ギフト 1分小説

「好きな人にプレゼントをあげる時は中身にたくさん香水をかけてあげるといいよ。」
母は単身赴任先の父に贈り物をするとき、
いつも僕にそう言い聞かせた。

「どうして?」
「大人になったらわかるよ。」

幼い頃の母との会話を思い出したのは、遠くに住む彼女からの贈り物を開けたときだ。
ダンボールを開けた途端に部屋中に彼女の香水の匂いが広がった。

「来月ね。」

小さな紙にぶっきらぼうにそう書かれていた。
僕はやはり彼女が好きだと思う。
急に寄りかかっても何も言わない感じとその時の香水の匂い。

「届いたよ。」

僕もぶっきらぼうにLINEを送った。

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