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【エッセイ】『トミー・リピューマのバラード』を読んで

本作は、音楽業界のメインストリームでジャズやブルースを多くのリスナーに届ける事に成功した伝説のプロデューサーの評伝です。
同じくミュージシャンであり、レーベルを主宰した経歴を持ち、何よりトミーと親しかった著者による音楽制作とトミーへの深い理解と愛に溢れた名バラードを聴いたような読後感を味わう事ができました。
僕は1960〜1970年代の欧米のロックやポップスが大好きですが、最近ジャズやジャズのエッセンスを感じる音楽に心惹かれたどり着いた一冊でした。
好奇心というのはあまり知りすぎていても、または、知らなすぎても沸かないものですが、
村上春樹とドナルド・フェイゲンが帯にメッセージをしたため、トミーがフィル・スペクターやバート・バカラックの音楽制作の仕方に触発され、アントニオ・カルロス・ジョビン、マイルス・デイビスと名作を生み出し深い絆で結ばれ、ポール・マッカートニーのジャズスタンダードをプロデュースした様子が活き活きと綴られた本書は、『ジャズ』という言葉に勝手なイメージを抱いて憧れているくらいの僕のようなロックリスナーにとってかなり興味深い内容でした。
名言されている訳ではありませんが、『音楽制作はパッションであり、仕上がった作品にマジックがなければならない』という最近わすれかけていた信念を感じました。

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