが入念な演出のもとに組み合わさったときに、「劇場」は始めて成立するものではないかと思うのですが、VR の世界にはまだまだこうした「劇場」としてのエモさの部分が不足しているように思います。

このエモい世界が現実以上の現実感を持って目の前に迫ってくることで、人の心がグラグラと揺り動かされるような気がするのですが、そうしたものがまだまだ VR 世界には足りていないような気がします。もし VR という仕組みを使って、こうしたエモさを極限まで推し進めることができれば、それは VR の世界でのキラーコンテンツになるのではないかという予感がしているのですが、どうでしょうか。

VR動画

こうしたエモさを味わえるものがないだろうか?と VR のコンテンツをいろいろと見て回っていたのですが、その中で結構いいな…と思ったのが、ダンスの動画です。

普段テレビを見ているときに、旅行番組などで「この地方にはこんなダンスがあります…」みたいな感じでダンスの映像が紹介されることがあるとおもうのですが、普段そうした映像を見てもそれほど心が揺り動かされることはありませんでした。「ふーん」という感じです。

しかし、 Oculus でダンスの VR動画を見ているとき、その感想は変わりました。「ふーん」ではなく「うわぁぁぁ…」でした。

軽妙にステップを踏みながらクルクル踊りまくるダンサーが自分の目の前で踊っているインパクトは想像以上に大きく、エモいものでした。これが「画面が大きいから…」なのか「立体感があるから…」なのかはわからないのですが、単なる大画面のテレビで映像を見る以上の迫力がありました。

こうした「ゼロ距離の動画体験」みたいなものが、またもうひとつの Oculus の魅力になっているのではないかと思っています。

もちろん、これもいわゆる「実体験の劣化コピー」でしかない訳なのですが、「ダンスを最前列の一番いい席で見る」という極上の体験の「劣化コピー」なので、劣化しても十分に魅力あるコンテンツとして成立する…ということなのではないかと思っています。

一度目の前で見てもらえればその良さがわかるけれども、テレビでは伝わらない…そんなコンテンツがあったら、ぜひ VR での配信を試してみるとよいのかもしれません。

タップダンスとかベリーダンスとか、ダンスにもいろいろあると思いますが、ダンス系のものは基本的に相性がよいと思いますし、実は日本の各地にある能や神楽みたいなものも地方の文化をビビッドに世界に伝えられるよいコンテンツになるのではないかと思っています。

 VR というと、一番最初に思い浮かぶのは仮想空間にたくさん人がいて、仮想空間でコミュニケーションを取ったり、一緒に仕事をしたり…といった世界…例えばこんなのを思い浮かべる訳ですが

実は VR のキラーコンテンツ、感情を揺さぶるほどの体験をくれるものは Oculus の中にある劇場としての特性なのではないかと思っています。

つまり、Oculus はゲーム機というよりも劇場なのかもしれない…というのが最近の自分が感じていることです。世の中では、いわゆる「メタバース」みたいなキーワードが凄く盛り上がっていますが、この「メタバース」だけが Oculus の切り口だと思うと、本当のポテンシャルを見誤るのではないか?というのが、この体験記を通して伝えたかったことです。

まとめ

そんな訳で、おっさんの Oculus 体験記をまとめてみました。この他にもいろいろ伝えたいことはあるのですが、あとは実際に Oculus で遊んでもらうのが一番いいかもしれません。とりあえず、チュートリアルをやってみるだけでも、Oculus の可能性を感じてみることができると思います。

この人形(↓)と踊るだけでも楽しいです。演出もうまいな…と感じます。

ちなみに、「Oculus Quest」は、いまでは名称が変わって「Meta Quest」と呼ばれています。でも、"Meta" よりも "Oculus" の方が馴染みがよいので、こちらの記事では古い名称の方を使ってしまっています。

おまけ:メガネの問題

こうしたさまざまな魅力を持つ Oculus ですが、その一方で大きな課題に感じているのが、メガネです。一応、メガネをかけたまま Oculus は装着できるのですが、メガネが結構干渉します。そして、ズレます。

Oculus を付けて、運動して、ちょっと汗を拭こうと思って Oculus を外すとメガネが落ちます。

私の場合は、メガネの度数が -7 くらいなので、Amazon で -6 の度数のレンズを買って使っているのですが、ちょっと映像がぼやけます。

本当であれば、-7 の度数のレンズを使いたいのですが、レンズがないので、-6 の度数のレンズで我慢しています。まあ、ちゃんとお金を出せばカスタムのレンズもつくれるのですが、やっぱりちょっとお高い。

JINS さんとかなら、レンズ込みで 5000円くらいでメガネがつくれるのに、何でこんなに高いんだろう?と思う訳です。

そんな訳でここで強くお願いしたいのが、JINS さんにこの Oculus 専用のフレームをレンズ込みで 5000円くらいで作って欲しい!ということです。

一応、JINS さんのサイトに行って、ご意見募集みたいな窓口を探してみたのが、見つからなかったので、こちらのブログにてアピールしてみました。

何卒よろしくお願い致します m(_ _)m


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