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予防接種後の解熱薬使用のメリット・デメリットと考え方

・予防接種後の発熱に解熱薬を使用して良いですか?
・発熱するのが怖いので、あらかじめ解熱薬を予防的に使用したいです
・予防接種後に解熱薬を使用すると抗体獲得率が下がる(免疫がつきにくくなる)って本当ですか?

予防接種後に発熱や局所反応(接種した部位の腫れなど)が生じることは非常に多くあります。
このため、発熱してから解熱薬を使用したり、あらかじめ発熱しないように解熱薬を予防的に使用することがあるようです。

また、「予防接種後に解熱薬を使用すると抗体獲得率が下がる(免疫がつきにくくなる)」という意見もあるようです。本当でしょうか?

今回は、これらの根拠を過去に行われた研究(論文10本ちょっと)を紐解きながら、科学的根拠をもとに解説していこうと思います。

解熱鎮痛薬は発熱や局所反応を予防するのか?

予防接種をすると発熱してしまったり、皮膚が赤く腫れ上がり、痛みが生じることがあります(このことを局所反応と呼んでいます)。

かくいう私も、インフルエンザワクチン接種後にはかなり大きな腫れができてしまう体質のようで、ほぼ毎年、局所反応に数日は悩まされます。

解熱鎮痛薬は、痛みや炎症を抑える効果があります。このため、「あらかじめ解熱鎮痛薬を飲んでおけば、発熱や局所反応は予防できるのでは?」という考えが頭に思い浮かびますが、過去の研究結果は必ずしも一致していないようです。


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