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長月の乱(撹乱)が勃発!?畑がツルツルに!

2022年9月1日のガイナーレ圃場

2021年4月から、SONYコンピューターサイエンス研究所の指導によって、鳥取のJリーグチーム・ガイナーレ鳥取のYAJINスタジアム横で始めている協生農法の圃場。
米子市のある弓ヶ浜半島は、たたらばの砂の堆積と海砂の堆積によってできた砂地で、この場所も元々砂丘だった場所です。
1年4ヶ月で、こんなにモサモサになり、表土が覆われ、有用植物も雑草と呼ばれる草も混成密生し、多様な動植物が暮らす圃場になっています。

詳しくは上記リンクや拙著『腸と森の「土」を育てる』に書いていますが、協生農法は、人の手によってより豊かに生態系を拡張する方法で、多様な品種を混成密生させ、不耕起無農薬無施肥を基本としています。
自然栽培と似ていますが、生態系をより拡張させると言うことが全く違い、自然状態に近づけば近づくほどにより豊かになります。

混成密生が上手くいっているエリア

ここは、集中的に混成密生させているサンプルエリアで比較的上手くいっています。

長月の乱!?

と言うことを基本にしているこの圃場において、草も有用植物も根こそぎ引っこ抜き、土を踏みしめると言う「長月の乱2022」が勃発したのです。

元々は蓬がかなり猛勢していた2畝(B6,B7エリア)。
地下茎で増える蓬は土を硬くしてしまい、他の種が芽吹くことができずにモノカルチャー状態になってしまうため、最低限抜いてみても良かろうと言うことで、2畝だけ実験的に抜くことにしました。
本当は、この方法でも、蓬が元気になる前に、マメ科の蓮華を全体に撒いておく方が土も肥えて表土も覆われて管理もしやすいので良いと言うことをお野人さんの本で知ったので、この秋には蓮華を全体に巻いてみようと思います。
今年は元気になり過ぎた蓬、一部は蓬チンキにするなどして使ったのですが、春蒔きの種が全く出ないほどに猛勢していたのです。

普段一緒に管理しているガイナーレ鳥取の担当者は、元々小学校の先生で、ガイナーレで完全オーガニックの芝生を作っておられ、完全に協生農法のことを理解しながら楽しんで観察しておられます。
それから、ガイナーレの担当には、慣行農法の兼業農家さんがもう1名おられて一緒に見守って下さっているのです。
今回、その兼業農家さんと畑を一緒に管理してくれているサッカー選手が、見ていないうちに蓬をとってくれていたはずだったのです、が。
お盆に蒔いた種の新芽や大きくなっていたアスパラ、大山キャラボクの幼木などを含めて、全部引っこ抜いて下さったのでした。

梨の木と大きくなったマメ科、アスパラ1本だけは残って後はつるつるに

さっきの混成密生状態と比べて、表土が露出してしまっています。

畝の土も踏み固める

やはり慣行農法視点では、「草=悪者」「草=栄養を奪う」「草=引っこ抜かねばならぬ」ということが身体化されているのだなと実感しました。
表土ができる仕組みや生態系、土中環境などについて全く知らない状態で、1種類の野菜を育てるための化学肥料を入れて、その生育を邪魔すると認定したものを「害虫」「雑草」と見立てて一網打尽にすることに全神経を使うのが慣行農法ですが、実は、単一作物の生理最適化をするのは、非常に効率が悪く環境負荷も大きいし管理負担も大きいと気づいてしまったのが、野人・ムーさんで、それを論理体系化しながらデータをとっているのがSONYコンピューターサイエンス研究所の舩橋さんをはじめとしたチームの皆さんなのです。

この梨は、モサモサの草に覆われていました。
去年は、そこまで草がなかったので、葉っぱを黄金虫に見つかって食べられてしまっていたのです。
でも、今年は、草のおかげで見つからずに食べられなかったようでした。

1本たたずむ梨の木

でも、こんなに周りがツルツルになり、1本でたたずんでいます。
すぐに黄金虫に見つかってしまいそうですが、これからこれがどうなるでしょうか。
1本だけでは可哀想なので、ここをミニチュア拡張生態系・シネコポータルを作り直そうと思います。

シネコポータル

これが、春に作ったシネコポータル、ミニチュア拡張生態系。
ここに30種類ほどの種苗が混成密生しています。
鉢植えでも作れますし、とっても可愛く仕上がるので、まずこれから始めるのがおすすめ。
リンク先にわかりやすいマニュアルもありますよ。

1年4ヶ月の蓄積が一旦リセットされたようなものですが、ただ、その方が1年草が上手く育つようですし、生態学でいう中程度撹乱と呼ばれるイベントと捉えたら、もしかしたら圃場全体で多様性が上がる可能性もあるかも!と、CSLの方からアドバイスを頂きました。
そうだ、我々が思いもしない行動も、撹乱の一種(だから、「乱」)と捉えたら、拡張生態系にはむしろポジティブかも知れないと思い直しました!
今年の秋は去年大玉が収穫できたキャベツやブロッコリー、カリフラワーなどアブラナ科を重点的に入れて、大収穫祭となるようにここから頑張りたいと思います!

そんな私も、今年唯一生着していたゴーヤを、蓬とともに勢いよく刈ってしまったのでした!これは、撹乱ではなく、ただ、切ってしまっただけ、、、涙

花もついていたゴーヤ、、、(涙)

まだまだトライアンドエラーの最中ですが、1年半で色々な野菜が元気に育っています。

四苦八苦しながらも、楽しく続けていきます。

腸と森の土を育てる

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