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イギリスでCSの大学に行った話

もしかしたらこの話って需要あるのでは?と思った出来事があったので書きます。

はじめに

これは、私が実感していることを書いただけのものです。生存バイアスはかなりありますし、ここで書いたことが全てではないです。違う見方を持った方も沢山あるということを踏まえて読んでいただけると嬉しいです。

自己紹介

日本で文系の大学を卒業しましたが、イギリスに移住してから自分のキャリアに迷子になった為、27歳の時に、夫の協力の元イギリスでCS(Computer Science)の大学に入りなおしました。最終的な成績はFirst Class Honor (日本でいう優、一番良い成績)でした。
今はドイツから、フルリモートでイギリス企業で働いています。

私の入った大学について

私の入った大学は、詳しくは「大学と提携していて、その大学卒業証明書が貰える専門学校」みたいなものでした。卒業して貰える証明書にはその学校の名前が一切記載されないので、私は卒業した大学ではなく、証明書に書かれている大学を卒業したと履歴書に記載しています。なんか経歴詐称みたいな話ですが、経歴詐称ではなく、試験内容もレポートもその証明書が発行される大学のシラバスに沿っているので特に問題はありません。
今はもう倒産してしまいました。まぁ、本当に〇みたいな学校で、かなり恨みもあるので、無くなって清々してます。

私がこの大学を選んだ理由は下の2つです

  • 本来3年かかるコースを2年間で終わらせることの出来る、Acceleration Course」がある(払う学費は一緒で、夏休みと春休みがない)

  • 必要なIELTSのスコアが低い

Acceleration Couseの存在は、もしこれがなければこの学校は絶対に行ってないなというレベルでとても助かりました。当時私は27歳だったので、29歳で卒業出来るというのは、30歳で卒業するのと訳が違います。
必要IELTSのスコアが低い=あまり頭のいい学校ではないというのは安易に想像出来ましたが、現役エンジニアの夫の「もしものすごく駄目な学校だった場合、授業の内容は俺が全部教えるから」の言葉に後押しされ、この学校に決めました。

ちなみにもう一つの候補はUniversity of West London でした。今調べたら、イギリスの大学ランキングトップ50に入ってるくらいいい大学みたいですね。もしここに通っていたら、私の人生はどんな風になっていたんだろうなぁ。

大学入学に必要だったもの

私は日本の大学を卒業していたので、必要だったものは大学の卒業証明書(日本の大学に問い合わせると、英語で発行して貰える)と、IELTSの成績証明書だけでした。私の行きたかった大学はあまり頭の良い大学ではなかったので、IELTSで必要なスコアは6.0でした(普通の大学だと7.0や7.5必要になる)

学期ごとのルーティン

一学期は3カ月単位。3週間くらいの休みを学期ごとに挟まれます。私はAcceleration Couseだったので一年に3学期こなしていましたが、普通のコースの人は、2学期が終わった時点で4カ月の休みがありました。

一学期ごとに3つの教科を勉強し、一回の授業は4時間なので週の授業時間は12時間です。
自由に履修できる項目はほとんどなく、全てカリキュラムが設定されていました。

学べたことについて

学校で先生から学べたことはほとんどありません(重要)

先生がその教科についてあまり知らないという事が多々ありました。用意されたプレゼンも、ググったら一番最初に出てくる人のプレゼン資料を勝手に使って、それを読むだけ、みたいなのばっかりでした。
先生に質問しても無駄なので、私は授業が終わったら毎日2-3時間ほど夫にそのプレゼン資料を一から説明して貰って、分からない箇所は夫に聞くもしくは一緒に調べるなどをして勉強しました。

一番驚いたのは、授業で習った内容と課題の内容がかなりかけ離れていたことです。例えば、HTML, CSSの基礎とJSのif elseとloopを教えられた時点で「はい、じゃあ課題はウェブサイト作成です。もちろん複数ページ。レスポンシブでね」という感じでした。授業では2桁の足し算引き算しか習わないのに、レポートでは分数の割り算をすることを求められる、みたいな。

習っていないことも、自分で勉強する前提で物事が進みます

入学前にやっておいて良かったこと

上記のように、自分で勉強することが求められるので、どれだけ自分で勉強したのか、ということが大事になってきます。
ただ、在学中に沢山本を読み課題もしつつ…みたいなのはとても大変なので、入学前にHTML, CSS, JSの基礎についての本を読んでいたのはとても助かりました。

在学中にやっておいて良かったこと

課題とは別に、Java Certificateの勉強をしました。日本だとJava Bronze, Silver, Goldと分かれているアレです。英語だとOCAとOCPという二つに分かれています。


あと、課題とテスト(各教科ごとに課題+テストの点で評価が決まる)は、一生懸命頑張っておいて良かったです。バイトは短期バイトを数回やりましたが、課題がキツかったので継続したバイトはできませんでした。でも、その価値はあったかと思っています。

在学中にやっておいたら良かったこと

図書館をもっと活用するべきだなと思いました。普通の図書館よりも専門書が沢山あるので、ああいう本が読み放題という特権は、もっと使っていたらよかったです。

大学に期待するな

ここが私の一番言いたいことなのですが、大学に期待しすぎてはいけません。大学に入ったら全て解決、授業が全部教えてくれるから、授業さえ受けていたら技術が身に着く、ということはありません。自分で学習出来ない人や受け身の人だとかなり厳しいです。
ハーバード大学MITが、オンラインで授業を公開したり、無料のCSコースの提供をしていますが、こんなに分かりやすい授業をしてくれるのはこの大学がいい大学だからです。このレベルの授業を期待していくと痛い目に合います。

もし、これから同じようにヨーロッパで大学に入る予定があるなら、自分で学ぶ力が凄く大事だということを強く伝えておきたいです。

ブートキャンプについて

よく、ブートキャンプと大学を比較することがありますが、この二つは比較するべきではないと思います。何故ならブートキャンプはスキルが身に着くもので、大学は学位が貰えるものだからです。大学に入学しても、スキルについてはどちらにしても自己学習をする必要があります。

学位があるということ

バックエンドをやるならあった方が有利

今のところ「完全未経験で、学位無しにバックエンド開発者として就職した」という話は、日本以外では聞いたことがありません。(しかし、もしあるならめっちゃ話聞いてみたい)
もし海外でバックエンド開発者をやりたいのであれば、こちらで学位を取得するか、日本で経験を積んで経験者として就職する方法が一番手っ取り早いんじゃないかなと思います。

イギリスでの求人と学位

イギリスは、エリート系の職種以外は出身大学のレベルは問われませんが、大学での成績は問われます。
イギリスでの評価は、First Class, Upper Second Class, Lower Second Class, Third Classという順で高い評価です。
私はFirst Class Honoursという、一番高い成績で卒業しました。イギリスでの新卒採用のほとんどは「First Class 取得者のみ」「First Class もしくはUpper Second Class取得者のみ」でした。それより低い成績の人がどうやって就活したのかは正直謎です。ここで高い成績を取れていなかったら、就活はかなり困難だったと思うので、2年間頑張ってきて本当に良かったと思っています。
イギリスの場合、学位が大事だなと思うのは正直最初だけです。数年経験を積めば、後々は経験のみを問われることが多く、数年経てばほぼフラットです。

一つ言えるのは、(これはどの国でも一緒かもです)金融業界に入るのは、かなり大変です。ロンドンでの金融業界の給料は、めちゃめちゃ高いです。その分、元々金融の経験があるもしくは名前の知れている大企業に勤めていたなどがないと、書類の時点で落とされたりします。なので、新卒で金融業界へ潜り込めると、その後のお給料で凄く差が出てきます。
まぁ、人生お金が全てではないですし、その他の職種でも開発者だったらそれなりにお給料は貰えるので、その辺りを気にしないのなら問題ないと思います。

ちなみに私は、就活期間は1カ月ほどで、面接4社、そのうち最終面接まで行って落ちたのが1社、内定は2社貰いました。そのうちの一社が金融関係かつ給料が破格だったので、後々のことも考えてそちらのオファーを受けました。

ドイツでの求人と学位

ドイツはイギリスとは比べ物にならないくらいの学歴社会です。ドイツは大学の学費が無料なので意外かもですが、ドイツで暮らしていて思うのは「大学へ行ける資格を取得」するのはかなり大変なんだなという気持ちです。その分学位を持っているとかなり有利です。

イギリスと違い、シニア開発者にも大卒資格が求められます。今ドイツは人手不足なので、勿論経験があれば面接に呼ばれることもあるかと思いますし、特にスタートアップなどではそれが書かれていないことも沢山あるので、学位がないから絶対に就職が無理だということはないですが、募集条件に学位の有無を記載している会社が沢山あるということは、やはり学位取得者の方が有利ということですよね。

ちなみに、ドイツは大学格差もちょっぴりあるらしいです。CSの学位には二種類あり、いわゆる「言語を作れるレベルまで学習するCS」と「もっと実用的な、言語を使うことを学習するCS」があります。日本で言うと大卒と高専卒みたいなものかなと思っています。
もちろん前者を持っている人の方が強いです。前者を持っている人が後者を持っている人を見下したりもあるらしいです。私が持っているのはイギリスの学位なので、そういうしがらみから解放されているので良かったなと思っています。笑

さいごに

大学に期待するなと言いましたが、大学を出るべき・出ないべきというのは、人によって意見が違うので、絶対にこうするべきというのはありません。独学で未経験で海外就職に成功したという話は山ほど聞いていますし、話を聞いている限り、(勿論それで苦労はしているだろうけど)それを後悔しているという話は聞きませんし。
ただ、もし今度学位を取ってみようと思っている人が、少しでもこの記事を参考にしてくれたら嬉しいです。

もう一度言いますが、学位自体に期待はしていいが、大学の授業には期待し過ぎないでください


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