4-2. コード基礎(インバージョン/転回形)
雑ギター講座がコードの回に入って「雑」と銘打っていながらも内容的にはそんなに雑でもない、という状況になってきました。
この回でギターでトライアド(三和音)を弾く形の基本は網羅できてると思うんですが、次の17回では「インバージョン/転回形」という新しい概念が登場します。概念つっても音楽理論(特にここで扱ってるポピュラー音楽理論)はパズルや言葉遊び的な要素も強いので、そんなに難しく考えることはないです。
インバージョン/転回形とは?
「インバージョン」Inversion というスペルですね。これは日本語では転回形、と呼ばれます。で、この「インバージョン(Inversion)/転回形」は簡単にいうと「コードのルート(根音)より下にコードの構成音が下がってきた形を指す」ということになります。例えば Cメジャーコードは構成音が「ド、ミ、ソ」です。これは度数関係で言うと、「Root(1度)、3度、5度」ですね。この3度や5度をオクターブ下に下げた形のコードを
Cメジャー(コード)の転回形
と言います。この「インバージョン(Inversion)/転回形」は次のような名前がそれぞれついています。
インバージョン/転回形の呼び名
1st インバージョン/第一転回形
これは3度(もしくはb3/短三度)が一番下にきているケース。Cメジャーコードなら「ミ、ソ、ド」もしくは「ミ、ド、ソ」です。三度が下に来てるのに第一転回形、とはややこしいですね、、しかもコードの積みから見れば2番目だし、、、。とついついゴッチャになりますが「3度(もしくはb3/短三度)が一番下にきてれば、1st インバージョン/第一転回形」です。
2nd インバージョン/第二転回形
これは勘の良い方はすぐにわかると思うんですが、5度(もしくはb5/減五度、#5/増五度)が一番下に来ているケースです。Cメジャーコードなら「ソ、ド、ミ」もしくは「ソ、ミ、ド」です。これも5度が下がってるしかもコードの積みでは3番目が下がっているにもかかわらず「5度(もしくはb5/減五度、#5/増五度)が一番下に来ていれば、2nd インバージョン/第二転回形」です。
この時に「下に来た音でインバージョン/転回形の呼び方が変わるのはわかった。が、その時の他の音の積み方は特に気にしないでいいのか?」と思った人もいるかもしれません。で、気にしないでいいです。基本的に「下にコードのどの構成音が来ているか?」でインバージョン/転回形の呼び方は変わります。で、大事なのはこの「コードの構成音を展開して積み方を変える」という事です。コードのボイシング(音の積み方をボイシング Voicing と言います)が「クローズド(密集)」か「オープン(開離)」か、という違いはありますが、このインバージョン/転回形の呼び方に関してはボイシングは気にしないで大丈夫です。譜面にするとこんな感じ(Cメジャートライアドの場合)。
これはどれもCメジャーコードを指しています。でまぁ、ギターで引いてみるとわかるんですが、ギターの場合一番左の「ドミソ」の展開していないものよりもその他の形の方が弾きやすかったりします。左の全音符が「ドミソ」転回してない基本の形、2小節目のミが下に来てるのが「1st インバージョン/第一転回形」、3小節目のソが下に着てるのが「2ndインバージョン/第二転回形」です。
もちろんC以外のトライアドである Dm, Em, F, G, Am, Bdim もそれぞれ転回形を持っていますが、前回の書いた通りメジャー、マイナー、ディミニッシュ(dim)の三種類ですし、キーがC(現状調性の話はしてないで全てCのキーで話を進めてるので)の場合単純にDmなら「レ、ファ、ラ」が入れ替わるだけですし、Bdimなら「シ、レ、ファ」が入れ替わるだけなので楽勝ですよね?
あと、このインバージョンは今はトライアド(三和音)での話なので2nd インバージョンまでしか出てきませんが、これが7度までを含む四和音になると3rd インバージョンが出てきます。勘の良い人はお気づきでしょうが、7度が下になる形です。で、この四和音でのインバージョン/転回形というのがギターのフォームに密接に関わってくるのですが、それはまた「雑ギター講座」の方で触れていきます。
「雑ギター講座」の方は次はトライアドをメジャースケール上に立ち上げていく、話になりますが、そこでこのインバージョン/転回形についての話をしているので、ギターで弾いてみたい、という方は合わせてどうぞ。チャンネル登録などしてくれると嬉しいです。
こちらの連載の方は次はメジャーのダイアトニックコードの話あたりを書いていくことになると思いますのでそちらも合わせてお楽しみに。「雑ギター講座」の進捗に合わせてちょいちょい補足も書いていくかもしれませんが。
ではまた!!