見出し画像

56.ダジャレじゃんと思った

※2週間ほど更新を忘れてました。理由はいろいろですが時期的なものをお察しください。

地上の飯

(上記リンクをクリックすると、版元ドットコム。さまざまなウェブ書店で注文することができます。)

三省堂書店池袋本店のヨンデル選書フェアでお買い上げの方に渡す特製カードに350文字のオススメ文を寄せた。以下、そのまま引用する。

「そばですよ」と「料理の四面体」から「料理本」につなげていこうかな、という発想です。ヨンデル選書、初回の50冊(オリジナル50と命名)で、ぼくが「フラジャイルつながりでうどんとそばの本を選びました。」と書いたら多くの方から「無理矢理だなあ(笑)」「うどん好きめww」となじられたのですが(快感)、そうではなくてぼくはそもそも料理にまつわるエッセイみたいなものが極めて好きなのです。なんででしょうね。料理と病理が似ているから、というだけではなくて、人間の三大欲求に文筆で踏み込めるだけの筆力をもったエッセイストというのは時代の大エースだと思うんですよね、中村和恵はすごいですよ、知性が服着て歩いてるみたいな人。しみじみ読めばしみじみと。辺境を旅する気持ちにもなれます。脳だけでも旅をせよ。

三省堂書店池袋本店ほかで開催された「ヨンデル選書フェア」(2019の1st season)では、さまざまな医学書のほかにちょっとだけ一般書も並べてもらった。この際、ただ一般書を適当に、好き勝手に選ぶのではなく、ほかの医学書と関連があるような本を選ぶことにした。

たとえば、病理医マンガ『フラジャイル』の主人公・岸京一郎は麵類ばかり食べているので、『そばですよ』という本を選書した。麵つながり。

そして、これはちょっとずるいのだけれど、「病理」と「料理」が似ているなどの理由で選んだ『料理の四面体』という本があったので、よし、料理関係の本は毎月選ぶことにしよう、と決めた。

料理関係の本には優れたエッセイが多いように感じる。『地上の飯』は文章が重厚である。当初、装丁からはライトでポップな雰囲気を感じたのだが、読み終わってから表紙を見返すとどこまでも深みのあるデザインだなと思った。人間は知覚する際に記憶をスパイスとして用いる。『地上の飯』の練られた文章は、見たものをすべて静謐にさせるだけの力を持っていた。

(2020.5.1 56冊目)

この記事が参加している募集