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(日記)

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2021年3月の記事一覧

よつばとが読めない

よつばとが読めない

 よつばとが読めない。zipのパスが分からないからじゃない。怖いから読めない。

 かつて興味本位で買ったよつばと1巻を読み終わって、本棚に挿したまま、もう10年は取り出していない。ゆえに1巻までの展開しか知らない状態で語るのだが、つまらないとか不快とかそういうことでは決してない、ただ個人的にゾクゾクと怖かった。

 作中でよつばが、子供ゆえの無邪気さ好奇心でトラブルを巻き起こす。周りの大人はそれ

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既桜

既桜

 振り返るともう春だった。

 駅までの坂を下を向きながら歩いていると、アスファルトがやたらとピンク色の花弁にまみれている。あれ?と首を上げると、隣の民家の庭に桜の木が立っていた。もう半分ほど花を散らして撤収の準備を始めている。いっぺん散らないことにはそこに桜があると気づけないんだな。いつもいつも去ることしかできない春に無常を感じる。木の種類が分からないので花弁を舌の上に乗せてみると、ソメイヨシノ

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きたねえな

きたねえな

 歯ブラシを買い換えるタイミングがいまいち掴めない。

 毛先が開いてきたら買い替え時とは聞くが、つい面倒くさくなり「まだいけるでしょ?」と今後の頑張りに期待してしまう。ズルズルと機会を伸ばしているといつの間にか、地肌が見えるくらい開いたブラシで磨く羽目になっている。これだと歯ブラシで歯を磨いているというよりも歯で歯ブラシを磨いているという表現が適当だ。

 この前の朝など、寝ぼけながら手に取った

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ペンと箸

ペンと箸

 令和納豆のロゴを見ていて思い出したのだが、俺も箸の持ち方がおかしい。この一文だけ書いたところでダラダラと言い訳がよぎり始めたので、さっさと実際の写真を見てもらおう。

 これが俺の普段の持ち方だ。こんな持ち方だろうと小豆から大豆に至るまでなんでも掴めるのだから別に支障はないだろうと思うのだが、やはり体裁はよくないらしく、店で定食などを食べていると周りの客から信じられないような表情を向けられること

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ネックがネック

ネックがネック

 首が痛い。痛すぎる。出来ることならこれを読んでいる人と代わってやりたい。

 本当に首が一日中痛くてしょうがない。俺は俗に言うストレートネックで、本来ならばゆるやかなカーブを描いてないといけない首の骨が真っ直ぐに歪んでいるらしい。真っ直ぐなのに歪んでいるとは変な言い方だ。息子の大学進学のための預金を全額引き出してユニセフに寄付するとかそういうときにしか使われないフレーズだろう。まったく嫌な骨格を

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34000円の恋

34000円の恋

 この記事には、倫理上不適切な表現が多々ありますが、当時の作者の意図を尊重し、あえてそのまま掲載いたします。ご了承ください。

 年明けの興奮冷めやらぬ2017年1月6日、僕は福岡県の中洲にいた。中洲にいったい何があるというんですか?と聞かれれば答えはただ一つ、セックスだ。

 数週間後の1月30日に僕はとうとう誕生日を迎え、25歳になる。25は四捨五入すれば30すなわちアラサーというわけで、焦っ

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あんた、三日間も寝てたのよ

あんた、三日間も寝てたのよ

2021年2月24日

 取引先から帰社する途中に吸うタバコがなにより旨い。嘘だよ。お前にゃ負けるよ。でも上位には食い込む旨さなのでその日も喫煙所で一服していると、

「今、生活保護を受けている最中でして…」

 というおじさんの声が右隣りから聞こえてきた。

 生活保護?ちらっと横に目をやると推定50歳前後の男性が、目の前に誰もいないのに平身低頭でペコペコしている。片耳にスマホを当てて誰かと通話

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