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24.偉大な進歩

小児科医ドクター・ストウ伝

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三省堂書店池袋本店のヨンデル選書フェアでお買い上げの方に渡す特製カードに350文字のオススメ文を寄せた。以下、そのまま引用する。

この本はですね、おそらく、なんですけどシッダールタ・ムカジーの「がん」を読んで、シドニー・ファーバーについてある程度わかってから読むとマジで世界が爆裂に広がって最高の読書体験ができるなあと、今ぼく「おそらく」なんて書きましたけど間違いなく続けて読むのがおすすめです。ちなみに「小児科医の話ってことは子どもと医者の話だろ」と思って読み始めるとすごい裏切られます。原水爆以後の医療者たちのエゴ、現場と研究室との温度差、トータルケアからトータルキュア、とにかくもう複数のテーマが錯綜する一大群像劇なんですよこの本は! 書いてて興奮してきました。そうそう、この著者の長澤さんの取材力マジでヤバいんで、半端な医療ジャーナリストは読まないほうがいいです。敗北感で仕事やめたくなるよ。

シッダールタ・ムカジーの『がん』を読んで気持ちが高ぶったらこういう本を読むといいと思う。

多くの病気が治療できるようになるまでに、どれだけミゼラブルな歴史があったか。目の前の過酷な疾患を克服するために過去の医師たちがどれほど努力してきたか。

ワンピースのエピソードの中に、モンブラン・ノーランドという船長かつ医師が出てくるのがあって、いわゆる『空島』回のコアになっている過去エピソードのひとつなんだけど、あたまにクリが乗ってるモンブラン・ノーランドが、呪術的な手段で病苦から逃げようとする人々に絶叫するシーンがあって、それはもうすばらしいシーンなんだけど、たとえばこの『小児科医ドクターストウ伝』を読むと、ああいうシーンのセリフの重みがはんぱないことになると思うので、ワンピースを深く楽しみたい人におすすめの本です(?)。

(2019.8.21 24冊目)

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