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アイドルの源流を探る

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「アイドルとは一体何か」という根源的な問いにぶつかった著者による、アイドルジャンルの"副読本"。これだけ巨大化・国際化しているにも関わらず、いまだすっぽりと抜け落ちているジャンル…
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#1950年代

「アイドルの源流を探る」目次

■読者の方へ「アイドルの源流を探る」について リニューアルについて(※2022年までのnote読者の方へ) 第三章以降についてのおことわり ■はじめに【無料】まえがき(身もふたも無いプロローグ) 【有料マガジン購読者限定】〇〇から浮かび上がる「アイドル」「ボーイバンド」「ガールグループ」 ■第一章 アイドルの「出発点」(1880~1945)【無料】子どもでも大人でもない「若者」の誕生 【無料】欧米の若者たちの出発点 日本の若者たちの出発点 芸能ビジネスの出発

【無料】1958年、若者によるもうひとつの”昂奮と陶酔”コーラスブーム

1958年、若者によるもうひとつの”昂奮と陶酔”コーラスブーム 瀬川昌久と大谷能生の共著『日本ジャズの誕生』などの関連文献によると、実は戦前=1930年代の日本でも、アメリカから輸入されていたミルス・ブラザーズやボズウェル・シスターズのレコードに影響を受ける形で、日本人コーラスグループがいくつか誕生していたという。 中野忠晴とコロムビア・リズム・ボーイズ『タイガー・ラッグ(原題:Tiger Rag)』 コロムビア・リズム・シスターズ『もしもし亀よ』(作編曲:服部良一)

1958年、アメリカのロックンロールとは違う方向に進み始めたロカビリーブームとその事情

1958年、アメリカのロックンロールとは違う方向に進み始めたロカビリーブームとその事情 前述の通り、日本のロカビリーブームは1958年2月の第一回「日劇ウエスタン・カーニバル」開催を皮切りに始まった。同じ時期、アメリカのロックンロールの勢いはまだ健在で、エルヴィス・プレスリーもギリギリ入隊前である。 だが第二章で触れたように、アメリカのロックンロールブームはその後、フルスピードで変容していく。その要因は引退、徴兵、あるいは犯罪行為など、人気歌手自身が歩む”その後”が、若いフ

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ジャズ喫茶の特異な熱狂から生まれたロカビリーブーム

ジャズ喫茶の特異な熱狂から生まれたロカビリーブーム 日本にも訪れた、「耳で、頭で聞くための音楽」と「単純明快に踊れる音楽」の分離。 そこから生まれる逆風は各地のジャズ喫茶や日本人ジャズバンドはもちろん、1955年に日本人ジャズミュージシャンのマネジメントを目的として芸能事務所・渡辺プロダクションを設立したばかりの渡邊晋・渡邊美佐夫妻にも、やはり厳しく吹き付けていた。 しかし1957年11月、渡邊美佐はたまたま、ジャズ喫茶で若者たちの”特異な熱狂”を初めて目撃する。 その熱

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戦後初のジャズブームでフィーチャーされた、ライブハウスとしての「ジャズ喫茶」

よく似た存在、そして誕生時期もほぼ重なっている海外型ガールグループの成り立ちを一通り追いかけたところで、ここからはいよいよ、当連載において極めて重要なセクションと言える「日本アイドルの形成過程」の話に入りたい。 1940~1960年代アメリカの若者向けエンタメ史を再確認したこのタイミングで、時間の針を巻き戻し、改めて1945年からの日本に目を向ける。 そうすると現代のアイドル・ガールグループ・ボーイバンドにおける差異はそもそもなぜ生まれたのか、その根本からの全てが、やっと明確

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ロックンロールの傷跡

ロックンロールの傷跡 衝動と共鳴する革新的サウンドやパフォーマンスで、戦後世代の若者の心を見事に掴んだロックンロール。 しかし1957年10月、『Long Tall Sally』や『Tutti Frutti』などで知られるロックンロールの先駆者、リトル・リチャードが引退を発表した頃から、早くもブームの衰退は始まっていた。 1958年にはやはり『Whole Lotta Shakin' Goin' On』でブレイクしていたジェリー・リー・ルイスの人気が、女性スキャンダル発覚の影

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【無料】若者たちがくすぶらせた”踊りたい”衝動、その声に応えたロックンロール

若者たちがくすぶらせた”踊りたい”衝動、その声に応えたロックンロール 第一次世界大戦終結後の1920年代から第二次世界大戦が終結する1940年代半ばまで、アメリカの若者の心を捉えていたのは、常にジャズ音楽だった。なぜならこれらの時代の若者にとって、ジャズ音楽は貴重な「ダンスミュージック」だったからである。 特に太平洋戦争下のアメリカ本土ではグレン・ミラーやドーシー兄弟、ベニー・グッドマンらの演奏によるスウィングジャズが、若者たちの心身を軽快に揺らし続けた。 ただしジャズ自

ドゥーワップが導いたコーラスグループのダンス革命

新たなコーラススタイル・ドゥーワップの登場と流行 ドゥーワップの名前はそのまま、ジャンルの特徴でもある有名なスキャット(楽曲展開に合わせたリズミカルな即興音声)を引用したもので、リードボーカル+幅広い役割を担うバックコーラスが基本構成である。 そのルーツは、まさにミルス・ブラザーズとインク・スポッツの歌声にあった。 この2グループもスリー・エックス・シスターズやボズウェル・シスターズと同じくバーバーショップ・ハーモニーの影響が濃厚な戦前の出身だが、彼らはバーバーショップ・ハ

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