部屋と22歳女子と僕

こんばんは。

体調を崩してしまって、前から約束してたデートもキャンセルして泣く泣く家でボーッとしてる三連休を過ごしています。

さて、本題。

22歳女子を家で保護しております。保護するのは今回で2回目。今回保護した理由は「同棲した彼氏と別れたから」。次の住処を探して引っ越すまでの一時避難所として我が家を使われております。

僕としては、過去に付き合っていた女性と同棲をしていたこともあるので、誰かと一緒に生活することに特に抵抗も無いし、お互いに異性として意識する事も全くないため、まあ無期限でもいいやーって思ってます。

そして、この22歳女子が非常に面白い生態でして、これからは表題の”部屋と22歳と僕”というテーマで不定期的に連載をしていきたいと思います。

そもそも、この22歳女子と僕がどういう関係かと言いますと、会社の”元同期”です。それ以上でもなければそれ以下でもないです。では、そんな22歳女子の元同期と僕のエピソードなどを書いていきたいと思います。

1回目の保護の話

「恋人の携帯は希望の無いパンドラの箱」

その頃の僕は残業まみれの毎日を過ごしておりました。そして、22歳女子はまだ会社も辞めておらず同期でしたし、彼氏との同棲も続いておりました。ただ、彼氏の浮気癖もひどいもので22歳女子がいながらも、何回も浮気を繰り返していたそうです。浮気をしてはバレての繰り返しで何回も喧嘩をしていた日々を過ごしていたそうです。

どうして浮気がバレるのか?それは22歳女子が勝手に彼氏の携帯を覗いているからでした。彼氏が携帯を置いてどこかに行った隙をみては、LINEだったり、ツイッターの裏アカウントだったり、彼氏の携帯を勝手にチェックしていたのです。”恋人の携帯ほど勝手に見て損するものはない”という持論を持っている僕からすれば、それで彼氏の浮気を知ったり自分が憂鬱な気分になるのは自業自得だと思ってますし、毎回22歳女子から「また浮気されたんだけど...どうしよう...」と相談されるたびに「そもそも勝手に携帯を覗くのが悪い」と一蹴しておりました。それでも、相手の携帯を覗くことをやめることはありませんでした。

浮気する彼氏も悪いんですけれど、相手の事を全部知ろうとするこの22歳女子の姿勢もあまりオススメできません。理由は”良い事が一つもないから”。他人の携帯を勝手に覗いてハッピーな気分になる出来事って何かありますか?たぶん、一つもないと思います。実は、SNSでは”めっちゃ好きアピール”を投稿していた!...好きだったら面と向かって言ってほしいですよね。恋人へのサプライズを準備していた!...準備段階で知っちゃったらサプライズの感動も半減してしまいますね。

大切なのは、”知ること”ではなく”信じること”

きちんと相手を信じることが出来ていれば、わざわざ携帯を勝手に覗いて自分が落ち込む事もありません。そして、浮気とかをされていても知らない間は自分は幸せですし、知ったとしても正々堂々と相手にきちんと説明してもらえればいいだけなのです。そもそも、お互いが好きだからこそ付き合っているわけですし浮気をするなんて有り得ないんですけどね。

22歳女子から彼氏の浮気相談をされる度に毎回こんな話をずっとしておりました。そして、1回目の保護の前後も同じような話を22歳女子へしておりました。

「もしもし、〇〇さんですか?」

その電話がかかってきた時、僕は残業をしていました。たしか、時間は20時を回っていた時で、自分も含めて自分の上長と他部署の先輩の計3人くらいしか残っていませんでした。いつものように終わらない仕事を延々とこなしていた時、自分の携帯に着信がありました。着信画面を見ると22歳女子の名前だったので、どうせまたいつもの相談の電話をいきなりかけてきたんだろう程度にしか思わず、周りに迷惑が掛からないように会議室に場所を移動して電話を取りました。電話に出ると、そこからは馴染みのない声がしてきました。

「もしもし、〇〇さん(本名)ですか?私、**警察署のものです。」

その言葉を聞いた瞬間に、自分の人生は終わったと思いました。中学時代の数々の悪行がとうとう日の目を浴びてしまったのか、いや、待てよ、もう十年も前の事だし時効でしょ、でも、今更電話がかかってくるってことは相当何か証拠を掴んでいるのではないのか?最近、自分の周りで逮捕された人とも共犯している事なんてないし、あれか?最近知らないうちに何かやらかしてたか?...と自分の中でスーパーコンピューター並みの速度で色々と想定をしておりました。

僕「はい、そうですが」

警「ああ、よかった。実は22歳女子さんを保護したんです」

僕「え?ああ、僕が何かしたわけではないんですね」

警「...?....どういう意味ですか?」

僕「ああ、なんでもないです。で、保護ってどういうことですか?」

警「ええ、実は...」

とはじまり、今回の出来事について警察が教えてくれました。

22歳女子は彼氏の浮気を知って、精神も不安定だった事もあり、彼氏の勤め先に行って彼氏の前で自殺をしようと試みたのです。彼氏の勤め先にある公園に彼氏を呼び出して、自分のカバンに入れてきた包丁で自分を刺して目の前で自殺をしようとしたそうです。そして、それを彼氏や通行人の人に制止されて、最終的には駆けつけた警察にも取り押さえられたとの事でした。

街中で刃物を出しちゃったので、銃刀法違反ということで警察の保護対象へ。実家も無いし同棲している彼氏の元へも帰せないということで、22歳女子が真っ先に選んだのが僕の家というわけでした。本人に僕の家を選んだ理由を聞いたところ、「頼っても一番申し訳なさが無いから」という非常に失礼な理由でした。人のことをなんだと思っているんでしょうね。

そんなこんなで色々と警察から事情を聞いて、結局は僕が保護する事に。残業中だったこともあり、僕は話を切り上げて職場に戻って上長に「22歳女子が警察に保護されたので、残業切り上げてもいいですか?」と聞くと、上長も「えっ?どういうこと?意味が分からないから詳しく!」ということで、先ほどの電話の内容を共有しました。すると...

上「残業なんかいいから、早く家に帰りなさい!」

僕「でも、今日中にやらないと厳しい仕事ありますよ?」

上「やっておくから大丈夫!遠慮しないで!」

僕「いやいや、どうせ22歳女子が家に来るのもまだ時間あるそうですし、それに、あれもこれも仕事まだ残っているんですよ?これ本当にやってもらえますか?」

上「...じゃあ、もうちょっと仕事お願いしていい?」

というような優しいのか優しくないのか分からないのが、僕の上長の面白いところ。そんなアホなやり取りを終えた時に、二度目の着信。調書やら書類作成が必要らしく、すべて終わって警察署を出て僕の家に向かう前に電話をすると警察の方が提案してくれました。二度目の電話を終えた僕は、そのまま残業を続けていましたが、久しぶりに警察からの身柄引き取りするので(実は過去にも警察からの身柄引き取り人の経験があるのです。それはまた別の機会で)少し緊張しておりました。

残業を切り上げたのは22時。それでも、まだ三度目の着信はなく、僕はいつも通り疲れ切った身体を引きずってコンビニでアルコールとおつまみを買って帰路についておりました。家についてベランダでタバコを吸って一服していると三度目の着信があり、今から家へ向かうと告げられました。そして、家へ着いたのが深夜1時。警察の車両2台が家の前に停まって、中から警察官2人と22歳女子が出てきました。警察官2人はとても若い美人な婦警さんと中年のおじさんでした。中年おじさんが僕に書類と身柄引き取りのサインについて説明をしている時に、婦警さんはずっと22歳女子の横にいて背中をさすってあげながら「もう大丈夫だよ」と優しい言葉をかけておりました。僕としては、「これから保護する僕にも優しい言葉をかけてくれないかなあー」と思いながら中年おじさんの話を聞いておりました。書類にサインすると、警察官2人は僕に目もくれずに22歳女子を励ましてあげて最後に別れを告げて去っていきました。みんな僕のことを何だと思っているんだ。

「何にも無い!」

とりあえず、22歳女子を家に上げて照明の下に晒してみると全身ボロボロでした。取り押さえられても抵抗していたみたいだし、包丁で自分の太ももを刺したりしたので、ストッキングもボロボロだし、全身傷だらけで汗臭いし、僕はすぐにシャワーを浴びさせました。風呂上がりの22歳女子は以前よりも10歳くらい老け込んでいる気がしました。事の顛末を聞いた僕は22歳女子に同情しかけておりましたが、22歳女子が「タバコ吸ってもいい?無いから1本ちょうだい」という一言でそういう気持ちは一切消え去りました。2人で一服した後に、22歳女子も落ち着いたのか、「この部屋って何にもない!」と言ってきました。僕はミニマリストというわけではありませんが、自分の生活に必要なものと本しかないような暮らしをしているので、たしかに部屋には娯楽と呼べるようなものは全然ありませんでした。翌日も仕事なのに深夜1時まで起きて保護してあげたのに、どうして自分の部屋にケチをつけられなければいけないんだ!と思いながら、「やかましいわ!」と返した記憶があります。そして、その日はよっぽど疲れたのか僕の寝袋を勝手に広げて22歳女子はぐっすりと眠りにつきました。

「とりあえず、俺について来い」

翌朝、あまりにも寝不足だったのと前日に警察の方から、なるべく一緒にいてあげてくださいと言われていたので、会社に電話して午前中は休むことにしました。特に予定も無かったので、僕は22歳女子を連れて免許の住所変更の手続きに行く事にしました。昨日の出来事や他愛ないことを話しながら、2人で免許更新手続きを終えると、22歳女子は”自分の家に帰りたい”と言ってきました。以前から22歳女子と彼氏は共依存関係にあったので、浮気を繰り返されても別れられないのは仕方ないと思っておりましたが、まさか昨日の今日なのに家に帰りたいのか...と信じられませんでした。とりあえず、警察に電話してみると、あまりオススメできませんが、お互いに落ち着いているようであれば、家に帰っても問題はありません。との事でした。法的拘束もあるわけではないので、警察としてはどんなに心配で引き止めたくても引き止められないのが現状と電話で教えてくれました。

「ありがとう。またね。」

自分も午後から仕事へ行かなければならかったので、警察から教えてもらった内容を話して22歳女子を自分の家へ帰すことにしました。僕としては、もう彼氏と別れればいいのにと思ってましたが、”それでも好き”という22歳女子の彼氏への依存度が高いことが分かる発言を聞いて、しばらくは何を言ってもダメだろうなあと感じました。

最後に22歳女子から「ありがとう。またよろしく」と言われた僕は、”もう一回警察に保護されるのだけはやめてくれ”と心の中でつぶやいておりました。

そこから、色々とあって2回目の引き取りをしたわけですが、今回はここまで。

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