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最新HIPHOP20曲を一挙レビュー(2021.09)

Twitterにて、HIP HOPのレビューを書き続けてはや3年のドラム師匠です。'21年9月に公開されたMV20曲の魅力を解説しています。

▶︎イケてる曲をまとめて知りたい
▶︎HIP HOPに興味がある

なんてあなたにオススメの記事です。それでは音の旅へ…

1|Ocean.BNF House / Back in the day |

2021/09/01 公開

沖縄のラッパー・Ocean.BNF House が、ニートだった19才の頃から21才になった今までをつづった作品です。

街にこびりついた思い出を噛みしめながらラップしていく様は、自伝小説を読んでいるかのよう。

ビートメーカー・旅人 が奏でるサックスの音色は、夜の街を大人っぽく照らし、影を浮き立たせます。活動を続けていくうちに仲間が増えていき、自分のことだけでなく仲間の幸せにフォーカスが移るあたり、人間としての成長が感じられます。

「気づきゃ大事な人とかできて
 その倍膨らます夢と金
 周り囲み羽伸ばす幸せ
 今は無理でもひたすらDo it again」

このリリックがいいんですよね。

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2|SANTAWORLDVIEW & DJ BULLSET ft. JIN DOGG / FALL DOWN|

2021/09/03 公開

あの騒動を予見???

関西TRAP界を牽引するレーベル・HIBRID ENTERTAINMENT(以下、HIBRID)の中心人物・DJ BULLSET と横浜のラッパー・SANTAWORLDVIEWが手を組んだEP『In The Neighborhood』を8月21日にリリースしました。

SANTAWORLDVIEWが、大阪のHIBRID ENTERTAINMENTのスタジオに出向き、制作にあったといいます。この曲では、HIBRIDのレーベルメイト・JIN DOGG を客演に迎えています。

JIN DOGGの歌はぶっきら棒で荒々しく、それでいて醒めた冷静さがあり、乾いた心にトゲを突き刺します。

愛知で行われた大炎上したHIP HOPフェス"NAMIMONOGATARI"に両MCは出演しており、あの騒動を予見していたのでは?と思わせるリリックも見られます。

そこには、いつ死んでもいい覚悟でマイクを握っているラッパーとしての生き様が描かれています。

「LIVEは喉が枯れるまで歌え
 この際やるならどうせ死ぬまで」


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3|Lil Cotetsu & Jimmy Johns / Makin' (Remix)|

2021/09/06 公開

反則なほど笑顔が素敵すぎ!

制作がうまく進行しなくなったことから、2020年に活動休止した3MC 1DJのクルー Tokyo Invaders 。2020年にリリースしたEP『HEAUTOSCOPY』に収録曲を、Lil Cotetsu & Jimmy Johns 名義でMVがアップされました。

なぜ、このタイミング?
と思いましたが、聴けば世に出すべき曲だとわかります。

快楽主義的ハイハットと四つ打ちビートが腰を揺らすダンスチューン。韓国のPSYのようなHOOKはクセ強めの中毒性があって、TikTokでバズりそう。

Lil Cotetsuの親しみやすいフロー、Tade Dust & Bonberoの交友の深さが伺える(MVにも出演)Jimmy Johnsの脱力系高速フローがカッコいい。

あなたも腰を振りたくなっているはず。さあ、一緒に…


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4|写楽 / Higher|

2021/09/07 公開

肥えた土壌で育まれた音楽

派手さはないものの関西を中心に地道な活動を続けており、音楽的な豊かさを感じるラッパー 写楽 。

そのつかみ所のなさが生かされた曲です。爪弾くギターに、繰り返される声のループ。ちびまる子ちゃんまで登場するユーモアを交えたリリックは、文脈で語るのではなく、情景を点在させることでフワフワとした夢見ごこちにさせてくれます。

それとリンクするように、映像もシュルレアリスムの絵のような映像が繋ぎ合わさっていて心に残ります。

ビートが鳴り終わった後もたっぷりと余韻を残すあたり、写楽の音を楽しむ姿勢が表れています。


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5|Flow Machines feat. Qiezi Mabo / Midnight Calling|

2021/09/08 公開

得体の知れないカッコよさ

Flow Machinesとは何だ?それは株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所が、AIに様々な音楽を解析させ、楽曲制作のアシストをするプロジェクトです。AIが作曲する違和感からクリエイターの創造性が刺激され、新しい音楽を作ろうと研究しています。

そのコラボ相手に選んだのは、神出鬼没な謎多き覆面アーティスト・Qiezi Mabo 。

サウンドは、今年のフジロックでRED MARQUEEのトリを務めた4s4kiが演奏していたようなハイパーポップ。それをQiezi Maboが声色を使い分けながらラップすることで、リスナーを混乱させます。途中で女性ボーカルにスイッチするからもう何が何だか分からなくなるカオス状態。

でもうまく言えないけど、得体の知れないカッコ良さ、未知数な音楽が生まれるワクワク感があります。


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6|Yurufuwa Gang / Ying Yang(Prod.  U-LEE)|

2021/09/10 公開

マガマガしいのに、楽しすぎ

お化けをテーマにした NENE のソロEP『夢太郎』や、SALU、NORIKIYOなど数名と組んだコンセプトユニット・SHINKAN1000、JNKMNやLUNV LOYALらとの謎のコレクティブ・JODY など形にこだわらない活動を経て、久々にYurufuwa Gang 名義でリリースした楽曲「Ying Yang」。

オリンピックで世界中から熱い視線が注がれたTOKYOを舞台にしています。オリンピックが表なら、これは禍々(まがまが)しさを露出した裏TOKYO。

和太鼓を用いたビート、「あっそーれ!」の掛け声は和のテイスト。それがHOOKでは、「イーァーサンスー」と中国語の数え歌になります。さすがYurufuwa Gang、海外から見たら日本も中国も大差ないだろうからASIANテイストということか…

なんて感心してたら、「イーァー」が「イーヤン🖤」に艶かしく変わっていました。大阪弁の「い〜やん」にも聴こえてきて楽しい〜。


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7|Young Yujiro Ft. Well-Done, ILLNANDES, S-kaine, DJ BULLSET / 風の時代(Prod. Lil Yamagucci)|

2021/09/10 公開

「HEY」の一言で伝わるヤバさ

 Jin Dogg を擁する HIBRID ENTERTAINMENT のファウンダー・Young Yujiro 。シビれる低音ボイスが特徴で、1年ぶりの新曲は煙たさとヤバさを充満させたBoomBap。

客演には、長年関西で活動するクルーPSYCHOPATCHILLNANDES、Tha JointzのWell-Done、MCバトルでもお馴染みS-Kaine と関西アンダーグランドの新旧メンバーをバランス良く組み合わせています。

特に若手がフレッシュ。自分のキャラをリリックで先鋭化させ、存在を肥大化させるWell-Done。どれだけ人気が出ようが地元大阪の現場を大切にするS-kaineの台頭が目覚ましいですね。

その他、MVには関西の主要アーティストの出演が多数あり。シーンを支える背骨がしっかりしていることが伝わります。


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8|LIBRO / 小道を行けば(Prod. LIBRO)|

2021/09/10 公開

生活者のリアリティ

日本のHIP HOPが最もチャートを賑わせていた'90年台後半。メジャーに押し出される形で数多くのラッパーがデビューし、そしていなくなったアーティストは数知れず。

ラッパー Libro は、そんな喧騒の真っ只中であった'97年「軌跡」でデビューし、’98年にはクラシックアルバム「胎動」をリリースしました。

本人は、「(音楽への)モチベーションは0か100」というように、メジャーとは距離を置いたことで、時間に追われることなくマイペースに活動を続けてこれたから、今も音楽と向き合えているのでしょうね。

そして、3年ぶりとなるアルバム『なおらい』を9月8日にリリースしました。

「ビートが入ってきて青信号」とリリックにあるように、絶妙な強弱をつけて刻むハイハットが超心地よく、ビート感が歩くテンポとリンクしています。

この曲には、夕方から夜に変わる瞬間、空が柿色から紫に変わる瞬間のなんとも言えない切なさがあります。Libroの味のあるメロディが懐かしくて、切なくて、胸をキュンとさせます。

最近のHIP HOPでは珍しく、商店街、電柱、夕飯の香りなど暮らしに染み付いたワードが登場。この国で暮らす生活者のリアリティがあります。もっとこういう曲が増えると、HIP HOPを知らない人にも共感してもらえるのになと思いました。

HOOKでの「足を出して 一歩一歩その先へ」は、太陽が沈んだ暗闇の中でも自分は進むけど、君はどうする?と問いかけているかのよう。

最後のフレーズに余韻が残ります…


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9|ベゲfastman人 / DRUGCHA|

2021/09/13 公開

ちょっとヤリすぎな位がいい感じ。

北九州を代表する8人組のHIP HOPクルー・ベゲfastman人 。この曲ではベクトルを楽しむことに向けた全力率120% 。

ファンキーなビートに合わせた熱いフローで、MaijiINAKOBIG-EVIS とVerseが進むごとにボルテージが上がっていくからテンションも上がります。HOOKを歌う INAKO がこんな歌が上手いなんて知らなかった。メンバーはまだまだ爪を隠してそう。

多少の悩みは、この曲で吹っ飛ばしましょ‼️

「楽しく生きるコツ 俺は知ってる
 笑った分だけ ふり切り笑う」

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10|テークエム / Wake up on garbage(Prod. BACHLOGIC)|

2021/09/13 公開

大地を揺るがす叫び

ミュージシャンの素材の良さを最大限に引き出していることで話題のYouTube「THE FIRST TAKE」。梅田サイファーが出演した際、スイッチが入った途端に誰よりもハジけていた テークエム 。

9月13日にリリースしたEP『LABEL MUSIC』は、BACHLOGICが全面プロデュースし、80年代を彷彿とさせるNEW WAVE感とダンスミュージックを融合させています。

その中で、ひときわダークかつノイジーな楽曲がこの「Wake up on garbage」。サイバーなシンセが荒れ狂う中、「ぶっ飛んだ芸術と少ない理解者」と現状へのイラ立ちがシャウトになり、地響きがしそうなほど声を轟かせます。

KINGになったのが、ゴミ山の上というもの皮肉たっぷりで良いですね。例えゴミの中でもはいずり上がってやるというタフさを感じます。


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11|BNKR街道(Adnym & 總 & TRASH) / still summer day  (Beats by JASON X) |

2021/09/17 公開

長いようで短い夏

夏っていつまでも続くって感じませんか?おそらく暑さで感覚が麻痺するんでしょうね。

そんな夏特有の開放感にひたり、ちょっと浮かれちゃって、、、そんな調子だから足元をすくわれて、幻想が現実に変わる頃には次の季節になっていた。

そんなメランコリックなひと夏の記憶がギュっと閉じ込められた曲。

ラップをするのは大阪の大所帯クルー・BNKR街道 。前MV「ぼんくら!ザ・ワールド」では、手の付けれないほどのヤンチャぶりを発揮していたのに、同じクルーとは思えないほどの振り幅の大きさがカッコいい。

自分達の歩みに光を当てたチルな楽曲「時代」「SHINE」に続き、これも琴線に触れる名曲ですね。ビートメーカー JASON X の功績は大きい。

うずく好奇心 夢膨らんで
甘い罠 足さらうクラーケン
駆け足ですぎる季節を追っかけて
物足りず延泊するマンデー

思わず延泊しちゃうってめちゃくちゃ夏っぽくないですか?


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12|Die, No ties, Fly / Moon feat. YNG JOE$ |

2021/09/21 公開

突如、熱狂的なコメントでTwitterのタイムラインを賑わせたDie, No Ties, Fly。ラッパーVOLOJZA、88Lexuz、ビートメイカー Poivre からなるユニットです。それぞれ千葉、東京、長崎で活動しています。

胸に痛みを感じるほど叩きつけれらた金属音、浮遊感のあるシンセサウンドは、幻想的な世界を映し出します。

HOOKのメロディの間にメロディを挟み込んだり、韻にこだわらないリリックは、HIP HOPのセオリーから外れたスタイル。

バンド CERO が歌いそうなメロディを挿入したりと、インディーロック〜HIP HOPの間をゆらめいているので、そのぶん音像は多彩で自由さを感じずにはいられません。

艶っぽいラップが特徴の YNG JOE$ を起用する絶妙な人選もハマっています。


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13|addginjahzz / HINOKI feat. Eftra (Track by 6-SenS) |

2021/09/21 公開

狂気と隣り合わせのユーモア

今や金沢を代表するHIP HOP集団・addginjahzz (アドジンジャーズ)は、MCの Jony the sonata と milkyheadone 、DJ / Beatmakerの DJ KENTAROU で構成されています。

9月2日に発表したニュー・アルバム『dept.』からの一曲は、ライセンスは大丈夫か?と心配になるほど大胆にソウルミュージックをサンプリングした楽曲。(元ネタが気になる…)

大胆なほどごっそりとビートを削ぎ落とした構成は、重厚にサンプリングを組み合わせることで流れゆく空気感を演出。何小節かに一回入ってくるタムが入ることで、独特の緊迫感を生み出しています。

そして、そんな緊迫感すら切り裂くしまうほどaddginjahzzのラップは、狂気とユーモアに満ちています。富山のラッパー Eftra のハードコアなほどザラついた声にも注目です。

「こめかみ突きつけたパンチライン
 すべて今日や明日の話じゃない」


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14|A.O. / Layers(beats by NARISK)|

2021/09/22 公開

あふれる伝えたい思い

次世代を担うラッパーを発掘するAbemaTVの番組『ラップスタア誕生』。応募総数2546人の中から、31名に絞り込まれた2nd STAGEに見事進出し、がぜん注目を集める東京在住のラッパー・A.O. 。

さらに九州を拠点に音楽・映像・アパレル・企画を発信するコレクティブ・ADD CREATIVEが、今年6月に行った次世代ラッパー発掘オーディション「Counter The New Wave」で優勝を果たした。この「Layers」は、ADD CREATIVE ✖︎ A.O.のコラボ楽曲となっています。

A.O.は、NasやWu-Tang Clanなど東海岸のラッパーに影響を受けてラップを始めています。最初に英語でリリックを書き始め、徐々に日本語を増やしただけあってフレキシブルに英語・日本語を織り交ぜています。

おそらく意図的だと思うのですが、日本語を口の中で爆発させるような発声をしているため、猛猛(たけだけ)しく、言葉に重みを感じます。

その分、英語でのHOOKは軽やかに感じ、リンクするようにカメラアングルも上方に移動させるなど言語による語感の違いが楽しめます。

そして伝えたい思いがあふれて止まらないから、畳み掛ける言葉が心地よく耳に入ってくるし、言葉がスピーカーから飛び出してくるのを感じます。


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15|Donatello / Quaraloop|

2021/09/22 公開

ウィルスが変えてしまった世界

Donatello & TEITO名義のEP『INITIUM』では、ノリを重視からリリックとフローをしっかりと聴かせる楽曲が増えてきた Donatello 。

この曲では、表現に磨きをかけたリリシストとしての深みが感じられます。

離れていく君との距離だけでなく、自分と世間との距離が離れていく様子を映画のような情景描写の積み重ねて伝えています。

ウィルスがきっかけで変わってしまった世界に対し、もう元には戻らないと諦めながら、光を見出そうと気丈に振る舞う姿が切なさを誘います。

だからこそ、この歌詞がズシンと胸に響きます。


「どれだけ良い未来を期待して待てばいいの」


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16|PEAVIS / Last Dance feat. Rin音(Prod. NARISK)|

2021/09/22 公開

恋と季節の節目に…

Helsinki Lambda Clubの楽曲で、CHAI と共演したことが話題となったPEAVISの新曲。客演に「snow jam」の大ヒットが記憶に新しいRin音を迎え、 メロディを大切にする福岡のラッパー2人の共演となっています。

「いつか終わりが来る事も 
 今は忘れて音の中
 さぁ踊ろうLast Dance」

このHOOKのフレーズを見ただけで、「ダメだ!切なすぎる!」と思った人がいるのではないでしょうか?そう、アコースティックギターと、ピアノの高音が切なさを誘うサウンドです。

PEAVISのリリックには"プロポーズからのプロローグ"とあり、これから幸せが始まるはずなのですが、すでに死を匂わせ、その先にある別れを予感させます。仲睦まじい夫婦でもいつかは死という別れがありますが、プロポーズでそこまで考えるなんて切なすぎやしませんか…

恋をするのは君が最後、という意味で「Last Dance」とも解釈できますが、この寂しさはやっぱり別れの歌なのか?なんて考えてしまいます。

Verse2のRin音の声がくぐもっていて、リバーブを効かせた音像が、近いようで遠い儚げな距離感を演出しています。

恋の始まりと終わりが隣り合わせな様子が、夏が終わる寂しさと人恋しさ増す秋の変わり目と重なります。風が急に冷たくなる秋の夜長のお供にぜひ。


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17|S-kaine / Digital knock (Prod. dhrma Dir.Lasgram)|

2021/09/27 公開

ビートメーカー OGRE WAVE に、睡眠時間を削ってまで音楽に打ち込む姿に「ジャブ中ちゃうかな?」と思わせるほどの狂気を見せるS-kaine 。

音程が不規則に上下することで誰も押さえられない暴れっぷりを見せるデジタルなベース。言葉を吐き捨てるように吐くS-kaineのラップは、猛獣を操るがごとくビートを乗りこなしています。

鶏の声みたいなノイズからベースが入った瞬間、いても立ってもいられなくなりました。そんな狂気を孕んだ曲をクラブの爆音で聴いたらどうなるでしょか?こりゃ危険すぎでしょ。

「才能が爆発 やりたい放題」



▼レビューを書く参考にしたS-kaineのインタビュー動画

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18|FKG / No slide up (prod. Pit Crunch) |

2021/09/28 公開

切れ味の鋭いラップをするのは、2001年生まれ愛知県岡崎市出身の FKG  。

満足できない現状に弱音を吐かず、苦しいのは当然だろ?それを承知の上で音楽をやってるんだろ?と己に喝を入れています。

自分のことを自分が1番信じる。その価値観がフローのシャープさに表れています。ラップのタイプは、関西の若手ラッパー・CHAN4に似ていると思ったら、プロデュースはCHAN4のビートメーカー名義・Pit Crunchでした。どうりで!

「刺さった物と 繋がる音の
 はざまに匙を投げんな」


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19|TECH NINE / 深林B1(Prod. marblue)|

2021/09/29 公開

本能を呼び起こすサウンド

森の精霊に会うために、原住民に案内されて森の奥深くへと潜っていくような民族楽器をふんだんに用いたサウンド。

TECH NINEは沖縄・石垣島で生まれ、現在は拠点を京都に移しています。かすれた声の持ち主で、粘り気のある独特のリズムでグルーヴを作るラッパーです。

"裸足" "笹の葉で隠す" "タイマツの火"などキーワードを散りばめながら人間の動物としての本能呼び起こします。

「ただ自由に表現したいだけさ」

無意識に自らを縛りつけてしまっている魂を、DNAを原始までさかのぼることで解放する。自由ってこういう事だろ?と言わんばかりに。


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20|LEX / GOLD(Prod. Kevin Jacoutot & Sean Houston)|

2021/09/29 公開

実力、人気、カリスマ性を兼ね備えたスーパースター

JP THE WAVYと共演した軽快なナンバー「なんでも言っちゃって」が公開からわずか1ヶ月で350万回も再生されていることで注目を集める次世代ラッパー・LEX

9月29日にリリースした4th『LOGIC』のオープニングを飾るのがこの曲。

現状に甘んじていないLEXの渇望感、遠くをみすえたスケール感の大きさを感じることができます。

「死にものぐるいで行け
 もっと行きたい上
 上 上 上 上」 

欲望をここまで開けっ広げに口に出すのはとても勇気のいる作業。言い訳することを許さず、自ら逃げ道を塞いでいます。

目標が高ければ高いほど、そこから見える景色は壮大なはずで、曲から解放感を感じるのはそのせいかもしれません。リスナーの思いも一緒に乗せて…


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終わりに

HIP HOPの旅はいかがだったでしょうか?あなたが気に入った曲と出会えたなら、この記事を書いた意味があります。良かったら高評価とフォローもお願いします。皆さんのアクションが支えになりますので…(これ、ほんまです)

それと、先月まで25曲紹介していたのですが、今月は20曲に減らしました。別に手を抜いた訳ではありません。25曲は多すぎるのでは?と思い意図的に減らしました。何曲ぐらいが最適なのか試行錯誤が続きます。

また感想を教えて下さいね。では、次の記事でお会いしましょう。


▼今回紹介しきれなかったMVのプレイリスト



HIPHOPを広めたい一心で執筆しています。とは言え、たまにこれを続ける意味があるのかと虚無感に襲われます。 このまま頑張れ!と思われた方、コーヒー1杯おごる感じでサポートお願いします。自信をつけさせて下さい。