5.4 ダイアトニックコード(メロディックマイナー編)
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メロディックマイナーとは?
前回ハーモニックマイナーの話をしておりますが、今回はメロディックマイナー(旋律的短音階)です。日本語の旋律的、というのをみてピンが来た貴方は勘がいい!!笑。そう、これはハーモニックマイナーが和声のため(V7を作るため)に調整されたスケールだったのに対して、メロディックマイナーは「旋律を歌うため」に調整されたスケールです。で、どう調整されているかというと以下の図を参照してください。
ハーモニックマイナーのb6とN7(キーがCならbラとナチュラルのシ。歌うならLe, Ti)が本来長短2度ところが半音3つ(増2度。短3度と同音異名 )も離れているので歌いにくい(と言われている)のに対して、それならb6もナチュラルにすることで長二度にしてしまえば歌いやすいんじゃね。と調整されているのがメロディックマイナーです。ちなみにクラシックなどではメロディックマイナーは上行系ではDo Le Me Fa Sol La Ti Do(ドレbミファソラシド)ですが、下降系はナチュラルマイナーのDo Te Le Sol Fa Me Re Do (ドbシbラソファbミレド)を使う、と習います。が、ポピュラー/ジャズなどではその使い分けはあまり言われてないようです(作曲などする時にはこの辺りの使い分けについては意識したらいいのかもしれません)。
というわけでメロディックマイナースケールは、図の下段の、、、
Do Le Me Fa Sol La Ti Do(ドレbミファソラシド)
になります。ドレbミまではマイナーでファソラシドについてはメジャーと同じなので僕なんかはどっちかというとこっちの方が歌いにくいんですよね、、、みなさんどうでしょう?ぜひ鍵盤などで音を確認した上で歌ってみてください。
メロディックマイナーのダイアトニックコード
メロディックマイナーのスケールがわかった、というところでそこから建てられるダイアトニックコードを見ていきたいと思います。前回までのハーモニックマイナーと同じく三度で積んだコードになりますので以下の図のようになります。よくある教え方だとハーモニックマイナーとの違い、で教えていくんですが、まぁそれはスケールの素性とコードの作りかたがわかっていれば問題ないので、ここでは一番変化量が少ない「メジャースケール」との対比で考えてみます。三度が長三度か短三度の違いしかないですからね。以下の図のようになります。
動画では以下のように進めています。例によってキーはCです。
1. まずメジャースケールを書く
2. 三度積みのコードを作る
3. メジャーのダイアトニックのコード(はもうわかりますよね?)を書く
4. ミ(三度)の音をチェックする
ここまでやるとあとはこのミの音を半音下げるだけだということがわかります。では続けて、、、
5. メロディックマイナースケールを書く
6. 三度積みのコードを作る(三度、つまりミがフラットしてることを忘れないで!)
7. bミが含まれているコードは名前が変わる、含まれてないコードはメジャーと同じなので、メジャーと同じコードは名前を書いておく
8. 含まれているコードのbミが何度の音かによってコードネームの変化をさせていく
という手順です。あー面倒、、、と思いますがこれがわかっていると自分で作り出すことが出来るのでこういう構造的な理解をするのは大事だと思います。あと、こういう構造的な理解の中から別の何かを生み出すことができる可能性があったりしますのでぜひ覚えてください。で、実際は変化するのはメジャースケールの、、、
C△7 ドミソシ
Em7 ミソシレ
F△7 ファラドミ
Am7 ラドミソ
の4つです。それぞれミが含まれていることがわかります。このミをフラットさせるのですから以下のようになります。今度は構成音から見ていきましょう。
C△7 ドミソシ > ドbミソシ つまり 1 b3 5 N7 なので、Cm△7
三度がフラットする形になります。次に
Em7 ミソシレ > bミソシレ
ですが、これはルートがフラットしてるのでもともと1 b3 P5 b7だったものが1に対して半音距離が開く、つまりシャープするので以下のようになります。
Em7 ミソシレ > bミソシレ つまり 1 N3 #5 N7 なので、Eb△7aug
です。メジャー7thコードの五度が半音上がった形ですね。
あとは簡単なので二つまとめていきます。
F△7 ファラドミ > ファラドbミ つまり 1 3 P5 b7 なので、F7
Am7 ラドミソ > ラドbミソ つまり 1 b3 b5 b7 なので、Am7b5
です。いかにメロディックマイナーのダイアトニックスケールをまとめてみます。
度数表記でコードを示すと以下の図のようになります。
後半は同じコード名が続いてるのでメジャーのダイアトニックが頭に入ってれば「IVはVと同じ。VIはVIIと同じ」と覚えてしまってもいいと思います(が、これはのちにテンションというものが入ってくることによって違うコードとして使えるようになっていきます)。前半で面倒なのはIII△7augだけなのであとは気持ちを楽にメジャーのダイアトニックコードから変化させましょう。
コードを弾き分けて感じてみる
コードの引き分けは前回までに説明していますので詳しくは触れませんが、まとめると以下のようになります。
僕は音が明るいくらい、という感じ方をなるべく避けるようにしておりまして、どちらかというと軽い、重いみたいに考えるようにしています。で、どこが変化してるから軽くなったな、重くなったな、、、みたいにするといろんなコードの変化量を捉えやすくなったりします。とはいえ絶対音感みたいなものではないのでそれが何の役に立つ、というと作曲の時にコードを弄る時に「次のコードにいく前に少しグッと一瞬沈めてから進行したい」みたいな感じに自分の戦略として使う感じです。また、こういう感覚をそのままうまくアルゴリズムにすることも出来ると思います(まだやってないけど)。
で、上の図で出てきてるのがメジャーとマイナーの4つのダイアトニックスケールの全てです。これらは(僕にとってはですが)C7を中心にその音の構成を変化させているわけです。この1音ずつ変わるという引き分けをクロマチックの12音全てで練習しておくといつでもどのコードでも弾けるようになると思います。少なくともCメジャーのそれぞれのメジャーダイアトニックコードから変化させてみるのと、Dbのそれぞれのメジャーダイアトニックコードから変化させてみる(要するに黒鍵を入れたいわけですが)をやっておくと一通り網羅できると思います。
スケールの見立て
さて、最後にここまででやったメジャースケール、ナチュラルマイナースケール、ハーモニックマイナースケール、メロディックマイナースケールの関係性を見立ててみたいと思います。あくまで記憶に定着しやすいように「記号的なアプローチ」なので音楽的には違う、とかあったらご指摘いただきたいのですが、以下の図のようになります。
中心にメジャースケールを置いて考えます。例によってキーはCです。この表は以下のことを表しています。
・Cメジャースケールに対して、短三度下のAから始まる並行短調のAナチュラルマイナーがある
・AナチュラルマイナーをCの位置にずらすと(移調すると。次あたりに転調移調という話をしようかと思っています)同主短調のAナチュラルマイナースケールになる
・CナチュラルマイナーにはV7がないのでb7をN7にすることで同主のCハーモニックマイナーができる
・一般的にはCハーモニックマイナーが歌いにくい、という理由からb6をN6にすることで同主のCメロディックマイナーができる
・CメロディックマイナーはCメジャースケールから見た時にはN3がb3になっただけ、とも言える
という感じです。このように構造的に考えることが出来れば器楽奏者や音楽プロパーじゃない人でも覚える/自分で思い出す/作り出すことが可能になると思います。
今後の予定
今後の予定は以下のように考えています(これを書いておかないと毎回そこを考えるところからスタートなので、、)。
まずここまでのまとめで「ダイアトニック統合表」という便利グッズを作って4つのスケールからできるダイアトニックコードをまとめます。
次に「四度圏表」というのを作って転調/移調、調性の話をします。この辺りからC限定で考えるのではなくてコードの度数で考えるようになります。
コードを度数で見ることができると、ケーデンスと言って「よくあるコード進行の基礎の基礎」の話をします。
そして、コードの機能をし、コードの最後にテンションの話をします。
まぁその後にオルタードドミナントの話をして、やっとコードの話は一通り終わりかな、、、あ、でもUSP(アッパーストラクチャートライアド)にも少し触れておきたいですね(考え方程度)。
そこまで行ったら楽曲分析などをやってみたいとおもます。あーでもダイアトニック統合表の後に分析やってコード機能の話をする、というのもありはありだよなぁ、、、といくらか迷ってますが、まだまだ続くのでよろしくお願いします。
おしゃれコード進行的な話とかしたいですよねー。何かリクエストあればコメントかTwitterの@yamatoにmentionしてください。
ではまた!!!
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