【全曲解説】『時計じかけのニューサマー』
去年の12月くらいにデジタルリリースした5thアルバム『時計じかけのニューサマー』の収録曲全10曲について、制作時を振り返って考察したいと思います🐼
長いので、気になる見出しがあれば目次からタップして見てネ。
0、このアルバムについて
◼️制作の経緯
元々違うテーマでアルバムを作る予定でしたが、去年の夏にコーネリアスを聴き、そこから色々遡って渋谷系・ネオ渋谷系の音楽に手を出し始めたのが始まりです。『ファンタズマ』がリリースされた時の雑誌のインタビューを読み、「ディズニーとか玩具箱の中身みたいなファンシーな感じのが作りた〜い(≧∀≦)」と感化され、去年の夏からちまちまと研究しておりました。引っ越しのタイミングでもあり、20年間放置されていた物置部屋を片付けたりして、妙にノスタルジックな気分になっていたのも、このアルバムの背景かもしれません。
◼️オーマジュ要素
アルバムのタイトル『時計じかけのニューサマー』は、制作時に丁度映画『時計じかけのオレンジ』を見て完全に引っ張られました🍊 映画は普段あんまり見ないのですが、バズマザーズの山田さんが影響を受けている作品だと知り、作品名の秀逸さにも惹かれて見たのがきっかけです。ジャケットのイラストや曲名の横の「/(スラッシュ)」も影響を受けた作品たちのオマージュだったりします。ちょっとふざけすぎたかな感は否めないですが。。。
1、 world is mine/世界とは僕のことなのに
アルバムのオープニング曲。本家の『ファンタズマ』同様、ディズニーっぽい雰囲気になるよう意識しました。とはいえ「ディズニーっぽさ」って何ぞや?そこから考える必要がありました。自分らが「あ、これディズニーっぽいよね〜!」って感じる要素って何なんだろうって。今まで意識したことなかったなあ〜。試行錯誤した結果、辿り着いたのは、三拍子にしてクラシック系の音を入れることでした。更に、キャラクターっぽい声も入れたら、イメージに近づけることができたと思います。これらの声は全て一人で演じました。側から見たら不審者だネ。
2、 short vacation/親父のカメラをぶっこわせ
大瀧詠一さんのアルバム『A LONG VACATION』からインスピレーションを受けました。リゾート地でのんびり過ごすイメージの本家とは真逆で、「繁華街で過ごす短い休憩」をテーマにしたら面白そうだなって。渋谷百軒店に迷い込んだ思春期少年の心理を描きたかったんですよねえ。ちょっと怖いんだけどワクワクする、言葉にできないような絶妙な感じ、うーん難しい。。歌詞に出てくる「獅子」って言うのは、渋谷にある名曲喫茶の名前から。渋谷百軒店とか行ったことないんだけどネ〜。
3、 fujiko’s monster/お前はダメだ
国民的アニメ『ドラえもん』のオマージュです。完全にオフザケ楽曲でありながら、これも「ドラえもんっぽさ」を追求しながら作りました。これも一人で全員分演じました。…それにしても、「夏休みの友」ってある意味嫌な言葉だよねえ。
4、 ニューサマーデイズ/タマノイ神社で会いましょう
前の曲『fujiko’s monster』で「宿題でもやってろ!」と怒号が飛んですぐにシャッター音、そして曲が始まります。「終わりらない宿題を投げ出して…」という歌詞から始まるので、一応繋がっています。帰省って、子どもからしたら非現実的な日々だと思うんだよね。何もかもが新鮮だから、宿題とかやってる暇なんてねえよ!ってネ。帰省先の近所の神社で遊んだ事とか、もう会えないひいばあちゃんの事とか、楽しかった思い出をなるべく歌詞に詰めてみました。曲調はコーネリアスの『NEW MUSIC MACHINE』を意識してみました。再現できたかなあ。
5、 world is small/小さな世間
アルバムの中間地点に短めのインストを入れたいなあ〜と思って作ったのがこの曲。コーネリアスの『MONKY』みたいなカートゥーン調のドタバタした感じを追求したくて短編アニメ『ミッキーの移動住宅』とか『ロジャーラビット』をひたすら見てました。木琴とかガラスが割れる効果音とか入れて、あの独特な忙しい感じを再現してみました。ここでもキャラクターの声を頑張って演じてみた訳ですが、タイミングが難しくて何度も奇声を発しました。これまた不審者案件。。
6、 natsu_nashi_dystopia/夏無ディストピア
後半からはしっとり系の曲が続きます。『夏無ディストピア』は多分いちばん真面目なんじゃないかな。オリンピックシーズンで見たい番組が潰れたり、コロナ禍で帰省や花火などの夏の風物詩が無くなっちゃって、あの時はだいぶイラついていたのかも。楽しみが消えたストレスを発散するつもりが、想像以上にシリアスな感じに仕上がりました。タイトルにある「夏無」は福島県を流れる川の名前です。
7、常磐アイランド/僕のいとこはフラガール
福島県のいわき周辺の景色から着想を得ました。いかにも口説いてるぜ☆風の歌詞を目指した結果がこちらです。ハワイに憧れるちょっと昔のキザボーイの心情(?)を曲にしてみたくて。熱海もそうだけど、ハワイっぽい観光地の独特なノスタルジーさが大好きなんですよねえ。ハワイ=海=ボサノバっていう勝手なイメージから、こういった曲調になりました。子どもの頃から小野リサさんの音楽が好きだったので、そこからボサノバっぽさを追求しました。でも後々考えたら、ボサノバとハワイってそんなに関係なかったね。。
8、SUPER CENTER PLANET-5/みずいろタウンにて
夏フェスでピョンピョン飛び跳ねてそうな曲調です。楽器編成もギター・ベース・ドラムと割とシンプル。鍵盤入れた方がいいのか最後まで悩んだけど、しっくり来なくて。曲名の「SUPER CENTER PLANET-5」は福島にある超大型スーパー「SUPER CENTER PLANT-5」からとりました。帰省した時にオードブル買ってもらったりして、毎回楽しみだった思い出。サブタイトルにある「みずいろタウン」とは、「みずいろの街」と呼ばれる本宮市のこと。幼少期の帰省って、ものすごく異世界転生感あるなァと大人になった今、しみじみ思います。
9、Fuzzynavel Crazy/ファジーネーブル・クレイジー
曲名はフリッパーズギターの『Coffee-milk Crazy』から。渋谷系っぽい軽快なジャズっぽい感じにしたかった。昭和の児童書に書かれていた未来予想図や『2001年宇宙の旅』から着想を得ました。ああいうのをレトロフューチャーって言うらしいね。その秀逸な言葉にどっぷり惹かれました。レトロにフューチャー?新しいの?懐かしいの?どっちやねん!みたいな。
当時は誰も知らない未来!と言われていたものを、令和になった今、過去のものとして眺めると不思議な感覚になるよね。コーネリアスの『ファンタズマ』にも2001年とか2010年ってワードが入ってるけど、あれがリリースされたのって1997年なんだよねえ。このなんとも言えない感慨深さ(?)みたいなのをアルバムの最後の方に入れたい!と思っていました。
このアルバムはオマージュのカタマリみたいなものだけど、特にこの曲は典型的な例なんじゃないかなと。曲の中盤では、1曲目〜8曲目の音源がダイジェストのように流れます。これは完全に『ファンタズマ』オマージュですね。最後の曲に入る前に、これまで聴いた曲を思い出してセンチメンタルになってほしいナ★という欲でもあるのですが。ここでも偽のび太こと「チヂム君』を演じておりますヨ。
10、electric dolphin404/お前を消す404の方法
electric dolphin…かつてWindowsパソコンに生息していたお節介イルカことカイル君の事ですネ🐬 この曲は2000年〜2010年くらいのインターネット文化をイメージして作りました。アルバムのエンディングになるという事で、こういったテーマが合ってるかなと思って。
引っ越しの片付けも大詰めになっていた時期でもあり、超☆懐古主義だったかもしれません。キリ番踏み逃げ・ずっと工事中のホムペ・魔法のiらんど…めっちゃ懐かしい。そして、楽しかった幼少期はVHS(DVDが普及する前の黒くてぶっといビデオのアレ)に入ってて、もう再生できないんだ…切なーい。。とか妙にセンチメンタルになるわけです。
作曲に関しては『ファンタズマ』のオマージュとして、最後に絶対「アディオス」って言いたい!ため息で締めたい!っていうこだわりがありました。シューゲイザーが好きなのに今回全然取り入れてないジャン!でもインターネットっぽく電子音も入れたい!最後の曲にしてやり残した事だけに執着していたら、よく分からないジャンルの曲になってしまいました。欲張りは良くないネ。でも、一応曲を完結させる事ができたから、結果オーライ。。
◼️終わりに
今じゃサブスクで曲単体だったり、プレイリスト作って自由な順番で聴けるようになったし、アルバムを通しで聴く文化って減った可能性はある。だからこそ、プレイリストとは違うアルバムならではの醍醐味ってあるんじゃないかなと思って。なので今回は、通しで聴く事によってひとつの作品が完結するように編集しました。気づいたら次の曲になってた〜!みたいなネ。でも、気に入った曲があればたくさん聴いて欲しいナ★そういう欲を詰め込だ作品です。各サブスクにて配信中です🍊アディオス!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?