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同種造血幹細胞移植後の二次癌

先日Twitterで移植後15年での2次癌の発症率について、皆さんの考えを聞きました。

結果がこちらです。

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2014年にAtsutaらが日本の移植データ(16歳以上の成人)をもとに解析したところ、移植後15年での固形腫瘍の累積発症率は2.9%でした。(Ann Oncol 2014;25:435)

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よって、答えは3%です。

適当に選んでも1/4の確率で当たるはずですが、3%を選んだ人は14%という結果でした。

皆さんは知らないというよりも、勘違いしているのだということが分かりました。思っているよりは、悪くないようです。

3%というのは、一般人口と比べて、1.8倍癌を発症しやすいということになります。

臓器によって発症しやすさは変わります。移植後は口腔、食道、皮膚は特に癌を発症しやすいとの結果です。(それぞれ一般人口と比べて15.7倍、8.5倍、7.2倍)

これら口腔、食道、皮膚は慢性GVHDが影響するようです。それぞれの部位のGVHDがある方は要注意です。

癌の発症に慢性GVHDが関わっているので、移植ソースによってGVHDの発症率が異なってくるので、骨髄なのか末梢血幹細胞なのか臍帯血なのかで癌の発症しやすさは変わってくるのかもしれません。

また放射線も癌の発症に関わってきますので、前処置の内容でも差があるかもしれません。アメリカからの報告では放射線照射は二次癌のリスクであると報告されています。

ただこの日本人のデータでは放射線照射はリスクの増加とはならなかったとのことでした。

移植を受けていない人に比べて癌のリスクが上がってしまうのは避けられないことですが、それに対して何もできないわけではありません。

一つは、他の癌のリスクとなるものを避けるということです。例えば、移植を受けるとなりやすくなる皮膚癌ですが、紫外線を避けることで発症リスクを減らせます。喫煙も避けたほうが良いでしょう。

もう一つは、早期発見に努めるということです。同種移植後は年一回の癌検診が推奨されています。

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