古代のパパン

台所には調味料が置いてある。
調味料は料理に味付けをすることができる。
他の家庭がどのようにそれらを置いているか分からないが、私の実家はこのように小さな回る土台の上に立ててある。

醤油とか七味とか様々な調味料が彩り豊かに並んでいるのだが、写真の中央でこちらに微笑みかけているこいつの名は「パパン」である。
※「パパン」とは、食パンに振りかけるだけで色々な味を楽しむことができるというハウス食品が提供している画期的な調味料である。
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最近見かけないが、昔頻繁にCMをしていたような気がする。
バラエティも豊富で、シナモンシュガーやガーリックトーストなどThe食パンのような味から、チョコバナナなど別の食べ物再現味まで幅広く取り扱っている。

今回実家で目が合ったのはメロンパン味だ。
食パンの無機質な虚無味を思い出してほしい。
アレが粉を振り掛けるだけで一気にメロンパンになる(味のみ)らしいのだ。

これは言わば魔法の粉だ。
これさえあれば誰でもハイになれる。
密輸待ったナシ。

薬物、ダメ、絶対。

カップラーメンも食べてお腹ペコペコだし、メロンパンを食べたくなってきた頃なので、早速実践してみることに……。
しようとしたんだが、手に取ってみると信じられない文字が目に入ってきた。

は?
2016年っていつ?
それマヤ文明の予言外れて何年後?
え、4年後?
ってことは今から4年前?
マジ?

これが「古代のパパン」である。
今から4年前は「古代」で間違いないのだ。
つまりオリンピックが行われる度に古代は更新されていくことになる。
なので歴史の教科書は全て間違っています。

だが、メロンパン味の食パンを諦めきれないのもまた事実。
4年前の賞味期限がなんだというのだ。
世の中には賞味期限など気にする暇もないほど飢えに困っている人もいる。
生ものならともかく、調味料は大丈夫では?
さらには砂糖類は非常に長く持つ調味料の1つでもある。
(一応Yahoo知恵袋で調べると、シナモンシュガーなら5年前のものを使ってる人がいた。)

一筋の希望にかけパパンをパンの上に振りかける。
アンティークものなので中で塊になった粉たちは出が悪かったが、なんとか食パン全体に振りかけることができた。
最初にバターを塗るべきだったのを忘れたがそれはもう後付けでも構わない。
問題はメロンパンになれるかなれないかだ。

およそ2分半、オーブントースターで焼き、できあがったものは紛れもなくただの食パンであった。

ミスって写真を撮る前に齧ってしまった。
逆に粋な写真が撮れたような気がする。

肝心の味はめちゃくちゃ微妙だった。メロンパンかと言われたらそうかもしれないし、何も知らずに食べたら普通にバターをつけた食パンだと答える人が大半だろう。

正直、これが賞味期限のせいなのかどうかは分からない。
「実はかき氷のシロップ全部味一緒なんじゃね説」と同じような匂いがプンプンする。
全国のYouTuberは利きパパンと利きじゃがりこをやってください。

この結果分かったのはバターが美味いということだけである。
第1回 調味料最強選手権はバターの優勝
おめでとうバター。

これは小話なのだが、実は実家にある調味料のほとんどが賞味期限を切らしている。
最初の写真のパパンの隣にある七味は2018年、胡椒は2017年で切れていた。
家族仲が悪いので、実家で人と話すことはほとんどないのだが、これだけは言える。
「マジで1回整理した方がいい」

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