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楽器選び

翌週、待ち合わせの駅前にて。

『……服装は?』
『白のTシャツに水色のスカートで黒の帽子を被ってます』

『お、あれかな?』pi オ-イ

「花崎さんで合ってる?」
「はい、そうです」

「おお、良かった!じゃあ、改めてだけど俺が3年の白波風弥です。一応軽音学部の部長やってます。よろしくね」
「1年の花崎一華です。よろしくお願いします」

「それじゃ、あと1年生が一人来る予定だから少し待ってね」
「あ、まだ来るんだ……」ボソッ

「ん、何か?」
「い、いえっ、なにも」

prrr……

『はい、……うん、うん……了解です。じゃあまた別の機会に』pi

「なんか今日来る予定だった子が急用が入っちゃったみたいで来れないらしい。だから今日は二人で行こう」
「ふ、二人……」


「それじゃ改めて聞くけど希望パートはギターで合ってるよね?」
「はい、そうです」

「おっけ。楽器初心者って聞いたけど、一応希望の種類とかってある?」
「あー、色とかってことですか?」

「それもそうだし、一口にギターって言っても音色や機構の違いで何種類ものギターがあるんだ」
「そうなんですか」

「そう。たとえば、うちら軽音はバンドだとエレキギターを使うけど、弾き語りはアコースティックギターを使うよね」
「そうですね。エレキってギュイーンってやつですよね」

「そうだね。あとはエレキでもゴリゴリのロックをやるか爽やかロックをやるかとか音楽性で相性の良いギターがあるよ」
「へぇー」

「おっ、もうそろそろ楽器屋に着くね。あとは現物を見て説明するよ」

到着。

「これがストラトキャスター。通称ストラトって言って俺もこれを使ってる」
「これは何ができるんですか?」

「これはスタンダードなエレキギターって感じで基本的にやりたいことはなんでもできる。王道ロックとかまだやりたい方向性が決まってない人におすすめだね。ところで花崎さんはどんな音楽が好き?」
「んーと、そうですね、王道とか爽やか系が良いですね」

「そしたら、ストラトはおすすめだし、こっちのテレキャスターなんかも良いよ」
「テレキャスター?」

「そう。ジャキジャキって感じで歯切れの良いはっきりした音が鳴るからコードを弾くのにピッタリなギター。ロックバンドではこの二つを持ってる人が多い」
「なるほど」

「あとはレスポールって言って大音量で流せるからパンクロックやハードロックに向いているギターがある」
「いろいろあるんですね……」

「そう。初めはよくわからないと思うから花崎さんがピンときたものを選ぶと良いよ」
「なるほど……」

「……お?」

「先輩、これは?」

「これはムスタング。今紹介した中でも軽い音が特徴で、ハードロックとかは無理だけど普通に弾けるよ。あと、ショートスケールって言って手の小さい人でも弾きやすくなっている。音の調節が他のに比べて難しいっていうデメリットもあるけどね」
「ショートスケールちょっと惹かれますね」

「一番初めのギターでこれは大分曲者だけどね」
「ますます惹かれます」

「もしかして花崎さんは難しい方が燃えるタイプ?」
「そうかもしれません」

「私、決めました。ムスタングにします」
「おおー!ムスタングにするのか!俺も頑張って教えるから花崎さんも頑張ってな!」

「はい。ていうか思ったんですけどムスタングってあのけいおn……」
「みなまで言うな……」

Next→練習?

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