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179.ときには聖書のように

がん医療の臨床倫理


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三省堂書店池袋本店のヨンデル選書フェア(本記事は2020-2021のヨンデル選書 3rd seasonが対象)で、お買い上げの方に渡す特製カードに350文字のオススメ文を寄せた。以下、そのまま引用する。

何度も何度も寝落ちした。飛ばしながら通読、戻って通読。結局全部読んだ。テキサス大学MDアンダーソンがんセンター、世界トップクラスの「がん治療実践の場」のエキスパートたちが本気で書いた本、を日本の医者が翻訳。ぶっちゃけ翻訳文は硬くてスルスルとはまったく読めません。そのかわりこれ、知性の大樹。もうだめだ、この硬い文章は耐えられない!と思った次の瞬間、眼前にありありと「診察室」が、そしてホスピスの風景が再現されて一気にナラティブに思考が流れ込む。臨床研究における倫理、がん治療と医療経済の話、組織におけるリーダー育成、そしてSNSを含めた医療情報との関係まで。本気で医療システムを考えたい医者、そしてジャーナリスト・マスコミのみなさん、さらには「フラジャイルの原作を書きたい」と目論む未来の原作者たちは必読。

「読みやすい!」みたいな本ばかりを基本的には読んでいるのだけれど、ときおり、「うわー読みづら! 眠! しんど! でも読まなきゃなー!」みたいな本を偏愛することもある、ということです。この本はまさにバイブルみたいな本で、そう、バイブルって「読み解く」必要があるでしょう。そういうことなんですよ。

※週刊ヨンデル選書は次回が最終回です。

(2022.12.23 179冊目)

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