医薬系特許への無効審判請求(新規・確定分、2015/05/25)

特許庁公報第8100号掲載分(2015年5月25日公示)
・新規分
予告登録件数(無効・訂正):49件
医薬系の件数(無効):4件
・確定分
審決の確定件数(無効・訂正):35件
医薬系の件数(無効・訂正):0件

1.Lilly v Hospira

(1) 登録番号:特許第5102928号
(2) 発明の名称:新規な葉酸代謝拮抗薬の組み合わせ療法
(3) 分割出願:有
(4) 審判番号:2015審800059
(5) 請求の趣旨:無効
(6) 登録年月日:H27. 3.23
(7) 出訴:無(別事件で有り)
(8) 権利者:イーライ リリー アンド カンパニー   
(9) 請求人/参加人:ホスピーラ インコーポレイテッド 
(10) 請求項1:
葉酸とビタミンB12との組み合わせを含有するペメトレキセート二ナトリウム塩の投与に関連する毒性を低下しおよび抗腫瘍活性を維持するための剤であって、
ペメトレキセート二ナトリウム塩の有効量を、葉酸の約0.1mg~約30mgおよびビタミンB12の約500μg~約1500μgと組み合わせて投与し、該ビタミンB12をペメトレキセート二ナトリウム塩の第1の投与の約1~約3週間前に投与し、そして該ビタミンB12の投与をペメトレキセート二ナトリウム塩の投与の間に約6週間毎~約12週間毎に繰り返すことを特徴とする、該剤。

(11) 関連医薬品:
・イーライ リリー(先発品):アリムタ®錠
・ホスピーラ(ファイザーにより買収):不明

(12) 備考
本件は抗癌剤(アリムタ)の葉酸併用療法に対する特許である。
本件は請求人が請求を取下げている。
本件特許については、さらに2件の無効審判請求(2014審800039、2014審800208)が請求され、いずれも維持審決が出された後、知財高裁に出訴されているが(2014審800039:平27行ケ10249、平28行ケ10017、平28行ケ10070、2014審800208: 平30行ケ10115)、特許有効の判断が維持されている。
他の無効審判に関する審決取消訴訟に関しては、以下参考になる。

医薬系特許的判例ブログ
2017.02.02 「沢井・テバ・ホスピーラ v. イーライ リリー」 知財高裁平成28年(行ケ)10001; 平成28年(行ケ)10018; 平成28年(行ケ)10082
2019.11.28 「ニプロ v. イーライ リリー」 知財高裁平成30年(行ケ)10115; 10116

2.武田薬品 v テバ

(1) 登録番号:特許第 3057471号
(2) 発明の名称:アンジオテンシンII介在性諸疾患の予防または治療剤
(3) 分割出願:無
(4) 審判番号:2015審800074
(5) 請求の趣旨:一部無効
(6) 登録年月日:H27. 4. 9
(7) 出訴:無
(8) 権利者:武田薬品工業 株式会社 
(9) 請求人:テバ製薬 株式会社、参加人: 東和薬品株式会社
(10) 請求項1:
一般式(I)
【化1】

画像1

(式中、R¹は水素または置換されていてもよい炭化水素残基を示し、R²はエステル化されていてもよいカルボキシル基を示し、R³は陰イオンを形成しうる基またはそれに変じ得る基を示し、Xはフェニレン基とフェニル基が直接または原子鎖2以下のスペーサーを介して結合していることを示し、nは1または2を示し、環AはR²で表される基以外にさらに置換基を有していてもよいベンゼン環を示し、Yは結合手,-O-,-S(O)m-(式中、m は0,1または2を示す)または-N(R⁴)-(式中、R⁴は水素または置換されていてもよいアルキル基を示す)を示す)で表されるアンジオテンシンII拮抗作用を有する化合物またはその塩と利尿作用を有する化合物またはカルシウム拮抗作用を有する化合物とを組み合わせてなるアンジオテンシンII介在性諸疾患の予防または治療剤。

(11) 関連医薬品:
武田薬品(先発品):ブロプレス錠®、エカード配合錠HD/LD、ユニシア配合錠HD/LD等
(注:武田テバから現在販売されている。)
東和薬品工業(後発品):カンデサルタン錠等

(12) 備考:
この他に5件の無効審判請求が行なわれ、合計6件となり、うち1件は2014年4月24日に公示された無効審判(2015審800022)である。
本件のみが審決が出され、その他の件は請求人が請求を取下げている。

3.ノバルティス v テバ

(1) 登録番号:特許第4969338号
(2) 発明の名称:アシル化合物
(3) 分割出願:無
(4) 審判番号:2015審800083
(5) 請求の趣旨:無効
(6) 登録年月日:H27. 4.15
(7) 出訴:無
(8) 権利者:ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト 
(9) 請求人:テバ製薬 株式会社   
(10) 請求項1:
a) バルサルタンもしくは薬学的に許容されるその塩の有効量を含む活性成分;および
b)固体経口剤形の製造に適当な薬学的に許容される添加剤;
を含み、
活性成分が、固体経口剤形の全重量に対し35重量%以上で存在し、かつ、
活性成分が、80mgのバルサルタンと12.5mgのヒドロクロロチアジドのみからなる、乾式圧縮法で製造された圧縮固体経口剤。

(11) 関連医薬品:
ノバルティス(先発品):ディオバン錠®、エックスフォージ配合錠等
テバ(後発品):バルサルタン錠、アムバロ配合錠等

(12) 備考:
本件は請求人が請求を取下げている。
なお、本件は製剤特許に関する無効審判請求であり、物質特許に対する延長登録無効審判が別途請求されている。当該審判は、2014年4月24日に公示された無効審判(2015審800048(特願2009-700034)、2015審800049(特願2009-700035))である。

4.塩野義製薬 v 日本ケミファ

(1) 登録番号:特許第4969338号
(2) 発明の名称:ピリミジン誘導体
(3) 分割出願:無
(4) 審判番号:2015審800095
(5) 請求の趣旨:無効
(6) 登録年月日:H27. 4.16
(7) 出訴:有(平28行ケ10182、平28行ケ10184
(8) 権利者:塩野義製薬 株式会社、参加人:アストラゼネカ ユーケイ リミテッド 
(9) 請求人:日比野 謙一、参加人:日本ケミファ株式会社    
(10) 請求項1:
式(I):
【化1】

画像2

(式中、R¹は低級アルキル、アリールまたはアラルキルでありこれらの基はそれぞれ置換基を有していてもよい;R²およびR³はそれぞれ独立して水素、低級アルキルまたはアリールであり該アルキルおよびアリールはそれぞれ置換基を有していてもよい;R⁴は水素、低級アルキルまたは非毒性の薬学的に許容しうる塩を形成する陽イオン;Xは硫黄、酸素、スルホニル基または置換基を有していてもよいイミノ基(該置換基はアシル基、置換されていてもよいアミノ基または置換スルホニル基である。);破線は2重結合の有無をそれぞれ表わす。但し、R¹がアラルキル、R²およびR³がそれぞれ独立して低級アルキルまたはアリールかつXが硫黄または酸素である場合を除く。)で示される化合物またはその閉環ラクトン体である化合物。

(11) 関連医薬品:
シオノギ(先発品):クレストール®錠等
日本ケミファ(後発品):ロスバスタチン錠等

(12) 備考:
珍しいダミーでの無効審判請求。
大合議事件であるピリミジン誘導体事件(平28行ケ10182、平28行ケ10184)の原審。

(最終更新日:2011/11/18、確定分を追加)



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