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関節の「健康」 FCC news letter

2年前から継続しているコロナ禍の影響で、身体を動かしたり、人と関わる機会などが少なくなっているのではないでしょうか?命ある物が「閉鎖系」で生きようとすると、さまざまな弊害が生じるようです。物理学の世界では有名な「エントロピーの法則」があります。「熱力学の第二法則」とも呼ばれていますが、「自然(世界)は、常に、エントロピーが『小さい方から大きい方へ』、『秩序から無秩序へ』という方向に進む」という自然界の法則です。

今回のコロナ禍では、多くの人々の行動が制限されました。行動制限ということ自体がエントロピーの法則に逆行するので、自然の法則に逆らっているわけです。自然の法則に逆らうことで影響を及ぼしやすいのは「健康面」です。今回多くの方がその影響を受けているのではないでしょうか。当院で治療している「関節の痛み」を例に挙げてみましょう。関節はそもそも、身体を動かすためにあります。もしも、関節を使わなくなったらどうなるでしょうか。関節を動かす筋肉や関節をつなぐ靭帯は、硬くなります。鍾乳洞の洞窟の壁や天井からつらら状に垂れ下がる「つらら石」のように、関節と関節の間に「トゲ」ができ、長い時間を掛けながら関節同士をつなげようとします。

関節の健康を保つためには、適度に動かすことが必要です。関節を構成する軟骨や関節面には血管が行き渡らないので、関節軟骨の健康を維持するためには、関節を適度に動かして、水分補給をしなくてはなりません。言い方を変えると、関節の動きがなくなると、軟骨の水分が不足して、弾力が失われ、関節の健康が損なわれてしまうのです。「エントロピーの法則」に従えば、関節の健康は、できるだけ適度に動かす(小から大へ)、そして、できるだけ動きに変化をつける(秩序から無秩序)ことが必要です。

たとえ今回のように行動が制限されても、個人の工夫次第で身体は動かせると思います。ウオーキング、ラジオ体操、とにかく身体全体の関節を1日に数十分、数分でもいいので動かしましょう。特に背骨の関節は身体の軸になるので大切です。上体を前後、左右の回旋の動きなど左右均等にできるか試してください。そして、手足の関節も大切です。肩関節や股関節は身体の中でも大きく広く動く関節です。できるだけ大きく広く動かしてみましょう。

もしも、関節を動かして痛みや違和感、左右差などがあれば、関節が不健康になっているサインです。使わなくするのは簡単ですが、そうすると、関節が硬くなり、筋肉も衰えやすくなります。また、関節が不健康になると、老化が進行し、それに連動して内臓も衰えやすくなります。まずは、身近に感じやすい関節の健康からチェックして、身体全体の健康を維持していきましょう。

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