126.同業者の闘志をかき立てたであろう本

街灯りとしての本屋

(上記リンクをクリックすると版元・雷鳥社のホームページ。いろいろな書店で買えます。)

三省堂書店池袋本店のヨンデル選書フェア(本記事は2019-2020のヨンデル選書 2nd seasonが対象)で、お買い上げの方に渡す特製カードに350文字のオススメ文を寄せた。以下、そのまま引用する。

ジュンク堂梅田の店員におすすめされて読んだら案の定よかった。「書店」にいる「本屋のひと」がすすめる本がつまらないわけはない。きわめて小規模に営業されている11店の本屋(台湾風にいうならば独立書店か)の店主たちに丁寧に聞き取りを行った本書は、本のまわりでどう商売をするか、本を売ることにどんな夢をみるか、みたいなことがじわじわあぶり出されてくる。装丁かっこいいね。ここで、おそらく似たようなことを考える人はほかにもいるだろうがちょっとひねった感想を書いておくと、「書肆スーベニア」の店主が用いたことばを生々しく編集した本書の作り手は、とてもやり手だなと思う。こういうのを読みたかった。学園祭のノリで本屋をやろうとするのではなく、どこか「本気のあきらめ」を秘めてそれでもなお本屋をやろうとする人の姿を。

この本に寄せた感想文は我ながらエモいなーと思うわけだが、その後、タイムラインで何度もこの本の表紙を目にすることになったし、リアルの書店でも何度か平積みされているのを見た。みんな刺激を受けた本だったのだと思う。『めんどくさい本屋』もいい本だが、ぼくはこっちのほうがさらに好みです。

(2021.12.03 126冊目)

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