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春はみんなの中に眠っている #春野菜塗り絵コンテスト

久しぶりに、企画に参加することにしました。
文章ではなく、塗り絵の。

ん?塗り絵。そう、小学校の美術の成績は3、それ以降自分のセンスの悪さを呪いながら生きてきた、美術も絵もデザインもトーシロなわたしが、塗り絵だと。(知らんがな)

でもね、ちまちま作るのは好き。そして色を眺めるのが好き。植物の、建物の、空気の。
確か中学生の頃買った色鉛筆を残してあったはず、と机の引き出しを開けてみる。

わたしが植物にハマったのはもう30を過ぎてからなんだけど、不思議と緑色がたくさんあった。
女子中学生とか高校生って、なんでこんなにいるのって思うくらいいろんな色のペンや色鉛筆を集めたりするよね。普通の緑に加えて、深みどり、エメラルドグリーン、緑とエメラルドグリーンの中間の色。そして空の色が好きだったから、水色がちょっと青みがかったような色。

なぜか、わたしが植物にハマることを予言するかのように茶色もあった。レンガ色や黄土色、そしてわたしのいっちゃんのお気に入り、金色!!
ゴールドのクーピーは最高。そういえばそんな名前の人がいたっけか。ウーピーゴールドバーグ。めっちゃ強い名前だと思う。

緑と茶色があれば大抵の植物は塗れる。ちょっとした工夫でかわいいは作れる。よし。



普段は主婦とかしています。とかって何だよって感じですけどね、まあ色々あります。

で、主戦場がキッチンです。子どももそんなに大きくないのに、なぜかずっとキッチンで何かを作っています。どうせ料理やら文章やら作っているのだから、絵だってここでやっていいよね、っていうわけで(本当は家族の誰にも内緒でやりたかったから)、イラストの下絵を濡れないように手元に隠し持ち、おろし器とかピーラーとか入ってる引き出しに「割り箸ですよ」という風に色鉛筆を配置し、野菜を切ってるの?というていで実は手には色鉛筆、手元には塗り絵。そう、わたしは40を過ぎた授業中内職野郎です。

(これがgmさん作のイラスト。植物好きにはヨダレもの。オタクのわたしは何回も目で犯した)


そんなわけで、隙間隙間にちょこっとずつ塗り重ねて(素人なのでこの辺りの手順は省きます)できた塗り絵を、今度は写真加工の無料アプリでいじります。
あ、先ほど緑と茶色があれば大抵の植物は塗れると書いたんですけど、春野菜って何かわかってるんでしょうかねっていう仕上がりです。

加工の途中で茶色やベージュはオレンジ色ぽくなりました。彩度?を上げたからだと思います。そして緑やエメラルドグリーンはより鮮やかに。


出来上がりがこちら


(実はこちらと迷っています。線をくっきりさせるかどうか)


リアルとはほど遠い、だけどわたしの春を色に乗せました。
「あなたの春に、わたしの春を乗せて」ってところでしょうか。

イラストを最初見た時から思ってたんですけど、gmさんのイラストって、わたしには一体化して見えるんです。別々の植物や野菜のはずなのに「みんなみんな生きているんだ、友達なんだ」って歌が聞こえてきそう。

自然ってデザインだと感じることがよくあるんですが、わたしはそれをうまく表せない。角度を変えて写真を撮ったりしてもうまくいかず。そんなことを感じていた矢先、gmさんがすごくカッコ良く表現して下さった。このデザインのカッコ良さの前には、これが玉ねぎだとかアスパラだとか梅だとか、そんな区別はしなくていいなって、思っちゃったんです。

わたしはいつも惑っています。マドマドしながら生きてます。

その惑いのまま、色を乗せて、あの地平線は僕らを乗せて、イラストは自分の元を旅立っていく。そんな感覚になりました。

だから、この塗り絵は悩んでいたわたしの姿そのものです。その時にしかできない、生のわたしの姿です。







出来上がったものを見て、わたしが一番驚いています。

根暗なんですよ。わたし。
ご対面するとどっちかというと明るい印象で元気な人って思われるんですけど。
中身は、あんまりスカッとはしていません。

だけどね、この仕上がり、どうでしょう、明るいでしょう?



明るいんですよ。


ずっと闇の中にいると思っていた自分の中に、春が歩き始めたのを感じました。

わたしの中にも春はある。
眠っているものを無理矢理に引きずり出すことはしない方がいいと思う。それはそれでまた無理しちゃうから。
でも、自分の中に確かにそれはあるんだなってことがわかっただけで、なんだか明るい気持ちになれたんです。

本当に感謝しています。







それから、もう一つ書いておきたいことがあります。
企画の共同主催者、仲さん。

以前、目に色覚異常があると書かれていました。




ふとね、自分が3色くらいで塗っている時に思ったんです。
この絵は仲さんの裸眼にどう見えるんだろう?って。
もしかしたらオレンジと緑と水色も、あまり区別がつかないのかもしれない。

うまく言えないんですけど、その時一方的に、わたしが思ったことを書くと。

仲さんってわたしから見ると何でもできて、でも偉そうに何かをしたり言ったりしないで、仲間想いで、自分が足りないところは黙々と努力する完璧な人なんです。

年齢もほぼ同じなので、たまに、「仲さんが同じクラスにいたら」って妄想することがあります。
比べることはナンセンスだけど、きっと月とすっぽんです。

もうすぐバレンタインデー。
わたしが意中の人にチョコレート渡せずに廊下をオタオタ10往復くらいしているのを横目に、きっと涼しい顔で「仲くん」は静かに自分の勉強やら掃除やらをしているんだろうな、って思うんですよ。
その仲くんは、みんな知らないけど絵を描くのが好きで。でも、色覚異常で十分に楽しめない。


そんな仲くんが、いま絵を、描いている。

努力だけではどうにもできなかったところを魔法のメガネを手に入れて、楽しんで絵を描いている。自分で選んで、自分の選択に自信を持って、色をつけている。

それが、とてつもなく嬉しかった。


「仲さんが絵を描いている」


なんだか嬉しい。自分のこと以外でこんなに嬉しくなったのは久しぶりかもしれません。
だから、参加したいと思いました。
仲さんが絵を描いているのが、わたしは嬉しい。
何かをしたいと思う動機って、案外そんな身近な、少しの喜びだったりする。

果たして同級生の設定は必要だったのかと少し疑問に思いますが、そんぐらいうるっと感じてしまった、ということです。







塗り絵をしている時、マッキーの「世界に一つだけの花」が頭の中で流れていました。




もうすぐ春ですね。

春は、みんなの中に眠っている。
わたしの中にも眠っている。
それを気づかせて下さったのは企画のお二人、gmさんと仲さんです。



ありがとうございました。
生きる力に、なりました。



こちらの企画に参加しています。



バレンタインデーに、春を贈ろう。




(了)



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