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123.レターセットの理由

仮病の見抜きかた

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三省堂書店池袋本店のヨンデル選書フェア(本記事は2019-2020のヨンデル選書 2nd seasonが対象)で、お買い上げの方に渡す特製カードに350文字のオススメ文を寄せた。以下、そのまま引用する。

「病名がなくてもできること」という本があまりにすばらしくて感動したぼくはツイッターで絶賛した。すると國松先生から手紙が届いた。便箋に丁寧な字で書かれた手紙だった。手書きだ! ぼくは驚いた。いまどき、医者が、手書きで、お礼を!! ぼくはのけぞってしまった。人間力が高すぎる。そんな彼が同時期に他社からもう一つ出していた本が「仮病の見抜きかた」。ぼくはすっかり彼のファンとなり、評判とか書評とか何も読まずに「仮病の見抜きかた」を読みはじめた。どんな医学書かなあ? ところがなんと本書は小説だった。医療関係者が読んでも、なんと素人が読んでも味わえる、極上の小説だった。ぼくは驚きすぎて首が離脱して大気圏を越えた。今は月の周回軌道にある。ジャンルとクオリティは芥川賞。ホントだ。受賞前に買ってみんなに自慢せよ。

……テンション高いな! まあわかる。衝撃だったからだ。

上にも書いているとおり、ぼくがはじめて読んだ國松先生の本は中外医学社の、

『病名がなくてもできること 診断名のない3つのフレーズ 最初の最初すぎて診断名がない あとがなさすぎて診断名がない 不明・不定すぎて診断名がない』(フルで書くとこうなる)

である。これがまたとんでもない本で、誰だこの國松という人は、とおそれおののいて出ている本すべてを買いそろえて片っ端から読んだ。

今も仮病の見抜きかたの衝撃は衰えないし、國松先生はその後、丸善出版から『あたしの外来診療』という、これまた小説仕立ての名著も出している。医学書院の総合診療という雑誌でも小説(縦書き)を書いているし、当代随一の医書書きであることはもう疑いようがない。

しかし手書きのお手紙か。すごいな。まねしよう。……そう思って、レターセットを買い、たまに手書きの手紙を書くようになった。影響を受けやすい。

(2021.11.12 123冊目)

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