7月/夏祭り
梅雨の明けないこの時期だけど、今日は奇跡的に快晴。神様もこの祭りを楽しみにしていたみたい。
もちろん楽しみにしてるのは私達も同じで、特に如月さんは前日の部活の時から燃えていて、
「まずはたこ焼きとりんご飴を食べて、射的と型抜きは外せない!あっ、金魚すくいもやらなきゃ!」
などと、一人で必死に計画を立てていた。
かくいう私も如月さんほどでは無いけど、ある程度の計画は頭にある。もちろん、白波先輩とお近づきになる機会も設けるつもりだ。頑張るぞー!と意気込んだ。
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今回は軽音楽部メンバーと春香で周る。春香と私は同じ家の方面なので、2人で会場まで行くことに。移動中の電車の中にて。
「って春香、今日甚平なんだね」
「そうだよ!なんてったって今日は回らなきゃ行けないからね、浴衣着てのうのうとなんて居てらんないよ!」
流石春香。今日もアグレッシブだ。
「それにしても一華は綺麗な浴衣だね!めっちゃ似合ってるよっ!」
「ありがと、私も今日は頑張るよ」
「よっ!応援してるよ!私は食べ歩きしかしないけど!」
応援する気あるのか。
「あるよ!」
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会場到着。今回はいつもの軽音学部の3人の他に一人いた。
「こんちは……」
「ちょ、たいせーもっと元気出して!どしたの?」
「いや、今日調子悪くて……。あ、1年の星大成です。よろしく」
「よろしくー」
星くんは如月さんと幼馴染みで、昔からよく遊んでいるらしい。
「で、そっちの子が皆月春香さんね?よろしく!」
「よろ!」
如月さんと春香は波長が合いそうな気がする。
「よし、全員揃ったというわけで早速行くわよ!」
一同それぞれに好きなものを買い始める。私はこの日のために白波先輩の好きな食べ物をリサーチしてきたのだ。すかさず先輩に声を掛ける。
「「先輩!私と回りませんか?」」
隣の人と台詞が被る。横を見ると案の定如月さんだった。
「ちょっと何?ここでも邪魔する気!?」
「何よ邪魔って!そっちがいつも乗っかってくるんじゃん!」
「ちょいちょい2人とも。お騒がしいよ」
「「あ、すみません」」
「ってアンタ、どこまでも被っていくわねぇ!」
埒が開かないので、私は美鈴先輩と回ることにした。絶対に如月さんとは回りたくない。
「美鈴先輩、私と一緒に回りませんか?」
「いいよ。回ろう!」
私達は白波先輩達と別れ、出店を見ることに。おもむろに先輩が口を開く。
「はぁー、夏祭りってこういうのなんだね」
「先輩、初めて来たんですか?」
「そうね。夏祭りってのが夏にあるってことは知ってたし、興味もあったけど機会が無くて行けなかったんだよね」
「じゃあ、今日は沢山楽しみましょうね!」
「ええ!」
「まずはどこに行きますか?」
「うーん、あ!あれ何?」
先輩が一つの屋台を指差す。
「あれはベビーカステラですよ」
「ベビーカステラ?初めて聞いたわ。あれにしましょ!」
「はい!」
とまあ、こんな感じで祭りは続く……。
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