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鉛/Pb:剥げた塗料にご用心

原子番号82の元素。
ラテン語で柔らかい金属を意味するplumbumに由来する。

人類が最初に利用した金属は、鉛とされている。
紀元前6400年、新石器時代から利用され、バビロンの空中庭園やローマ帝国では水道管やワインの保存料などに利用され、中毒症状を引き起こす原因になっていた。

ところが、その利便性のために20世紀までは重用され、白粉や塗料、ガソリン、蓄電池などに幅広く利用されて来た。
中毒については、20世紀後半になりようやく対策が講じられるようになった。
長きにわたり人類と共にある鉛は、環境にも多く拡散して汚染の原因になっている。

曝露の原因

大気汚染や土壌や水質汚染を通した経口、経気道。
脂溶性のアルキル鉛は経皮吸収もされる。

土壌から鉛を吸収した農作物
海洋中の鉛を摂取した海産物
大気中に浮遊する鉛粒子の付着
鉛を使った缶や塗料等からの溶出
一部の鉛を使った釉薬を使用の食器からの溶出
古い家屋の屋根瓦の劣化による塗装からの粉塵
鉛入りの安価な金属を使用したアクセサリーからの溶出
職業曝露


中毒症状

体内に入った鉛の9割以上が骨に沈着する。
肝臓や腎臓にも沈着しやすく、アルキル鉛はにも沈着しやすい。
軽度では、疲労感、睡眠不足、便秘などから始まる。
不眠、神経過敏、頭痛や精神異常などの神経症状も出現。
成人では性欲減退、不妊症、男性では勃起障害がみられることもある。
重度では、人格の変化、頭痛、感覚の消失、歩行協調障害などの中枢神経症状が起きる。
急性中毒では、脳の損傷が起こり、小児では、嘔吐や錯乱、痙攣発作を起こし、昏睡に至る。

小児の慢性中毒は、知的障害、けいれん性疾患、攻撃的行動異常、発達退行、慢性の腹痛、貧血などが起きる。

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