マガジンのカバー画像

データ分析プロジェクトラボ

13
当マガジンでは、筆者らが現場で学んできたデータ分析プロジェクトのノウハウやコツをお届けしています。実践的な手順や具体的なアクションプランを提供することで、DXを実践するためのスキ…
運営しているクリエイター

記事一覧

データ分析でビジネス価値を発揮するための10ステップ

こんにちは、DAIです。 機械学習・データサイエンスを中心としたコンサルティングを経験した後、現在は事業会社でデータ組織の責任者をしています。 本稿では、データ分析でビジネス価値を発揮するための10ステップと称して、「実際にビジネスバリューにつながる」分析を実現する方法論について簡単にご紹介したいと思います。 そもそもビジネス価値とは何かなんとなくバリューと価値という言葉を使ってしまいがちですが、そもそもデータ分析でビジネス価値を発揮するとはどういうことなのでしょうか?

意外と難しいLTV予測 〜罠とTips〜

マーケティングにおける機械学習・データサイエンスの応用として、よくあるユースケースにLTV予測があります。 LTVを予測することで、高LTVが予測されるユーザーにだけインセンティブ(クーポン等)を配るといったことをすることで、事業全体の利益成長を加速させるといったことがよく企てられます。 一方で、LTV予測は実務的には意外と難しい部分が多いと感じています。 甘く見積もると想定以上に工数がかかったり、分析の提供先(クライアントや社内のマーケター等)の期待とのズレが生まれてし

相関の強い説明変数がある場合の決定木モデリングの注意点(特に決定木を解釈する場合)

決定木モデリングでは、相関が強い変数がある場合についてあまり議論されることが少ないように思います。 これは決定木の場合、説明変数内に多重共線性があったとしても、予測性能に影響を与えることがあまりないから、と説明されることが多いように思います。 たしかにダミーデータなどで検証するとそのような性質が観察されます。 つまり、説明変数同士が強く相関している状況を作り出しても、予測性能の指標があまり変わらないということです。 よって、予測性能のみに関心がある場合は、変数間の相関につい

マーケティング施策における因果推論

はじめに本記事は、マーケティング施策のアイディアは持っているものの、その効果をどうやって検証するか悩んでいる方々へ向けたものです。マーケティング施策の成功を判断するためには、正確な効果検証が不可欠です。その際、感覚や直感に頼るだけではなく、科学的なアプローチを取り入れることが重要になってきます。その中心にあるのが「因果推論」という概念です。今回は、この因果推論の基本について学び、マーケティングにおける具体的な活用方法を探っていきましょう。 なぜ因果推論が重要かマーケティング

データ分析によるインサイト導出のコツ

こんにちは、元コンサルタントで現在は事業会社でデータ分析組織のリードをしていますDAIです。 データ分析によるインサイト導出のコツというタイトルで書いたものの、実はデータ分析によってsomething newが見つかるケースというのは実はかなり少ないのが実務の現場です。 実は多くのデータ分析は、事業に向き合っている人からすると「やっぱりそうだったか」という結果に終わることは非常に多いです。 人間の感覚というのはなかなか馬鹿にできません。 分析を10回行ったら、2-3回で

マーケターのための(ほぼ)数式なしで理解するMMM(マーケティングミックスモデリング)入門

こんにちは、DAIです。 本職では、データ分析組織のリードとして、主にマーケティング関連の分析やデータ基盤整備などを主導しています。 本稿では、マーケティング界隈で注目を集めているMMM(Marketing Mix Modeling, 以下MMM)について、その概念や仕組みをデータサイエンスや統計のバックグラウンドのないマーケティング職の方にもなるべくわかりやすく説明していきたいと思います。 社内でMMMが話題になっていたり、プロジェクトが立ちあがろうとしているが、正直

データサイエンス・機械学習関連の分析組織立ち上げで学んだこと

筆者はコンサルティング会社を経て事業会社での分析組織の立ち上げ・リードに携わっている。 コンサルタントとして分析・データサイエンス・機械学習関連の組織作りに関わったこともあるし、自身が事業会社の中で組織作りをしてから何年か経っていることもありここ迄の学びを振り替えてみようと思う。 数字で示せるクイックウィンをいかに作るかが大事これは会社のフェーズやデータ分析・データサイエンス・機械学習という領域にその会社がどう投資するか?のスタンスにもよるので一概には言えないが、最初に規

【マーケティング x データサイエンス】データ分析を利益に変える方法

想定読者近年、データ分析が身近な存在となり、多くのビジネスパーソンがデータ分析に触れる機会が増えています。しかし、分析結果をどのように活用して利益を生み出せるのか、またどのように分析を依頼すればいいのか、わからない方も多いかもしれません。本記事では、そんな方々に向けて具体的な方法を解説します。 企業におけるデータサイエンスまず企業において、データサイエンスの位置づけについて考えてみましょう。 データサイエンスは、ビジネスや組織の活動をより効果的にするためにデータを収集・

【マーケティング x データサイエンス】アイディアの検証方法:A/Bテストとは?

想定読者本記事は、ビジネスアイディアは持っているものの、どのように良し悪しを検証すれば良いかわからない人に向けたものです。 ビジネスアイディアとは、たとえば以下のようなものです。 既存の顧客の売上を伸ばすためにクーポンキャンペーンを行う 自社アプリに新たに「おすすめ商品」ページを作成して売上を伸ばす これらのアイディアは合理的に思えますが、どのようにその良し悪しを判断すればいいのでしょうか?さらに、施策を実施した結果、具体的にどれくらい売上げに貢献したのかを定量的に

データアナリティクスや機械学習の組織をどう育てるか?

昨今のAI・機械学習ブームもあり、データ分析やAIのCoE組織を作る、作りたい、という取り組みは多くのところで散見される。 一方で、 「データサイエンティストを雇ったのだが、データサイエンティストにやらせる仕事がない」 といったあまり好ましいとは言えない状況に陥っている事例も見聞きする。 … 自分がコンサルタントおよび事業会社におけるデータ関連組織の責任者として分析組織の立ち上げやデータ活用プロジェクトに関与した経験から、分析組織の作り方に関してのTipsを2つ紹介したい

【マーケティング x データサイエンス】施策の最適化ステップ

想定読者本記事は、新たにマーケティング施策を始める予定だが、データを使ってどのように最適化できるのか分からない人に向けたものです。 マーケティング施策とは、例えば新規顧客獲得・既存顧客育成・離反防止のためのクーポン施策や、クロスセルを狙った新規キャンペーンなどが挙げられます。 例えば、既存顧客育成のためのクーポン施策を考えてみましょう。社内には前例のない全く新しい施策だとします。この時、どのような手順でクーポン施策を立ち上げ・最適化していきますか? 0. KPIを確認

ビジネスで成果を出すためにデータサイエンティストやデータアナリストは論点思考・仮説思考をどう活かすべきか?

そもそも論点思考・仮説思考とは?論点思考・仮説思考について書く前に、論点と仮説についても解説しておきたい。 論点とは、解くべき問いのことである。そして、仮説とは論点に対する仮の答え、である。 ざっくり言うと、ビジネスにおける問題解決のために、そもそも”解くべき問い”あるいは"問題"は何なのか?といったことを考えるのが論点思考である。 また、設定した問いに対する"仮の答えはきっとこうなのではないか?"と考え検証を行うのが仮説思考である。つまり、論点と仮説はセットで考えるも

データサイエンスと機械学習はどう違う?

この記事では、ビジネスでDXプロジェクトに携わる方々が業務をスムーズに進めるうえで知っておくべきデータサイエンスと機械学習の違いについて解説します。 DX推進におけるデータ分析の重要性最近のビジネスシーンでは、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進が急速に進んでおり、この記事を読んでいる方々もおそらく何らかの形でDX推進に関与していると思います。DXとは、基礎的なペーパーレス化からクラウドの導入、製造業におけるIoT機器の活用、小売業界におけるマーケティング施策の最適