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血液疾患とCOVID-19

新型コロナウイルスのことをSARS-CoV-2と呼ぶことは前回の記事で伝えました。

SARS-CoV-2による感染症のことはCOVID-19(コヴィッド ナインティーン)と言います。

今回は血液疾患を持つ方に対してCOVID-19がどういうものなのかを見ていきましょう。


血液疾患を持つ方、治療中の方、造血幹細胞移植後の方は、血液疾患のない方と比べて、免疫が低い状態です。そのためCOVID-19のリスクが高いです。具体的には以下のようなリスクがあります。

感染しやすい

どれくらい罹りやすくなるのでしょうか。

アメリカのがん患者252万人のデータ解析では、がん患者全体で罹りやすさは1.46倍であると報告されています。(JAMA Oncol. 2021; 7:220-7)

疾患別で見ていくと、1年以内に診断された白血病が12.16倍、非ホジキンリンパ腫が8.54倍となっています。

血液以外の癌(固形癌)では、同様に1年以内に診断された膀胱癌5.63倍、乳癌6.47%、大腸癌 6.36倍、肺癌7.66%です。

固形癌でも罹りやすくなるのですが、血液疾患の方が罹りやすいです。

重症化しやすい

重症化はどうでしょうか。

論文によって重症化の率や死亡率は異なりますが、大体血液疾患があると重症化のリスクが高いとの結果になっています。

まず、イギリスからの報告を見てみましょう。(Nature. 2020;584:430-6)

この報告では、多くの人数のデータが扱われており、COVID-19にかかっていない人も含め1年未満に診断された血液疾患8704人、1年以上5年未満に診断された血液疾患27742人、5年以上前に診断された血液疾患63460人が解析されています。

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