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【日刊KOE3情報 番外編】KOE3の対戦形式について

Kaiju on the Earth第三弾では、プレイヤー達はそれぞれが国家のリーダーとして世界の覇権を争う完全な対戦ゲームなので、『ボルカルス』『レヴィアス』にあった人間同士の協力要素や、人間プレイヤーvs怪獣プレイヤーという非対称対戦要素はありません。

これについて、「怪獣サイドでのプレイもしたかった!」というご要望をTwitterでちらほら見かけたり、リプライをいただいたりします。

個人的には、こういうリクエストをいただくのは「ボルカルス&レヴィアスでの体験がそれだけ良かった」という事なのでむしろ嬉しいのですが、今回の作品固有の魅力をきちんと伝えていくために、第三弾で「怪獣vs人間」の非対称対戦を採用しなかった理由もご説明しておこうと思います。

まず第一に、Kaiju on the Earthは毎回異なるゲーム作家による連作シリーズなので、我々としては「作家さんの個性が活きる題材選択」が何よりも一番大事だと考えています。今回OKAZU brand林さんと作品の方向性を話し合う中で、林さんの持ち味が最も活かせる&KOEシリーズの中で個性が発揮できるのは「戦略性の高い拡大再生産のゲーム」だと考え、その面白さを最大化することを重視しました。ですので、ある意味で「ゲームバランスが多少偏っていても面白ければOK!」という大胆な割り切りを前提とする非対称対戦は取り入れませんでした。(もちろん『ボルカルス』『レヴィアス』では非対称対戦でありながらも上杉さん、金子さんが天才的なバランス調整をしてくれているのですが、ゲームデザインの立脚点はその割り切りにあるのです。)

第二に、当初からシリーズ三作目はKOE最大のヘビーゲームにしたいと考えていました。最終的には「プレイ時間1日」という予想を遥かに上回る重さに仕上がりましたが、そこまでいかなくとも「プレイ人数×1時間」はかかる重量級を前提に、林さんにゲームデザインをお願いしました。となると、『ボルカルス』『レヴィアス』のように1日に何度も繰り返しプレイをして、「今は負けたけど、もう一回やれば勝てる気がする!」というプレイをまたいだ学習を前提にしたデザインは不適当です。これまでのKOEにおける怪獣プレイヤーの強さの調整は、初見では人間側が「無理!」と感じるぐらいの理不尽な強さを発揮しつつも、何回かプレイするとだんだん勝機が見えてくる…というバランスを理想としてきました。しかし1プレイ1日クラスの長時間ゲームでこの繰り返し前提の設計は合わないのです。

そして第三には、Kaiju on the Earthが「1vs多の非対称対戦ゲーム」のシリーズだという誤解を与えたくない、という意図も少しあります。『ボルカルス』『レヴィアス』と最初の2作でその形式を続けてきたので、それがシリーズの個性だと思ってくださる方も多いのですが、実は作り手の僕らとしてはKOEシリーズの懐はもっと深く、どんなジャンルのゲームも内包できるものでありたいと考えています。なので、むしろ『ボルカルス』と『レヴィアス』の構図がたまたま(というかこの二作品はあえて少し似せた部分もあるのですが)共通していただけで、今後も様々なスタイルのゲームを作っていく予定です。

というわけで、この三つの理由から、Kaiju on the Earth第三弾では「ほぼ平等な条件での人間側プレイヤー4人対戦」という形式を選びました。

制作中、OKAZU林さんがよく「短時間ゲームでは多少理不尽な目にあっても何度もプレイしなおせばその理不尽を分散できるけど、長時間ゲームでひとつの理不尽に何時間もつきあわされることになるのは辛い。だからゲームバランスには特別気をつける必要がある」ということを言っていました。これがすごく大きな指針になっています。

そして、今回の植物怪獣はプレイヤーが操らない、絶対的なシステム側の存在だからこそ、今までよりもさらに極端に、強大で凶悪な設定にすることができたのも事実です。もともと個人的な怪獣観としても、できるだけ怪獣には「人間との意思疎通など全くできない絶対的な存在」であって欲しいという願望があり、今回の植物怪獣はかなりそれに近いイメージにできました。(植物というテーマもその方向に合ってますしね!)つまりゲームデザイン上の意図だけでなく、怪獣映画体験としても『ボルカルス』『レヴィアス』とは異なる新しい体験が演出できているんじゃないかと思います。

もちろんプレイヤーの皆さんの個人的なご要望はこういう制作側の意図とは全く関係ないものなので、素直に「怪獣側もやりたかった!」という声もそれはそれでなるほど~たしかに〜という感じです。それに限らず、今後もご要望をいただいたら次回作以降の、それに合ったテーマの作品で活かしていきたいと思っています。それができるのもシリーズの良さですしね。

そもそもKOE自体がいろいろと挑戦的な企画ですし、その中でも第三弾は全てがチャレンジと言ってもいい無茶な作品ではありますが、まずはこのゲームならではの体験を楽しみにしていただけると嬉しいです。

諸事情でまだ具体的な日程を発表できていませんが、もうすぐMakuakeでのクラウドファンディングも開始します!ご支援よろしくお願いします!

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