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ニトリの働き方(似鳥昭雄著, 大和書房)社内システムも自前で開発

ニトリの判断基準に4つのCがあります.

1.Change
2.Challenge
3.Competition
4.Communication

この本ではCごとに章を設け, それぞれに似鳥会長のありがたいお言葉が並べられてあります. それに加え, ニトリの役員や従業員がそれぞれのテーマについて気づき, 実行してきた事を述べてあり, 私としてはそちらの方が参考になりました.

ニトリは取り扱っている商品の製造から物流, 販売まで自社で手がけており, それが強みとなって業績は好調です. 社内で使うソフトウェア(社内システム)も外注せずに内部で開発しており, どうやらスマホ向けアプリも開発しているようです.

新型コロナウィルス感染拡大防止ということもあり, 従来の営業手法が通用せず, DX(デジタルトランスフォーメーション)への転換が求められています. ニトリのように自社で社内システムを開発しなくてはDXを実現できないでしょう.

私は, 製造業をしている企業の子会社に勤務しており, グループ企業向けに社内システムの開発を請け負っています. その経験から, 社内システムを外注するとDXが掛け声倒れとなる理由を書きます. 

1)プログラマは発注側の業務内容が分かりません.

もちろん, 社内システムの開発を始める前に業務内容をヒアリングしますが, 聴く人によって内容が異なります. 結局, 最大公約数的な使いにくいシステムになります.

2)プログラマは発注側の業務をしません.

業務内容をヒアリングしていると業務手順を見直した方が良さそうな時があります. そのような時, 質問ぐらいはしますが, 業務内容や手順に口出しできる立場にありません. 今の手順をそのまま社内システムに落とし込みますので,  訳の分からない複雑怪奇なものができあがります.

3)業務内容や手順が変わった時, 対応に時間がかかります.

開発が終わり使い始めたとして, 市場環境の変化や法改正への対応など色々な理由で社内システムを変更する必要が出てきます.

変更する場合, 仕様変更の調整をして, 見積りを受け, 金額と納期を調整するのですが, これだけで数ヶ月の期間を要します.

実際に修正して, テストして業務で使えるようになる頃には, 次の修正が必要になっているでしょう.

4)高い金を払うか, 修正せず運用でカバーするか.

多くの場合, 修正のための見積り金額の折り合いがつきません.  発注側はこれぐらいの修正は簡単にできる,と低めの金額を予想しますが, 受注側はこれだから素人さんは困るとばかりに作業項目を挙げて見積金額が上がっていきます. 実際にかかりますし.

ソースコードがあるとして, 別の業者に修正させるもの難しいと思います. 私が別の業者の立場なら, リスクを見込んだ見積りを出します. 開発元よりも安い見積りが出てくるなら,
 A) 1時間あたりの単価が安いか,
 B) 何も分かっておらず甘くみているか,
 C) あとで回収するつもりか,
のどれかでしょう. A)やB)の場合, 直すつもりがぐちゃぐちゃに壊れてしまうかもしれません.

金額の折り合いがつかず, そのまま使い続けたとしたら, 社内システムから出てきたデータを誰かが手作業で修正して対応することでしょう.

結局, 自分たちで社内システムを作った方が安上がり

キャンペーンなどで3ヶ月から半年で捨てるソフトウェアなら外注した方が安いと思いますが, 業務用に長期間使うつもりなら自社でプログラマを養成した方が, 最終的に安上がりになると思います. 

プログラミングなど数ヶ月勉強すればそれなりのモノを作れるようになりますが, 業務に精通するには何年もかかるはずです. 無論, 人命やお金に関わるソフトウェアは慎重に取り組まねばなりませんが.

ということで, 私の今の仕事, ソフトウェアの受託開発では誰も幸せにならないので, やり方を変えていきます. 当面の課題は短期間でプログラマを養成する方法を考えることです. また, ちょっとした社内システムのつもりが, いつの間にか大きくなって長期間使われることがありますので, 品質と保守性を確保する方法も準備しなくてはなりません.


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