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175.オンリーワンでは学べない

基礎から学ぶ楽しい疫学


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三省堂書店池袋本店のヨンデル選書フェア(本記事は2020-2021のヨンデル選書 3rd seasonが対象)で、お買い上げの方に渡す特製カードに350文字のオススメ文を寄せた。以下、そのまま引用する。

たまに質問を受ける。「医学書を読んでると眠くなっちゃうんですけど、どうやったら寝ないで読めますか?」 これに私はこう答える。「寝てから読む。」たいてい苦笑される。ただし続きもある。「あと、著者の声を思い浮かべる」。これは医学書を効率よく読み進めるための奥義だ。門外不出ならぬ門外頻出のワザ。その本を書いた著者がありありと目に浮かんでいる状態で本を読めば楽勝で読み切れる。たとえば、ある領域で有名な医者の講演を聞いたあとにその人の本を読むのはおすすめだ。するといつも以上に頭に入る。前置きが長くなったが、本書は版を重ねた名著であり、序盤に「著者の人柄を思い浮かべさせてくれる工夫」がある。通読できる疫学の本なんてそうはないが、この本は中村先生が語る姿がありありと思い浮かぶ。細やかな筆致も好きです。

いい本である。デザインもしぶい。医療系の疫学の教科書ではこれが一番いいのではないかという気がする。ただし、あらゆる医学書に言えることだが、「一番いい本」はあっても、「これ一冊でOKとなる本」というのはない。本は複数読まないといけないのだ。その上でなお、この一冊は読んでおくとよいと言える本がある。


(2022.11.25 175冊目)

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