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稲見・檜山研究室 研究方針

はじめに

進学先やポスドクとしての所属先を選ぶ方のために、2019年6月の時点で稲見が考える研究室の研究方針を示したいと思います。

※ 研究方針に関しては、先端研 研究者紹介 フロントランナーの記事もご覧ください。

※ 運営方針についてはこちらのnoteをご覧ください

Vision: 我々が目指していること

こちらの絵をご覧ください。これは、ポール・ゴーギャンがタヒチ滞在時代に描いた『我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか』です。このタイトルは人間に関する研究領域の重要な3つのリサーチクエスチョンともとらえることができます。

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出典: Wikipedia "D'où venons-nous ? Que sommes-nous ? Où allons-nous ?"

稲見・檜山研究室では、うしろ2つの疑問、つまり「我々は何者か」そして「我々はどこへ行くのか」について、身体を手掛かりに情報学の手法を用いつつアプローチすることを目指しています。その思いを込め、東大先端科学技術研究センターにおける研究分野名を『身体情報学 (Information Somatics)』と名付けました。

Mission:研究を通し我々が実現したいこと

上記ビジョンに基づき、我々の研究室は、バーチャルリアリティ(VR)、拡張現実感(AR)、ウェアラブル技術、ロボット、機械学習などを援用し、以下の項目の実現を目指し研究活動を行っています。

1.身体を「情報システム」として理解する
2.新たな身体像を獲得する「機序、トレードオフ、適用限界」を明らかにする
3.身体性に関する疑問・仮説を理論と実装により「工学的に証明」する
4.「人型」と言われていた既存の概念が揺らぐほど社会の身体観を変容させる

特にVRは、物理世界や生身の身体では困難な状況を、ダイナミックに変化させながら、高い再現性で提示することができ、さらにはオンライン上で社会実験を行うことも可能となりつつあります。つまり、VR人を対象とした研究を行う上で理想的な実験環境ともいえます。そして我々の研究を通し、自らの能力があたかも拡張したかのようにテクノロジーを身にまとうことを可能とする、いわば「人間拡張」を実現することができます。

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現在上図のように、様々な身体性を自在に設計するためJST ERATO 稲見自在化身体プロジェクトを中心とし、内外の研究機関や企業と連携しながら研究を進めています。

次に研究手法に関してもう少し説明させてください。下の写真は本学システム情報学専攻の原辰次名誉教授が最終講義で示されたスライドです。

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出典: 原辰次 名誉教授 最終講義 (2017年3月1日) スライドから

直面する課題を一つずつ解決すること、ヒラメキを形にすることももちろん大切です。しかし我々は、応用科学でも課題解決でもなく、このスライドが示すような実社会に繋がるサイエンスを新たな工学の姿として目指してゆきたいと思います。

他のHCI(ヒューマンインタフェース)やVR分野の研究室との違いを質問されることも多いですが、これらのミッションとそれを希求する研究スタイル、つまり個々のシステムの設計と評価でなく、身体性に関わる設計論を構築するため、理論・モデルを意識することを我々の研究室のアイデンティティとしたいと考えています。

スマートフォンやスマートスピーカーをもはや「コンピュータ」といちいち言わないように、コンピュータは当たり前のものとして世の中に広まっています。よって我々は、人とコンピュータを繋ぐ便利な道具としてのHCIを研究するのではなく、

・人を知ること
・人を拡張すること
・人を繋ぐこと

を主目標としています。その過程でVRを使ったり、様々な道具も開発します。また、志を共有できる企業の方々と連携して「JINS MEME」のように新たな商品やサービスを具現化したり、「超人スポーツ」のように世の中の方々の身体観を変えるような活動も行っています。

個別の研究テーマに関してはラボのプロジェクトページをご覧ください。ただし、すでに終了したプロジェクト、終了間際のプロジェクト、現在進行中で未掲載のプロジェクトもありますので、詳しくはラボのメンバーに問い合わせてください。

なお、日本のVR系研究室に関してはこちらにとても良いまとめがあるので参考にしてみてください。


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東京大学 先端科学技術研究センター 教授 https://star.rcast.u-tokyo.ac.jp/
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