39.できればそこに残してほしい
図解入門よくわかる病理学の基本としくみ
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三省堂書店池袋本店のヨンデル選書フェアでお買い上げの方に渡す特製カードに350文字のオススメ文を寄せた。以下、そのまま引用する。
田村浩一先生というと、「ドラマ版フラジャイル」の監修をされていたという話。マンガ版で少し解釈が難しかった部分をきちんと考証し直していて、ひそかにドラマをみながら(……すげぇな)と感心しました。そして、ドラマ版フラジャイルのホームページ(今も閲覧可能)には、中熊教授の病理解説みたいなコーナーがあるんですけれど、あれを書いてるのも基本的に田村先生だったはずです。つまりは「一般の方向けに病理を説明することに長けている」ということ。本書はいわゆるコメディカルと呼ばれる人向けで、一章ずつがとても短くて読みやすく、それでいて結構なボリュームがあって、ああ確かにこういうの書ける人ってぜんぜんいないよな、ぼくだってこういうの書きたかったもんな、と感服するのです(いやマジで自分で書いてみると大変なんすよ)。
ドラマ版フラジャイルの放送は2016年。このホームページが実によい出来で、上記の田村先生が監修した内容で「病理医に分した北大路欣也や武井咲が病理の解説をしてくれる」というとてつもなくよいものだったのだ。
しかし……。
フジテレビ、ホームページを縮小してしまった。放送が終わって数年経つともう残しておいてもしょうがない、ということなのだろうか? すごく好きだったのに。田村先生が番組に沿うように記した渾身の病理解説は読めなくなってしまった。この先、田村先生の病理に対する思いを読もうと思ったら書籍に触れるしかない。まったくほんとうに残念だ。
終わったドラマをいつまでも懐かしむ人もいるのだから、ツイッターアカウントとか、番組ホームページのたぐいはできればそのまま残しておいてほしい。まあ、断捨離とかこんまりが流行る時代だから、しょうがないのかもしれないけれど。
本はその点、まだいい。絶版になろうと紙は残るのだから……。
(2019.12.2 39冊目)