見出し画像

Bitwig Studio Poly Gridでドラムマシンを作る方法

Bitwig Sudioは、「Poly Grid」というモジュールを組み合わせて音源を組む機能を搭載しており、これが結構使いやすく、音も良いので「これでドラムマシン作れないかな」と思いました。ネットの記事には単一のキックやスネアを作るテクニックをを記載しているものがありますが、全体の機能としてC2を押せばキック、D2を押せばスネア、F#2はクローズハイハット、G#2はオープンハイハット、というように動くドラムマシンをデザインすることができましたので、メモしておきます。まずはyoutubeにアップした動画をご覧ください。

まぁ(こんな話見に来るような方にとっては)難しい話でもないですが、どうやったか順を追っての説明です。

1.まずC2のMIDI NOTE信号を受けたときに、そのノートを受けたらトリガーするようにします。そのモジュールは「I/O」にある「key on」というもので、こいつを置き、設定を「C2」にセットします。

画像1

2.Poly Gridはデフォルトでオシレーター(「Triangle」(三角)波)とエンベロープ(「AR」)がセットされています。オシレーターはお好みで「Sine」(正弦)波、エンベロープの「AR」はキックの音作りには不足があるので、「ADSR」や「Pluck」に置き換えます。このへんはお好みで。

3.「Key on」とエンベロープのGATE INとのコントロール信号の結線を確認します。とりあえず、この組み合わせでC2を鳴らしたときだけ鳴れば成功です。
このままでは、せいぜい低めのタムドラムみたいな感じの聞こえ方と思いますので、キック音源のデザインを続けます。

画像2

4.キック音源のデザインは色々試してみてください。エンベロープ信号のアウトに「Level」にある「Attenuate」モジュールを繋ぎ、そこからオシレーターのピッチコントロールの入力(PITCH IN)に繋いであげれば、エンベロープカーブでピッチをコントロールできるようになります。私はこれでも十分ハッピーですが、ピッチ用にエンベロープを別途用意しても良いです。それは皆さんのお好みで。
「Level」にある「Value」モジュールをPITCH INに繋いであげることでノブで音高の上げ下げができるようになりますが、「Value」モジュールをクリックして左側の画面で「Bipolar」の「±」をアクティブにすると、幅広くピッチを変えることができるようになります。
エンベロープのGATE IN下にあるパルスの形したアイコンはクリックして切る設定にします。これがアクティブになっていると、デバイスに入ったMIDIノート信号全てに反応してしまいますので、切っておきます。

画像5

5.キック音源ができたら、別の音源とミックスできるように、「Mix」にある「Mixer」モジュールを配置して繋いでおきます。

画像6

6.キック音源をコピペしちゃっても良いですが、スネア用の「key on」モジュールを配置し、今度はD2の設定にします。(下の図ではキック音源をコピペした様子)

画像5

コピペ後に、モジュールをまるっと選択し、色を変えておくと解りやすいです。GATE IN下のパルスアイコンを切ることも忘れずに!

7.あとは手順「2」~「4」でスネア音源を作りますが、「Random」にある「Noise」モジュールを使うと解りやすいスネア音が作れると思います(スナッピーの音ですね)。皮の音は正弦波を使って混ぜて、フィルターで高音域の具合を調整、という感じがベーシックなやり方かなぁと思います。

画像6

上の図では最後にフィルターを入れています。このフィルターから手順【5】で作ったミキサーに結線します。解りやすいように「Display」から「Label」モジュールを配置して、ここはKICK、ここはSNAREとラベルを張っておいても良いですね。

画像7

8.さて、ハット。これは工夫が必要です。まずは「key on」モジュールを2つ、F#2とG#2(またはB♭)にセットします。

9.ハットの音源を作り込みます。下の図はとりあえず作ったハット音源で、ノイズ音源とフィルターを組み合わせたシンプルなものです。

画像8

クローズハイハット用を先に作ってある程度いい感じにデザインできたらクローズハイハット用のモジュールを丸っとコピーしてペーストしOHのモジュールを追加する形にします。

画像11

これでミキサーへ結線すれば、F#を鳴らすとクローズハイハット、G#2を鳴らすとオープンハイハットが鳴りますが、ふつうオープンハイハットの次にクローズハイハットを鳴らすとオープンハイハットはキャンセルする鳴り方をするものなので、このままではオープンハイハットは設定によっては鳴りっぱなしになります。次の工程で、いい感じにします。

10.まず「Logic」にある「Latch」モジュールを置き、ハット用の2つのkey onモジュールと繋ぎます。これで違うキーの信号がくるたびに、トリガー信号が「Latch」から出力します。

画像11

11.次に「Mix」にある「Select」モジュールを配置し、一番上の入力を「Latch」の出力と繋ぎます。下のふたつは、クローズ/オープンハイハットそれぞれの出力と繋ぎます。

画像11

この結果、動画のような感じです。

ちょっとノイズとフィルターだけだと味気ない感じなのもわかると思います。正弦波を正弦波でモジュレーション掛けてノイズっぽくするとか(周波数変調)、サンプラーを音源としてハットはサンプリング、など色々アイデアを出して作ってみてください。

【ベロシティを反映させるアイディア】
このドラムマシンの組み方だと、シーケンサーからのベロシティ(音の強弱をコントロールする信号)を反映させることが面倒くさい(無理?)感じというのがわかりました。
みたところ、特定のMIDIノートのベロシティだけ受け取ることが難しそうです。
そこで、ベロシティはステップシーケンサーを使って表現することを思いつきました。

画像12

「Data」にある「Steps」モジュールを使うのですが、まずオシレーターとエンベロープの間に「Attenuate」モジュールを挟みます。
「Steps」モジュールにある右上にある「●→」ボタン(これでモジュールから任意のノブをモジュレーションすることができる)を押して、「Attenuate」モジュールのノブにアサインしてステップシーケンサーで強弱をつけることができるようになります。
もっとスマートなやり方があるのかもしれませんし、ドラムパターンによって強弱を変えるのが難しくなりますが、まぁRoland TRシリーズのアクセントボタン的には機能するかなぁ、、、と思います。


今回の記事は以上となりますが、Poly Grid、実に良いです。
15年くらい前まではReaktorもよく触っていましたが、Reaktorよりとっつきやすく、音も馴染みやすく、結構何やっても気持ちよく聴こえるのはよく出来ていると思います。
逆にReaktorはもっとフレキシブルにデザインできるし、あの昔ながらのソフトシンセらしいサウンドもあれはあれで魅力的です。最近はまた違うようですが。
Bitwigはあらゆるところから、あらゆるとこへモジュレーションかけ放題なDAWですがPoly Grid(というかThe Grid)により、無限大の可能性を秘めていると思います。積極的にサウンドデザインできるDAWという意味で、私にとって最高のDAWですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?