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177.類書がなく似た人がいない

精神症状から身体症状を見抜く

(上記リンクをクリックすると版元・金芳堂のホームページ。買えます。)

三省堂書店池袋本店のヨンデル選書フェア(本記事は2020-2021のヨンデル選書 3rd seasonが対象)で、お買い上げの方に渡す特製カードに350文字のオススメ文を寄せた。以下、そのまま引用する。

本書はそもそも内科学書であるということをきちんと周知したい。「精神症状から」ではじまる書名だから「すわ、精神科か!」となってしまうが、「身体疾患を見抜く」である。ね、そう考えると内科でしょう。さて書店はこの本をどの棚に並べるだろうか。著者は精神科医の尾久守侑先生。やっぱり精神科のならびに置いちゃうだろうな。多くの内科医は、「精神科の仕事の中に、身体疾患を見抜いて我々に送り返すというのが入っているわけだから、わかりにくい患者がいたらとりあえず精神科にコンサルトすればええやんけ」くらいの気持ちでいそう。でもそういうことじゃないんだよ、というあたりからしっかり理解できる。ぼくはこの本、内科学会で爆売れしていい内容だと思っている。もちろん精神科医の皆様もぜひご覧ください。病理医だけどおもしろかった。

尾久先生はその後『器質か心因か』『サイカイアトリー・コンプレックス』『思春期、内科外来に迷い込む』と立て続けに内科的精神科、いや精神科的内科の本を上梓する。『偽者論』も記憶に新しい。いずれも、執筆のスピードがめちゃくちゃ早いのに内容が豊富でなにより文章が美しい。いまの医学書執筆者の中では頭一つ抜けている能力をお持ちである。なお彼はプロの詩人でもある。インスタの自撮りはわざとかっこ悪い顔のうつりかたのやつを選んでいそうである。

(2022.12.9 177冊目)

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