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あれから10年これから100年

311から、昨日で10年でしたね。
clubhouseの「地球に優しい」方々が集まるお部屋で鎮魂の黙祷をして過ごしましたが、想いを文章化することはついぞできずに1日を過ごしました。

2011年の3.11以前と以降で、世界は全く変わってしまったのに。
現在進行形であるばかりか、未来の世代にも負債を負わせてしまったのに。
10年の時を待たずに、あっという間に風化してしまったことに、ずっと静かに深く胸を痛め続けているのだと、改めて思い知った1日でした。

私にとって、3.11後は強烈でした。
当時、一人の医師として矢面に立ちながら、無かったことにされている広範囲の放射性物質による土壌汚染のについて情報を市民団体と共に開示し、甲状腺検査の受け入れなどを行っていました。

全メディアを読んで記者会見したにも関わらず、多くの主要メディアは口をつぐみ、正常化しようとする無意識の強烈な働きによって、何もなかったかのように多くの人はすぐに日常に戻ってしまいました。

リアルな問題が目の前にある時、それを認識しなければ、解決しようという動きにもなりません。
問題を認識して、初めて「じゃあ、具体的にどうする?」「何ができる?」「何が最善?」という議論になります。
その土俵にも乗らないまま、問題が10年、公的に放置されています。

しかし、2011年に活動から学んだことは、「戦い」の気持ちでは事態は何も解決しないということ。
「政府が悪い」「東電が悪い」など、敵を作り、攻撃してしまえばしまうほど、分断が起こり、戦いが連鎖し、解決の道から遠くなってしまうと、身に染みました。
戦ってしまったがために、プロジェクトは離散してしまい、現実を変える力を持つことができませんでした。

社会構造を作る側の思惑はあれど、平和と安全を願う市民の心は誰にでも等しく存在するものだと思います。
10年を経てしまったものの、100年先もこの問題は続いています。

現実を直視することは怖いことだけれど、認識した上でしか、解決のプロセスに進むことはできません。
そして、解決のための叡智、その希望は確かに存在しています。

だから、絶望でなく希望を持って、未来を創るのだという確かな想いを共有しながら進んでいきたいのです。

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掲載誌である3月10日発売号のveggyのvol.75に、元京都大学原子炉実験所助教である小出裕章先生のロングインタビュー「3.11を忘れない〜原発事故は今も終わっていない。」が掲載されています。
あの当時、放射線の専門家、お偉い教授や学会所属の医師ら、誰もが「破門」を恐れて口をつぐんだ中、原子力の専門家である小出先生は立場を投げ捨てて勇気を持って全国に語り続けて下さいました。
講演でご一緒させて頂いたこともありましたが、本当にお優しく、深い使命感を持っておられる、清い魂が美しい先生です。

10年を経て、小出先生の言葉を多くの方にもう一度聞いて頂きたい。
そして、前向きに未来を創っていきたい。
11年目の始まりに、そう考えています。

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