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郷愁、そして

寒波が日本を駆け抜けた大晦日

ぼくは、地元にいた。
後部座席に家族を乗せて。

走る、走る。家族を乗せて。
都心より、ゆるく流れる景色を横目に。


『売土地』『シャッター』『がらんどう』
さぐりのない、素直な質問を両親にぶつける。

「ここってなんだっけ」
「さぁ、なんだったかしら」

冷気に包まれた足でペダルを踏み、車はまた動き始める。

あぁ孤独とはこういうものなのか、と改めて実感した。

町が消えゆく。
記憶が消えゆく。
人が消えゆく。

町を、あの頃を、そして自分を、誰も認知できなくなる。

老いとは、孤独とは、忘れたり、忘れられたりすることだ。

ずっと子どもでいたかった

それでもあなたは後部座席から助手席へ、運転席に座る。
 
孤独感に目を背けて
生きろ、じぶん。 進め、わたし。

以上、よろしくおねがいします。


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